スキンケア大学 ヘルスケア大学 メンズスキンケア大学

過敏性腸症候群(IBS)の「ガス」はどうすれば治る?原因と治療法

更新日:2018/03/09 公開日:2015/01/30

過敏性腸症候群の治し方・治療法

過敏性腸症候群(IBS)の症状には、下痢や便秘のほかに「ガス」があります。ガスがおなかに溜まる、ガスでおなかが張る、頻繁にガスが出るなど、症状の特徴と原因、治療法についてドクター監修のもと紹介します。

◎短くポイントをまとめると
IBSのガスには、確立された治療法はない。しかし悩む人は実際数多くいる
治療のゴールはガスを気にせず毎日を過ごせるようになること
セルフケアと病院での治療を組み合わせ、さまざまなアプローチを試す必要があることも。医療者と協力し、根気よく治療を行う

ガス型の過敏性腸症候群とは

これまでに過敏性腸症候群(IBS)の症状として、下痢型、便秘型、混合型のタイプを紹介してきました。そしてもうひとつ、IBSの悩みで多いものに「ガス」があります。ガスとはつまり、おならのこと。おなら=恥ずかしい症状として、特に思春期に発症した場合や女性の場合は周囲に相談できず、一人で悩みを抱えてしまうことも多いようです。どんな症状が起こるのか、またその原因と治療法を紹介します。

ガスが溜まるのも過敏性腸症候群(IBS)の一種

IBSの症状として、ガスの悩みは多いものの、IBSの分類に「ガス型」というものはありません。

分類としては便秘型となり、ガスの症状はその症状の一つである「腹部膨満感」(ガスがおなかに溜まる、ガスでおなかが張る、頻繁にガスが出るなど)と考え、治療を行います。

おなかが張って苦しいだけでなく、ガスがおなかの中で動くことによって痛みを感じることもあります。

ガスに悩む人の中には、「人前でおならが出たらどうしよう」「おならの臭いで周囲の人に迷惑をかけてしまっている」という思いから、ガスが出ていないときまで「臭っているかも」と心配になることもあります。外出や行動が思うようにできなくなったり、特に思春期の場合はガスを気にしてしまうあまり学校に通えなくなったりと深刻な悩みにつながってしまうことも。精神的な負担を抱えることで、通常の日常生活ができないほどの支障をきたしてしまうケースも多くあるのです。

ここでは、便秘型の分類の中で、特にガスの原因と治療法について説明します。

過敏性腸症候群(IBS)でガスが溜まる原因

おなかにガスが溜まる原因としては、以下のことが挙げられます。

  • 緊張やストレスで呼吸が乱れ、たくさん空気を吸ってしまう
  • 腸内フローラのバランスが乱れたり、繊維を多く含む食べ物などによって腸内でガスが発生してしまっている
  • ストレスなどにより胃腸の運動機能が低下し、腸内にガスが排泄されずに腸にたまっている

また、便秘型に限らず、IBSにはストレスの関与があると考えられています[1]。これらの症状がさらにストレスとなり、症状がまた悪化する、という悪循環となってしまっているということも考えられます。

過敏性腸症候群(IBS)によるガスの治療法

過敏性腸症候群によるガスの治療のゴールは、ガスが引き起こす不快な症状を改善し、ガスを気にせずに毎日を過ごすことです。ガスに特化した治療法はなく、基本的に便秘型の治療に準じたもの、また便秘を避けるものになります。治療の基本は食事療法や生活習慣の改善などのセルフケアとなり、場合によって薬も組み合わせた治療を行います[1]。はじめて受診する際は、消化器内科がよいでしょう。ストレスが大きくかかわる病気ではありますが、まずはほかの消化器の病気が隠れていないかを腹部超音波、腹部CT、内視鏡などで検査し確認することが大切です。その後、メンタル面からの影響が大きいと判断された場合には、心療内科にて治療が行われることもあります。

IBSのセルフケア

実は、すべてのIBS患者に当てはまる有効な食事療法や生活習慣の改善パターンは確立されていません。人によって合う/合わないのパターンも異なるとされています。以下、IBSに関連することがわかっている食べ物や習慣について挙げますので、特定の行動で悪化しやすい傾向がわかった場合には、それらを避けてみましょう[1][2]。

摂りすぎに気をつけたほうがいいもの、避けたほうがいいもの
炭水化物
脂質が多い食事
コーヒー
アルコール
香辛料などの刺激物
発酵性を持つ糖を含む食べ物(リンゴ、スイカ、ドライフルーツ、アスパラガス、ブロッコリー、小麦、乳製品、はちみつ、枝豆、大豆など)[3]
飲酒
喫煙
積極的に摂りたいもの、行いたいもの
プロバイオティクス(ビフィズス菌をはじめとした乳酸菌や納豆菌の入った食べ物)
十分な睡眠や休息
運動習慣
朝食を食べる
排便の時間を規則的にする

病院で行う治療

IBSは検査などでは異常がみられない「機能性疾患」です。はじめから症状によく効く薬があるものではなく、医師はさまざまなアプローチで、治療法を選択していきます。どの病気でもそうではありますが、患者と医者が一緒に治療していくという姿勢が特に大切になります。

病院で行われる治療の柱は、薬を使った治療です。消化管の動きを改善する薬のほか、乳酸菌を使った整腸剤が多く使われます[1]。医師は用量を調節しながら様子をみて、投与を続けたり服薬を完了したりといった判断をします。それで改善がみられず、ストレスによる原因が大きいと考えられた場合は、抗うつ薬や抗不安薬などのストレスに対しての薬剤も一緒に使うことがあります。

漢方薬は、慢性便秘ではおなじみの薬です。研究段階ではありますが、IBSの便秘型に対して有効だったという報告もありますので[1]、今後の研究を期待したいところです。

また、薬物療法でも効果がみられなかった場合は、リラクセーション法や催眠療法、認知行動療法のような専門的な心理療法を行うこともあります。

まとめ

過敏性腸症候群は原因や確実な治療法などが確立されていない「機能性疾患」です。セルフケアと病院での治療を組み合わせ、場合によってはさまざまなアプローチからの治療を試す必要があります。改善まで時間がかかることもありますが、ガスを気にせずに毎日を過ごすことを目標に、医療者とともに根気よく治療を行っていきましょう

参考文献

  1. [1]日本消化器病学会. 機能性消化管疾患診療ガイドライン2014, 南江堂. 2014
  2. [2]日本消化器病学会関連研究会ほか. 慢性便秘症診療ガイドライン2017, 南江堂. 2017; 11
  3. [3]HARVARD MEDICAL SCHOOL. “Try a FODMAPs diet to manage irritable bowel syndrome” Harvard Health Publishing. https://www.health.harvard.edu/diet-and-weight-loss/a-new-diet-to-manage-irritable-bowel-syndrome(参照2018-02-14)

今すぐ読みたい