菌によって違う「食中毒」の潜伏期間・発症までの時間

更新日:2017/02/06 公開日:2015/03/31

食中毒の症状と対処法

食中毒菌の種類によって、発症までの時間が異なることは意外に知られていません。ドクター監修のもと、食品に含まれる細菌が原因で発症する「細菌性食中毒」において、それぞれの菌の潜伏期間と発症までの時間を解説します。

食中毒の原因には、ウイルスから化学物質、自然毒と、さまざまなものがあります。ここでは、なかでも多くの発症がみられる「細菌性食中毒」に焦点をあて、それを引き起こす菌の種類と、その潜伏期間についてご紹介します。

細菌性食中毒の種類:「感染型」と「毒素型」

細菌性食中毒は「感染型」と「毒素型」に分けられ、それぞれで潜伏期間も異なります。まずは、これらにはどのような違いがあるのかを見てみましょう。

感染型

食中毒菌が増殖した食品を摂取することで発症する食中毒です。具体的には、体内に侵入した菌が腸管内の粘膜を冒すことで起こります。代表的な菌に、サルモネラ菌、病原性大腸菌、リステリア菌などがあります。魚介類や食肉、鶏卵などに増殖しやすいので、生食は要注意です。

毒素型

食品内で増えた菌が毒素を出し、それを摂取することで発症する食中毒です。代表的な菌に、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌などがあります。食品を加熱することで殺菌はできていても、熱に強い毒素が食品内に残ると食中毒が起こることがあります。

「感染型」の主な菌の潜伏期間

食中毒は、菌により0.5時間~8日間というように潜伏期間に差が出ます。「感染型」に属する主な菌の潜伏期間と症状についてまとめました。

(1)カンピロバクター菌

食肉、特に鶏肉からの感染確率が高い菌で、感染してから1~7日間ほど潜伏します。腹痛、下痢、発熱、嘔吐のほか、腹部が張る症状もみられます。

(2)腸炎ビブリオ菌

増殖がかなり速い菌で、主に魚介類や刺身から感染します。潜伏期間は、およそ10~20時間といわれます。激しい腹痛や下痢、嘔吐があり、まれにしびれやチアノーゼがみられることもあります。

(3)リステリア菌

乳製品や食肉からの感染が多い菌です。短いと12時間、長いと91日間という潜伏期間があり、症状はインフルエンザと似ています。妊婦、子ども、高齢者などの場合は重症化する傾向があるため、注意が必要とされています。

(4)ウェルシュ菌

食肉・魚介類・野菜などを使用した調理品からの感染が多い菌です。特に、大量に作ったカレーやスープなどは注意が必要です。ウェルシュ菌に感染すると、潜伏期間を経て6~18時間で発症。症状は軽い腹痛や下痢がほとんどで、回復も比較的早く、1日ほどで治まります。また、摂取後24時間以降に発病することはほとんどありません。

まれに視覚障害や分泌障害、しゃべりづらくなるなどの症状が出ることもあり、一概に安心することはできません。

(5)腸管出血性大腸菌(O157など)

潜伏期間は3~9日間程度で、出血をともなう下痢があります。高熱が起こることはまれですが、免疫力の低い方は合併症が生じるケースもあるとされます。

「毒素型」の主な菌の潜伏期間

「毒素型」は、体内で菌が増殖していく「感染型」より、発症までの時間が早い傾向にあります。以下が、「毒素型」に属する主な菌の潜伏期間と症状です。

(1)ボツリヌス菌

食肉、魚肉、発酵食品、缶詰や真空包装食品から感染することが多く、潜伏期間はおよそ4~36時間といわれています。めまい、頭痛、汗の分泌障害などが起こり、神経障害や呼吸困難をともなうこともあります。

(2)セレウス菌

パスタ類、食肉を使ったスープ類などから感染することが多く、30分~6時間ほどで発症します。下痢か嘔吐どちらかの症状が現れるのが特徴ですが、潜伏期間が短い時に嘔吐の症状が出る場合が多いといわれます。

(3)ブドウ球菌

おにぎりや調理されたサンドイッチ、弁当が発生源になることが多いです。潜伏期間はおよそ2~4時間で、嘔吐、下痢、腹痛、筋肉痛などの症状が現れますが、24時間以内に回復することがほとんどです。

食中毒になった時は原因菌をつきとめ、潜伏期間から何により感染したのかを知り、今後の予防に役立てましょう。

今すぐ読みたい