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胸のニキビの原因と皮膚科での治し方

更新日:2017.10.25
公開日:2013.02.28
ドクター画像
この記事の監修者
銀座スキンクリニック 院長 坪内利江子

胸元は背中と同じく、身体の中ではニキビのできやすい部位です。胸のニキビは、セルフケアでは治りにくく傷あとになりやすいため、皮膚科で治療を受けた方がよいといわれています。ドクター監修のもと、胸のニキビの原因や皮膚科での治し方について解説します。

胸のニキビとは、鎖骨からデコルテ、胸の谷間にできるニキビのことです。顔にできるニキビや背中のニキビに比べるとあまり知られていませんが、身体の中では、背中に次にできやすい場所です。

普段は服で隠れて見えなくても、肌にニキビの赤が目立っていては残念です。それに、胸は色素が沈着しやすく傷あとになりやすい部分でもあるため、たかがニキビといって侮れません。ここでは、胸のニキビの原因と皮膚科での治療法について見てみましょう。

胸のニキビの原因

胸のニキビの原因は、「内的要因」と「外的要因」に分けられます。内的要因とは、食生活やホルモンバランスの乱れ、ストレスなど、身体の内側にある要素です。一方、外的要因は、衣類などによる摩擦やシャンプー、コンディショナーの洗い残しなど、身体の外側にある要素のことです。具体的に、どのようなことが原因となりえるのか解説します。

内的要因

胸は、脂漏部位といって皮脂腺が発達しており、皮脂の分泌が活発で溜まりやすい箇所です。Tゾーンや背中にニキビができやすいのと同様に、胸もニキビのできやすい部分です。また、特に、夏場には、胸の谷間をたくさんの汗が滝のように流れていきますが、人の目があると拭うわけにもいかず、汚れたままで過ごしがちです。毛穴に汚れがついたままでは、菌の温床となり、ニキビに発展しやすい状況になってしまいます。なお、顔のニキビは主にアクネ菌という細菌が炎症の原因となりますが、胸や身体のニキビはマラセチアというカビが炎症の原因となることも少なくありません

また、胸のニキビは大人になってから見られるケースが多いことから、思春期のニキビの主要原因である「男性ホルモンによる皮脂の過剰分泌」は、それほど大きな要因とは考えられていません。しかし、生活習慣、食生活の乱れやストレスなどによるホルモンバランスの乱れも、原因の一つとしてあげられます。

外的要因

内的要因と関連して、分泌された皮脂汗の染みついた下着や衣類による刺激も、胸のニキビの原因と考えられています。特に、ナイロンなどの化学繊維でできた衣類強く締めつける下着は、通気性が悪く肌への刺激も大きいのです。

また、背中のニキビと同様に、お風呂でのシャンプー・リンスの洗い残しがないように、十分に洗い流すようにしましょう。ラメ入りのボディローションやジェルなどの刺激も、胸ニキビの原因となりうるため注意が必要です。もちろん顔のニキビと同じように、紫外線にあたれば活性酸素が発生して悪化します。

胸のニキビの皮膚科での治し方

ニキビには、症状の段階があります。炎症が起きていない白ニキビや黒ニキビの段階であれば、十分保険適応の薬で治ることが期待できます。、炎症が起きて赤くなったり、膿が溜まって黄色くなったりしたニキビは、放置すると皮膚科でも簡単に治らないことがあります。胸の場合は、肥厚性瘢痕あるいはケロイドといって、赤く盛り上がった傷あとになるリスクが高い場所です。そうなると皮膚科でも、あるいは保険外治療のレーザーなどを使った治療でも、すぐ完全にキレイにすることは難しくなります。顔じゃないからと放置せず、初期の段階ですぐ皮膚科に行って治しましょう。

胸のニキビの薬による治し方

胸をはじめ、ニキビの治療のために保険で処方される薬として、以下のものがあげられます。

  • レチノイド製剤
  • 過酸化ベンゾイル製剤
  • 抗生物質
  • 抗真菌薬
  • 硫黄製剤

それぞれについて解説します。

レチノイド製剤

ディフィリンゲルなどのレチノイド製剤は、表皮という表面の部分の改善あるいは予防する高い炎症のあるニキビにも少し効果が見られています。細胞分裂が早まる結果、少し乾燥しやすくなります。新しいニキビの予防のためにも、できやすいエリア全体に面で塗るのが重要です。改善しても3か月ぐらい塗り続けて予防することが推奨されています。

過酸化ベンゾイル製剤

過酸化ベンゾイル製剤の塗り薬には、肌の古い角質を溶かして皮膚を柔らかくするピーリング作用と細菌を減らす抗菌作用があります。肌に塗ると酸素を作り出すことで、酸素があると生きられない嫌気性細菌であるアクネ菌を殺菌する作用も得られます。どちらかというと、炎症を起こしているニキビに効果があります。、ピーリング作用で乾燥しやすくなること、3%ぐらいにアレルギーがあることがわかっており、注意して使う必要があります。また、レチノイド製剤と同じように、できやすいエリア全体に面で塗っていくこと、よくなってからも3か月ぐらい続けることで新しいニキビの予防が期待できます。

最近は、レチノイド製剤との合剤も保険適応になり、炎症のあるニキビと炎症がないニキビの両方ともいい効果がえられるようになりました。ただし、どちらの薬も乾燥しやすいのでしっかり保湿しながら使用することが大切です。

抗生物質

外用剤と内服薬があります。抗生物質によってアクネ菌などを減らしたり殺したり、また、炎症を鎮める効果があるため、赤ニキビや黄ニキビといった炎症を起こしたニキビに効果が期待できます。長く使用すると耐性菌といって、効果がなくなることが知られており、内服薬は重症の時に短期間使用することが推奨されています。外用剤も耐性菌が問題になっていますが、新しい抗生物質の外用剤も保険適応になっており、こちらは現在耐性菌の問題はありません。

抗真菌薬

胸のニキビは、マラセチアという元々皮膚にいる常在性の真菌(カビ)が原因になることも少なくありません。検査をしてマラセチアが多い場合は、抗真菌薬というカビを死滅させる薬が処方されます。

硫黄製剤

硫黄製剤は、処方される塗り薬のほか、市販のニキビ治療薬にも含まれている成分です。角質を柔らかくして毛穴をつまりにくくする作用のほか、殺菌や皮脂の分泌をおさえる効果が期待できます。皮脂の分泌を抑えることで肌が乾燥するため、あまり皮脂がない場合の大人ニキビには適用されない場合があります。

胸のニキビの施術による治し方

薬によるニキビ治療のほか、皮膚科や美容皮膚科で行われる治療方法として以下のものがあげられます。面皰圧出法以外はすべて保険適応外です。

  • ケミカルピーリング
  • レーザー・光・RF機器治療
  • 光線力学的療法(PDT)
  • ホルモン治療
  • 面皰圧出法

それぞれどのような方法で、どのようなニキビに適しているか見てみましょう。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリング、通称ピーリングとは、肌の表面にある角質を酸性の製剤で整える施術です。通常、肌の表面の角質は古くなるとはがれていきます。それが、なんらかの原因で皮膚表面に溜まり続けると肌が固くなり、毛穴もつまってしまいニキビになります。ピーリングは角質をはがれやすくする作用、また、酸によって細菌の数を減少させる作用があります。いまあるニキビの治療だけでなく、ニキビのできにくい肌を目指すことにもつながります。通常、およそ2週間ごとに繰り返しやっていきます。できにくくなった場合の維持療法では、月に1回程度でも十分です。角質がはがれやすくなるので乾燥肌の人は注意が必要です。

・光・RF機器

、IPL(フォトフェイシャル)という強い光、あるいは高周波RF(ラジオ波)熱作用で改善していく治療IPLは、熱による殺菌以外に、赤いニキビや残っている赤い痕の炎症で開いた血管に効果を発揮します。ケロイドあるいは盛り上がった瘢痕の治療としても効果が高いです。LEDという熱くない光機器は、ニキビ菌から出るポルフィリンに作用し、光の化学反応で強い活性酸素を出してニキビ菌や皮脂腺にダメージを与えます。近赤外線系のレーザーやRFという高周波の治療機器は、皮膚の奥まで熱作用がおよぶため、ニキビ菌の殺菌作用だけではなく、血管の赤みや、コラーゲンの再構築を促し、凹凸のあるニキビ痕の治療にも効果が期待できます。

光線力学的療法(PDT)

英語のPhotodynamic therapyを略してPDTと呼びます。日本では保険適応がないのであまり知られていませんが、お隣の韓国はもちろん、欧米ではニキビ治療のひとつのスタンダードです。また、日本でもPDT自体はさまざまな病気で保険適応がある治療法です。光に反応するアミノレヴリン酸というアミノ酸を外用あるいは内服して通常3時間ほど待ってから光を当てる治療です。光が当たるとアミノ酸からポルフィリンが産生されることを利用しています。上に書いたように、光がそのポルフィリンと反応すると強い活性酸素が出て皮脂腺や細菌の細胞が死んでいくことで、根本的にニキビができにくい状態にします。中等度から重症のニキビの方に推奨される方法です。数回でもかなり軽快しますが、翌日まで強い光を避けることが必要になります。

ホルモン治療

ホルモン治療には、抗男性ホルモン療法という、男性ホルモンが皮脂腺に結合するのを防いだり、ダイレクトにピルなどの疑似女性ホルモン剤を飲んだりして、ホルモンバランスを調節する方法があります。

ニキビとホルモンバランスには密接な関係があります。男性、女性ともに体内には男性ホルモンと女性ホルモンが存在していますが、ストレスなどさまざまな要因で分泌量のバランスが崩れ、男性ホルモンが多くなる場合があります。男性ホルモンが過剰分泌され続けると皮脂腺に結合して皮脂の分泌が多くなり、炎症が悪化しやすくなるのです。ホルモン治療はこのようなホルモンバランスを調節する効果が期待できることから、ニキビを根本から改善する効果が期待されます。とくに抗男性ホルモン療法の場合はホルモン剤そのものではなく、長期の内服も安全と考えられている薬剤を使用します。ただし、とくに治療開始後は生理不順の可能性も少なくありません。重症のニキビのかたのうちには、多嚢胞性卵胞症候群というホルモンバランスが乱れる卵巣の病気が隠れていることがあります。繰り返す場合はホルモン検査を受けてみるのもいいでしょう。

面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)

面皰圧出は、面皰圧出器という専用の器具を使って強く押し、毛穴に詰まった角質を取り出す保険適応の施術です。自分でニキビをつぶして中身を搾り出すのと同じではと思う方もいるかもしれませんが、クリニックで行われる面皰圧出は皮膚の表面に傷を作らないのでニキビ跡が残る可能性が低くなります。即効性がある一方で、圧出時の痛みもあり、対症療法なのでニキビをくりかえす場合には適さないという特徴もあります。

まとめ

胸元や胸の谷間などにできる胸ニキビの原因には、大きく分けて2つあることを解説しました。

外的要因
紫外線、衣服との摩擦やシャンプー、汗やリンスなどの放置など
内的要因
皮脂が出やすい部位であること、汗をかきやすい、ホルモンバランスの乱れ、マラセチアが増えていることがある、など

胸元は、背中と同じく身体の中でもニキビができやすい部位です。

傷あとになりやすい場所ですから、できてしまったぶつぶつの胸のニキビが、なかなか治らない場合や、皮膚が痛い場合などはすぐ皮膚科で相談しましょう。皮膚科では、塗り薬などを用いた治療などを行います。ニキビを早くきれいに治すためにも、皮膚科を受診することを検討してください。

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