更年期障害のホルモン補充療法の効果や種類、副作用とは

更新日:2017/05/29 公開日:2014/12/26

更年期障害の治療

更年期障害の可能性があると診断された場合に適用される、ホルモン補充療法についてまとめています。現在、更年期障害の主流の治療法だといわれています。ここでは、ホルモン補充療法の効果や治療法の種類、副作用についてドクター監修記事のもと解説します。

更年期とは卵巣機能が衰えて最終的にはその機能が停止する時期を言います。

一般的には閉経をはさんだ前後約10年(50歳閉経なら45~55歳前後)をさし、女性ホルモンの低下によって日常生活に支障が出るほどの症状が現れることを「更年期障害」といいます。更年期障害の治療で、もっとも主流といわれているのが「ホルモン補充療法」です。

更年期障害におけるホルモン療法とは

女性の場合、閉経が近づくと卵巣機能が低下し、卵巣から分泌される女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が急激に減少します。この急激な低下によって体がその変化に対応できず、自律神経失調症などのさまざまな症状を引き起こします。

「ホルモン補充療法(HRT)」というのは、エストロゲンの急激な低下に対して、必要最低限のホルモンを補充する治療法のこと。ホルモンを補充することによりその急激な変化をゆるやかにすることができ、閉経したあとのホルモン環境に体を適合させていくサポートをするための療法になります。

ホルモンを補充することに対して抵抗がある方もいらっしゃいますが、ホルモン補充療法は更年期障害の根本治療だといわれています。転がり落ちるように低下していくホルモンをゆるやかに着地させるための、クッションのような役割だと思っていただけるといいでしょう。

エストロゲンだけを連続して補充していると、子宮からの出血などの副作用をともない、子宮体がんのリスクを高める可能性があります。それを防ぐためにも、黄体ホルモン(プロゲステロン)を一緒に投与することが基本です。どのように組み合わせていくかはその方の年齢や、閉経時期、子宮の有無などにより何通りかにわけられます。

ホルモン療法の効果

ホットフラッシュや動悸、息切れの改善

治療効果は治療を開始した数日後に実感できることが多く、主に自律神経失調症状から引き起こされる症状を軽減する効果が期待できます。特に、のぼせやほてりなどのホットフラッシュや、発汗異常、動悸、息切れなどの血管運動神経症状は、治療を開始してすぐに軽減されることが多いといわれています。

皮膚の粘膜やおりものの異常の改善

膣粘膜が萎縮し乾燥して起こる「萎縮性膣炎」や、性交痛などの改善、皮膚の乾燥やかゆみの改善、おりものの異常などが日に日に改善されていくことが実感できるはずです。

その他の病気の予防効果

アルツハイマー病や、更年期の女性が気をつけたい「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」の発症を予防する効果もあるといわれています。(ただ、HRTに関しては開始時期が大事ですので主治医に相談してください。)

しかし、ホルモン補充療法はエストロゲンの急激な減少を抑えるために女性ホルモンを補充する療法であり、更年期障害の万能治療法ではありません。そのため、エストロゲンの低下が原因である症状にしか効果は期待できません。不眠やイライラなど、精神的な症状が主体の場合は、漢方療法やカウンセリングなどを併用していくことがあります。

ホルモン療法の種類

女性ホルモンを補充する方法として、「飲み薬」「貼り薬」「塗り薬」の3種類があります。

飲み薬

口から錠剤を飲む経口剤。薬は胃腸から吸収されて、肝臓を通って血液中に入ります。そのため、胃腸や肝臓に負担がかかることがあり、胃腸の調子が悪いと利用できません。

錠剤の種類には、「エストロゲン単剤(プレマリン・ジュリナ・エストリールなど))「プロゲステロン単剤(ヒスロン・プロペラなど))「エストロゲンとプロゲステロンを一緒に配合した配合剤(ウェールナラ)」の3種類があります。

プロゲステロン単剤は、子宮を有している方のエストロゲン剤服用に併用されます。

貼り薬

薬を飲む代わりに、貼り薬(パッチ)をへその横や腰に貼る方法です。貼り薬を貼ったことで、皮膚からエストロゲンが入り込み、血液の中に取り込まれます。皮膚から直接取り込まれるため飲み薬より胃腸や肝臓への負担が少ないと言われていますが、かゆみ、かぶれなどの皮膚症状が出ることも。

貼り薬の種類には、「エストロゲン単剤(エストラーナーテープ))と「エストロゲンとプロゲステロンを一緒に配合した配合剤(メノエイドコンビパッチ)」があります。

塗り薬

ジェル剤を塗ることで皮膚から血中にエストロゲンを取り込む方法です。

薬は皮膚から直接吸収されて血液中に入るため、飲み薬よりも胃腸や肝臓への負担が少ないといわれていますが、かゆみなどの皮膚症状が出ることがあります。

塗り薬の種類には、「エストロゲン単剤(ディビゲル・ルエストロジェル)」があります。

更年期障害におけるホルモン補充療法の副作用

急激に減少するエストロゲンを飲み薬や貼り薬により補充することで、さまざまな症状の軽減をはかる「ホルモン補充療法(HRT)」ですが、副作用があることが知られています。使用する薬剤により副作用のリスクは異なりますが、体が治療に慣れてくる1~2か月後までに治まるものがほとんどだといわれています。考えられる副作用は以下の通りです。

不正出血

ホルモン補充療法の副作用の代表的なものです。女性ホルモン本来の働きによるものなので、体に悪影響はありません。飲み始めの1〜2か月にみられるといわれています。

乳房のハリ、下腹部の痛みなど

これもエストロゲンの作用によるもの。こうした不快症状はほとんど最初だけで体が慣れてくれば治まります。また、薬の回数や量を調整することでなくすことも可能です。

子宮がんリスク

エストロゲンのみを長期投与し続けると子宮内膜が増殖し、子宮体がんリスクが高まるといわれています。そのため、子宮を有する方の場合はエストロゲンと併用して黄体ホルモン剤(プロゲステロン)も投与する方法が用いられるのが一般的。併用した場合の子宮がんの発生リスクは非常に低くなるといわれています。また、3か月以内であればエストロゲン単体の投与でも子宮に悪影響はないとされています。

乳がんのリスクがあるって本当?

過去に、ホルモン補充療法は乳がんの危険性が高いと海外の研究結果によりメディアに取り沙汰されたことがありました。

しかし、国際閉経学会などの専門機関が再解析したところ、女性ホルモン剤を投与することによって乳がんリスクが高まるという結果は見直されるようになりました。そして、現在では更年期の女性にとってメリットの多い治療法として注目されるようになったのです。

乳がんになるリスクが高い要因として「乳腺疾患の経緯がある」「初産経験が35歳以上」「乳がんになった家族がいる」といった例があげられますが、ホルモン補充療法を受けたことによる要因はこれらより低いことがわかっています。

また、厚生労働省研究班では、2004~2005年秋にかけて「過去10年間以内に乳がんの手術を受けた45~69歳の女性」と、「同世代のがん検診受信者の中で乳がんではなかった女性」に対して調査を実施。

アンケート調査の結果、前者のホルモン補充療法経験者は「5%」、後者では「11%」ということがわかり、乳がんではない女性の方がホルモン補充療法を受けていることが判明しました。その数およそ2倍。つまり、ホルモンを投与している方に乳がんが多いのではなく、むしろホルモン剤を投与したことのない方に比べて乳がんになるリスクは半分以下ということがわかりました。

副作用とうまく付き合うには?

上記のほか、胃のむかむかやむくみなどの副作用も出ることがあり、その場合はまずはドクターに相談するようにしましょう。

例えば、飲み薬は半分に割って飲む、ジェル剤は半量を塗る、最初の3か月程度は黄体ホルモンの影響を避けるなど、色々方法はありますので、必ずドクターに相談の上お試しください。

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