妊娠中・妊婦に必須の「葉酸」とは?

更新日:2016/12/09 公開日:2014/10/01

妊娠中の食事・栄養

「葉酸は妊婦に必須の栄養素」とよく聞きますが、なぜ必要なのかを知っていますか?葉酸の重要な働きと妊娠中(特に妊娠初期)に葉酸が必要な理由について、ドクター監修の記事で詳しく解説します。

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妊娠中・妊婦に必須の「葉酸」とは?

「葉酸は妊婦に必須の栄養素」とよく聞きますが、なぜ必要なのかを知っていますか?ここでは、葉酸(ようさん)の重要な働きと妊娠中(特に妊娠初期)に葉酸が必要な理由について詳しく解説します。

妊娠中に葉酸が必要なのは赤ちゃんのため

葉酸は、細胞分裂・増殖が活発に行なわれる胎児にとっては必要不可欠な栄養素です。特に、神経管(脳や脊髄など)が形成される妊娠初期には必須で、この時期に葉酸を十分に摂取することで、神経管閉鎖障害という胎児の先天異常の発症リスクを軽減することができます。

神経管とは脳や脊髄(せきずい)などの中枢神経系の基礎となるもので、妊娠7週目までには形成されます。この時期に核酸や細胞の分裂・増殖に関わる葉酸が不足し神経管の形成に影響を及ぼすと、二分脊椎(にぶんせきつい)や無脳症といった神経管閉鎖障害が起こりやすくなります。

二分脊椎は脊椎の中にあるべき脊髄が外に飛び出してしまう状態で、歩行や排泄機能に障害が残ることがあります。無脳症は脳が欠損や縮小、発育不全を起こした状態で、流産や死産の確率が高くなります。

厚生労働省では妊娠の1ヶ月以上前から積極的な葉酸の摂取を呼びかけており、1日に摂取したい推奨量は非妊時が240マイクログラム、妊娠時だと2倍の480マイクログラムです。

そもそも葉酸って?

葉酸は生命維持に必要な13種類の必須ビタミンのひとつで、ビタミンB群の一種です。ビタミンは、水に溶けやすい性質をもち不要な分は尿などで排泄されて体内に留まらない「水溶性ビタミン」と、油脂やアルコールに溶けやすく身体に蓄積される「脂溶性ビタミン」に分けられます。

葉酸は、水溶性ビタミンです。それでは、葉酸は体内でどのような役割を担っているのか、見ていきましょう。

葉酸の働き

核酸(DNA・RNA)の合成

核酸は、遺伝子情報をもつDNAと、体内でタンパク質を合成するRNAで構成された細胞の核にあたるもの。葉酸は、この核酸の生成に重要な役割を果たしています。

細胞分裂を促進する

人間の身体は数十兆個の細胞からなり、細胞が分裂と増殖を繰り返すことで生命を維持しています。この細胞はDNAが複製されて分割し、増えていきます。このとき、正確に複製するために必要になるのがタンパク質です。

タンパク質は食事で摂取した後、20種類のアミノ酸に分解され、DNAの指示によっていくつもの種類のタンパク質に再構成されます。葉酸はこのタンパク質が作られる際に欠かせない栄養素です。

赤血球の生成

葉酸は「造血ビタミン」とも呼ばれ、ビタミンB12とともに血液中の赤血球を作る役割を持ちます。葉酸が不足すると赤血球を正常に作ることができなくなり、貧血の原因ともなります。

動脈硬化を防ぐ

最近の研究で、血中に含まれる「ホモシステイン」というアミノ酸の量が多くなると血管の柔軟性が失われ、動脈硬化のリスクが高まることがわかってきました。葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6にはこのホモシステインの血中濃度を下げる働きがあり、動脈硬化によって生じる心臓疾患や脳梗塞などの予防に効果が期待されています。

このように葉酸は私たちの体内で重要な働きをしているのです。そのため、葉酸が欠乏すると正常な赤血球が作られず、巨赤芽球性貧血、動悸や息切れ、全身の倦怠感などを引き起こすことがあります。

また、細胞分裂に支障をきたすことで免疫機能や消化管機能に影響を及ぼし、口内炎や舌炎、胃や十二指腸潰瘍などが起こりやすくなります。

しかし、過剰に摂取すると、発熱や蕁麻疹、かゆみ、呼吸障害などの過敏症を起こすことがあります。葉酸の摂取は1日の上限(20代で900マイクログラム、30代では1000マイクログラム)を守るようにしましょう。

葉酸は、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれているほか、オレンジやいちごなどの果物、レバーにも多く含まれています。

このように葉酸は日常生活の中でも上手く取り入れていきたい成分なのですが、特に妊娠を考えている方や妊娠初期の方は意識して摂取するようにしましょう。

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