妊娠中・妊婦のビタミンの摂取について

更新日:2017/10/26 公開日:2014/10/01

妊娠中の食事・栄養

妊婦が積極的に摂取したいビタミンがある一方、過剰な摂取に注意が必要なビタミンもあります。妊娠中におけるビタミンの正しい摂取法、必要とされる摂取量とその効果について、ドクター監修の記事で詳しく解説します。

ビタミンは妊婦にとって大切な栄養素ですが、そのなかには特に積極的に摂りたいビタミンと、過剰な摂取に気をつけたいビタミンがあります。

妊婦が積極的に摂取したい4つのビタミン

次にあげるビタミンは、特に妊婦に必要とされているので、意識して摂取するようにしましょう。

葉酸

葉酸は、水溶性ビタミンB群の一種です。胎児の脳や神経の発達に欠かせない栄養素で、特に妊娠初期に必要となります。妊娠時の推奨量は1日あたり0.4gです。水溶性ビタミンは調理によって失われがちなため、食事のほかにサプリメントで1日0.4gを摂るのが望ましいとされています。ただし、上限は1mg程度なので過剰摂取はしないでください[1]。

ビタミンB12

ビタミンB12は葉酸とともに、赤血球中のヘモグロビンの合成をうながす作用を持っています。この2つは互いに補い合っている関係なので、ビタミンB12だけでなく、葉酸も一緒に摂る必要があります[2][3][4]。

ビタミンB6

ビタミンB6は、タンパク質の合成を助けて皮膚や粘液を丈夫に保つ働きがあります。特に妊娠中は、つわりの原因であるアミノ酸の代謝不良を整える効果が期待できます。妊娠時には、1日に1.4mg摂るとよいでしょう。一度に大量摂取すると神経障害などを起こすこともあるため、1日45mgの上限を超えないように注意してください[2][3][4]。

ビタミンC

ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、皮膚や骨、血管を丈夫にしたり、免疫力をアップさせたりと、人体に欠かせない栄養素のひとつです。また、鉄分の吸収を助ける作用もあります。妊婦は鉄欠乏性貧血になりやすいため、鉄分の摂取が大切ですが、その際は、ビタミンCも一緒に摂るようにすると効果的です[2][3][4]。

妊婦は要注意!過剰摂取してはいけないビタミン

脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・K・E)は妊婦に大切な栄養素ではありますが、蓄積性があるので過剰な摂取は禁物です。

ビタミンA

ビタミンAは体内でレチノールとして働き、骨や歯の成長を助けます。妊娠中にも必要であるものの、過剰に摂取すると、胎児にとって有害であると知られています。1日に摂取したい推奨量は妊娠初期~中期が700マイクログラムRE、妊娠後期だと780マイクログラムREです[5]。特に妊娠前の3カ月間と妊娠初期は胎児に奇形を引き起こす可能性があるため、ビタミンAを多く含むレバーや、サプリメントでの摂取は避けるようにします。海外ではビタミンA摂取の上限は1000マイクログラムREとする考え方があります[2][3][4][6]。

アメリカの報告では、1日に4500マイクログラムRE以上摂取した妊婦は、1500マイクログラムRE未満の妊婦に比べ、水頭症や口蓋裂などの胎児奇形リスクが3.5倍に上がることが分かっています[7]。

※マイクログラムRE はレチノール活性当量

ビタミンD

ビタミンDは、骨や歯の形成に欠かせない栄養素です。カルシウムやリンの吸収を助けて血中カルシウム濃度を高め、骨や歯へのカルシウムの沈着を高めます。妊婦が1日に摂取したい推奨量は7マイクログラムです。妊娠中は過剰摂取しないよう気にされてきましたが、ビタミンAのような問題は置きにくいと考えられています。上限は、一般的な成人と同じ1日当たり100マイクログラムとなっています[5]。

ビタミンK

ビタミンKは血液凝固作用を持ち、不足すると出血が止まりにくくなることがあります。また、カルシウムを骨に沈着させる作用を持つため、骨粗しょう症の改善にも使用されています。妊娠時に摂りたい目安量は1日150マイクログラムです[2][3][4]。

ビタミンE

ビタミンEは、赤血球や筋肉を作るために必要になるビタミンです。妊娠時の目安量は1日6.5mg、授乳時は7.0mgです。摂取上限は700mgです[4][5]。

人体に欠かせない栄養素であるビタミン類には、様々な種類と役割があります。通常の食事であれば過剰摂取をする可能性は高くありませんが、サプリメントで補う場合には、必ず1日の摂取量を守るようにしましょう。

参考文献

  1. [1]厚生労働省. "神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について" 厚生労働省 2000
  2. [2]日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会. "産婦人科診療ガイドライン─産科編2014" 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会 2014
  3. [3]choices. "Vitamins, supplements and nutrition in pregnancy" NHS. http://www.nhs.uk/conditions/pregnancy-and-baby/pages/vitamins-minerals-supplements-pregnant.aspx (参照2017-10-17)
  4. [4]Pregnancy Wellness. "Nutrients & Vitamins For Pregnancy" American Pregnancy Association. http://americanpregnancy.org/pregnancy-health/nutrients-vitamins-pregnancy/ (参照2017-10-17)
  5. [5]厚生労働省. "日本人の食事摂取基準2015年版" 厚生労働省 2015
  6. [6]中村丁次編著. 栄養食事療法必携 第3版. 医歯薬出版 2005: 272-276
  7. [7]Rothman KJ, et al. Teratogenicity of high vitamin A intake, N Engl J Med 1995; 333(21): 1369-1373
  8. [8]McKiernan P, et al. Neonatal jaundice, Clin Res Hepatol Gastroenterol 2012; 36(3): 253-6

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