葉酸の過剰摂取によるリスクとは?

更新日:2017/12/14 公開日:2014/10/01

妊娠中の食事・栄養

葉酸は細胞分裂を促す作用を持ち、妊娠中は胎児の健やかな成長のためにも積極的に摂取する必要があります。では、多く摂れば摂るほど良いのでしょうか。葉酸の過剰摂取による影響について、ドクター監修の記事で詳しくお伝えします。

葉酸は摂りすぎると過剰摂取になる?

葉酸(ようさん)は水溶性ビタミンB群の一種で、DNAを含む核酸の合成や細胞分裂を促したり、造血作用もある重要な栄養素です。特に妊娠中は胎児の成長のために必須と言われていますが、たくさん摂れば摂るほど良いのでしょうか。

過剰摂取の影響はないのか、詳しく解説していきます。

葉酸の過剰摂取によるリスク

葉酸は水に溶けやすい「水溶性のビタミン」に分類されるので、通常の食生活で過剰になるほど摂取することは考えにくく、たとえ過剰摂取したとしても不要な分は尿などで排出される程度でしょう。

しかし、あまりにも過剰な摂取や治療によって大量投与した場合などには、次のような悪影響を及ぼす可能性もあります。

葉酸過敏症の可能性

葉酸を1日に1,000~10,000μg(1~10mg)摂取すると、葉酸過敏症を起こす可能性があります。症状としては、発熱、蕁麻疹、かゆみ、呼吸障害などです。(※μg=マイクログラム)

ビタミンB12欠乏症の診断を困難にする可能性

葉酸はビタミンB12とともに、骨髄において赤血球を作る造血作用があります。葉酸やビタミンB12が欠乏すると正常な赤血球を作ることができず、巨赤芽球(赤血球のなりそこない)が増え、貧血を起こします。これが「巨赤芽球性貧血」です。

ビタミンB12の欠乏が原因の場合は通常の貧血症状に加えて下肢のしびれや運動失調などの神経症状をともないますが、葉酸欠乏の際には神経症状はあらわれない特徴があります。

ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血の治療で葉酸を投与した場合には貧血は治まりますが、ビタミンB12欠乏による神経症状は解消されません。葉酸の過剰摂取によってビタミンB12欠乏症の診断が遅れ、神経症状を悪化させる原因になることもあるので注意しましょう。

子どもが小児喘息にかかる可能性

オーストラリアで行われた試験では、妊娠後期(30~34週)に葉酸サプリメントで1日1000μgの葉酸を摂取していた場合、子どもが4歳未満の時点で喘息になるリスクが1.26倍高かったことが2009年に報告されています[1]。ただし、その一方で、関連がないという報告もあり[2]、明確な結論は出ていませんが、母体へのリスクだけでなく、子供への影響のうえでも、摂り過ぎには注意が必要といえるでしょう。

葉酸を過剰摂取しないために

では、どの位の量を摂ると過剰摂取となるのでしょうか。過剰摂取にならないために知っておきたい注意点をお伝えします。

厚生労働省では、1日の葉酸摂取量の上限を提示しています。これは、妊娠時も同様です。

  • 20代女性:900μg
  • 30代女性:1000μg(1mg)

※μg=マイクログラム

しかし、上限とはあくまでも過剰となる量の目安ですので、1日に摂取したい推奨量「非妊時が240μg、妊娠時は480μg」を意識して葉酸を摂取するように心がけましょう。

サプリメントでの過剰摂取を防ぐには

葉酸は水と熱に弱いので、調理によって約50%が失われると言われています。ですから、茹でたほうれん草3分の1束(100g)には葉酸が110μg、茹でたブロッコリー3分の1株(100g)には葉酸が120μgというように、食品から摂取する分には過剰になることはまずないといってもよいほどです。

葉酸サプリメントの多くは、例えば1粒に葉酸400μgを含むなど1日1粒を服用すれば十分な量になっています。これを一度に3粒飲めば1日の上限を軽く超えてしまうため、トラブルに繋がりやすくなります。

摂取目安量を確認したうえで取り入れるようにしましょう。

参考文献

  1. [1]Whitrow MJ et al. Effect of supplemental folic acid in pregnancy on childhood asthma: a prospective birth cohort study, Am J Epidemiol 2009; 170(12): 1486-1493
  2. [2]Crider KS, et al. Prenatal folic acid and risk of asthma in children: a systematic review and meta-analysis, Am J Clin Nutr 2013; 98(5): 1272-1281

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