悪い病気!?下痢が続く時に考えられる原因と対処法

更新日:2017/05/16 公開日:2015/03/03

下痢の症状・原因・対処法

下痢が長く続くと肉体的な負担はもちろん、「もしかして悪い病気では?」と不安が募ってしまいます。そこでドクター監修のもと、慢性的な下痢から考えられる病気の種類や赤ちゃんの下痢についての対処法を紹介します。

ヘルスケア大学参画ドクター

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下痢が長く続くと肉体的な負担だけではなく、「もしかして他の病気が原因では」と不安が募ってしまいます。ここでは、慢性的な下痢の原因や対処法、考えられる病気について解説します。

慢性下痢から考えられる病気

下痢のメカニズムは、腸のぜん動運動が活発になることで水分調整がうまくできなくなり、便の水分量が増えてしまうことで起こります。そして下痢には「慢性下痢」と「急性下痢」の2タイプがあり、3週間以上続く場合を「慢性下痢」と呼びます。

食べ過ぎや飲み過ぎ、冷えなど、原因が比較的わかりやすい急性下痢に比べて、慢性下痢の場合は「そういえばずっと続いている」と原因や症状が現れた時期があいまいなケースも珍しくありません。

慢性下痢から考えられる原因

原因が特定しづらい慢性下痢の原因は、以下のものが考えらます。

過敏性腸症候群

慢性下痢のなかで最近増えているのが、ストレスや緊張、不安などによる精神的な影響や、疲れや睡眠不足などが原因となっている「過敏性腸症候群(IBS)」です。腸そのものに異常はないのですが、ストレスや緊張によって慢性的に下痢を繰り返してしまうタイプは、慢性下痢の約70%を占めるといわれています。

精神的ストレスだけでなく、身体的ストレス、食物繊維の少ない食事、不規則な生活習慣が原因で症状が起こることもあります。多忙な毎日を過ごしていても、息抜きの時間をつくり、規則正しい生活で体のリズムを整えるなど、日常生活でできる予防を行いましょう。

治療方法について詳しくは、『過敏性腸症候群(IBS)の病院での治療方法、治療薬の種類と内容』をご覧ください。

乳糖不耐症

世の中には乳糖不耐症と言って、ラクトースを上手く分解できない(=分解酵素が少ない)体質の人がいます。牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしたり下痢になったりする人は、この乳糖不耐症だと考えられます。

牛乳をヨーグルトに加工すると、約30%の乳糖が乳酸菌によって分解されるといわれています。そのため、軽度の乳糖不耐症の人はヨーグルトであれば症状が出ないことがありますが、70%は残存していますので注意が必要です。

また、日本ではまだラクトースフリーの牛乳は一般的ではなく、無脂肪乳が無乳糖乳と勘違いされるケースも少なくないので注意してください。

腸の病気:大腸がん

大腸がんとは、大腸にできる腫瘍(しゅよう:細胞が異常に増殖して塊になったもの)のうち、周囲の組織に浸潤や転移を起こす悪性腫瘍のことを指します。

大腸がんの症状は、がんの進行度やがんができる部位によって異なります。早期の大腸がんでは、自覚症状がないことが多く症状からがんを発見するのは困難です。

がんが進行すると、下血(黒く変化した血液が混じった便)、血便(赤いままの血液が混じった便)、便秘・下痢、便が細くなる、などの症状が現れます。便は肛門に近づくにつれて水分が少なくなり、固形に変化するため、がんの部位が肛門に近いほど、こうした症状は早い段階から起こりやすいと考えられます。

大腸がんは、症状がなくても、定期的にがん検診を受診すれば早期に発見することが可能です。大腸がん検診については、『大腸がん検診の具体的な内容と精密検査』で詳しく解説しています。

腸の病気:潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は、自分自身の過剰な免疫反応によって腸の粘膜が攻撃される病気なので、主な症状は腸に関連するものになります。腸に炎症が起きてただれや潰瘍となることから、主な症状は血便や粘血便、下痢、腹痛などです。ダメージを受けている腸の粘膜病変の範囲と重症度によって症状は変わり、重症になるほど便に血液が混じるようになります。

治療方法について詳しくは、『潰瘍性大腸炎の治療』をご覧ください。

腸の病気:クローン病

クローン病は口から肛門までの消化管のあらゆる場所に、慢性的な炎症や潰瘍が起こる病気です。潰瘍とは、身体の中にできる傷口のようなもので、炎症がくり返すことで表面の粘膜がはがれ落ち、粘膜の下の層がむき出しになっているような状態です。場合によっては腸に穴が開いてしまうこともあります。

小腸に炎症や潰瘍ができることで、消化・吸収がうまくできなくなり、下痢しやすくなります。夜間にも下痢が起こる場合は、炎症や潰瘍が進行しているケースが多いので注意が必要です。早めに受診することをおすすめします。

治療方法について詳しくは、

『クローン病の治療(1)栄養療法』

『クローン病の治療(2)薬物療法』

『クローン病の治療(3)手術療法』

をご覧ください。

その他の病気

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、糖尿病など代謝の異常、胃や膵臓、肝臓の病気によっても起こることがあります。

薬の副作用

さらに、病気を治療中の方の場合、抗生物質を服用していることが原因で下痢になっている可能性も考えられます。抗生物質は身体に悪影響を及ぼす菌を殺す薬ですが、腸内の善玉菌も同時に殺してしまうため、腸内の環境に影響を与える副作用があります。ひどい下痢が続くようでしたら、かかりつけのドクターに相談しましょう。

妊婦がなる下痢の原因は?

妊娠中は、下痢や便秘が起こりやすい状態になっています。その原因のひとつに、プロゲステロンという、妊娠に欠かせない黄体ホルモンがあります。このプロゲステロンには腸の働きを抑える作用もあるため、妊娠によって多く分泌されるようになると、腸内が不安定になってしまうのです。

また、妊娠によってホルモンバランスが乱れることで、排泄機能をコントロールする自律神経が乱れることも原因のひとつです。

ほかにも、妊娠中期から後期にかけて、子宮が大きくなる時期には腸が圧迫され、胃腸の活動が妨げられ、胃液の分泌が抑えられます。すると、溜まってしまったものを消化しようと、胃腸が異常な働きをすることで下痢をともなう場合があります。

詳しくは、『妊娠初期・中期・後期の下痢の原因と対処法』をご覧ください。

赤ちゃん・乳児がなる下痢の原因は

食欲があって嘔吐や発熱などの症状がなければ、便が軟らかくても、しばらく様子を見ていて大丈夫な場合がほとんどです。しかし、いくら赤ちゃんの機嫌がよくても、1週間以上も下痢や軟便が続くのは何かしらの異常が起きている可能性が考えられます。

特に、赤ちゃんに多いのが、「二次性乳糖不耐症」です。ウイルス感染などによる急性の下痢が治っていく過程で、この病気にかかり下痢が長引くケースが見られます。

乳糖不耐症の場合は、適切な対処や治療が必要になりますし、それ以外の症状でも下痢が慢性化したときには、他に気になる症状がなくてもきちんとドクターの診察を受けるようにしましょう。

詳しくは、『長引く赤ちゃん・乳児の下痢の原因と正しい対処法』をご覧ください。

慢性下痢の対処法

下痢になると水分がたくさん排出されるため、脱水症状にはくれぐれも注意が必要です。刺激が少なく体内に吸収されやすい湯冷ましや番茶、塩分控えめの味噌汁やスープ、糖分の少ないジュース、スポーツドリンクなどで水分補給をしましょう。水分といっても、アルコールやコーヒーなどの刺激物は控えてください。

下痢が続いているときは、油っぽい肉や揚げ物などは避け、塩分控えめのおかゆや煮込みうどん、じゃがいもやにんじんなどを煮たもの、豆腐、リンゴ、バナナなど消化のよいものを食べましょう。消化に負担がかかる貝類やイカ、タコなどの魚介類、繊維質を多く含んでいる野菜、香辛料を使った刺激物なども控えた方がいいでしょう。

また、慢性的な下痢に対しては、日頃から腸内の環境を整えることも意識しましょう。ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌や、善玉菌のエサとなるオリゴ糖などを意識的に摂ることもひとつの方法です。過敏性腸症候群の方のように腸がデリケートな方こそ、お腹にやさしい食べ物を摂るように心がけてください。