甘く見てはいけない!うつ病の自殺率

更新日:2016/12/09

長く続く重度のうつ病の症状と対処法

うつ病には軽度のものから重度のものまでありますが、自殺に走ってしまう人もいます。うつ病になるとなぜ自殺したいと考えてしまうのか、また、うつ病で自殺する人の割合はどの程度のものなのか、ドクター監修の記事で解説します。

「消えてしまいたい」「生きていたくない」と自殺願望にとらわれることを、精神医学の言葉で「自殺念慮(じさつねんりょ)」と呼びます。ここでは、うつ病と自殺念慮の関係について紹介します。

うつ病患者の自殺率

うつ病患者の自殺率は15~25%とされており、かなり高い確率で自殺に走るケースが見られます。また、WHO(世界保健機構)の統計によると、世界中の自殺者のうち、気分障害(うつ病)を患っていた人は30%に上ります。日本でも自殺者の約60%がうつ病を患っていたと考えられており、その約60%のうち70~80%は心療内科などでの治療を受けていなかったとされています。米国の精神医学界がうつ病診断のために作成したマニュアルであるDSM-Ⅳでも、「自殺したいという思いにとらわれる」という項目を診断基準のひとつにあげていることから、自殺は、うつ病の症状のひとつと考えることができます。

うつ病患者の自殺率が高い理由

うつ病になると、不安感や焦燥感に苛まれ「この病気は一生治らない」「周囲に迷惑をかけてしまう」と絶望してしまうため、結果的に自殺に結びつくと考えられます。また、うつ病と脳の仕組みにより「脳内の情報伝達物質が正常に働かなくなったために自殺に至った」と考えることも可能です。

脳内の情報伝達物質には、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどがありますが、うつ病患者の脳は、ストレスにより情報伝達物質の量が減少し、脳が機能低下を起こした状態になっています。この時、セロトニンの量も減少していると、ストレスがイライラに拍車をかけて暴力性が高まります。この暴力性が内側(自分)に向かった時、自殺衝動を引き起こすのです。

また、SSRIなどのうつ病治療に用いられる抗うつ薬が自殺を引き起こしたケースもあります。抗うつ薬は、うまく働かなくなったセロトニンなどの情報伝達物質を調整する役割を果たしていますが、この働きが急激に活発になり過ぎると衝動性や攻撃性を誘発してしまうことがあるのです。これを「アクチベーション・シンドローム(賦活症候群)」といい、日本ではこのリスクをふまえ、18歳未満のパロキセチン(SSRIの一種)の投薬を控えるよう厚生労働省が呼びかけています。