妊娠中の体重増加の目安と正しい体重管理方法

更新日:2017/02/28 公開日:2015/04/15

妊娠中の食事・栄養

妊娠してお腹が大きくなるにつれ、どんどん増えていく体重。食欲旺盛な時期もありますし、運動がなかなかできないことから体重管理が難しいものです。体重増加の目安と妊娠中のダイエットについて、ドクター監修のもと解説します。

妊娠中の体重増加の目安って?

最近、20~30代の女性が「痩せすぎ」傾向にあります。厚生労働省は、平成26年度末に痩せている成人女性の割合が全体の12.3%と過去最高になったことで注意喚起が促されました。肥満度を測る数値・BMIで見てみると、BMI18.5を下回る「低体重(痩せすぎ)の女性は、昭和50年代には、20代・14%、30代・7%でしたが、現代は20代・23%、30代・14%と著しく増加しており、昔に比べて痩せすぎの女性が多くなっているのが明白です。

しかし、赤ちゃんを産むためには必要最低限の体重増加が必要な反面、太りすぎも禁物です。適正な体重増加を目指していくようにしましょう。

BMI値から体重増加の目安を計算

妊娠全期間を通して体重が増加する目安量は9~12kgです。ただし、妊娠前のBMI値によってもその幅は変わります。妊娠前のBMI値が「低体重(やせ)」の場合は9~12kg、「ふつう」の場合は7~12kgで、「肥満」の場合は医師から直接判断を受ける決まりになっています。妊娠して医師から体重増加量を命じられたら、その数字を守れるように努力しましょう。

理想の体重増加の目安

体重はなだらかな曲線で増えていくのが理想。一気に増えることのないように気をつけ、1週間で500g以上増えてしまった場合は、翌週は500g未満の増加に抑えるようにしましょう。

妊娠すると、これだけは必ず増える!

ママのお腹の中で成長する赤ちゃんを守るため、出産直後には脂肪の他にも色々なものが備わります。赤ちゃんを守り育てるために必要な分としては、下記を目安とした体重が必然的に増えるのです。

  • 胎児…約3kg
  • 胎盤…約500~700g
  • 羊水…約850g
  • 循環血液量…約1kg

他にも、赤ちゃんを守るために子宮が大きくなる、母乳の準備で胸が一気に大きくなるなどの変化も出てきます。全てを合わせて7~8kgほどになり、この数字を下回ると妊娠中に痩せていることになるので気をつけましょう。

大幅な体重増加のリスク

太りすぎは妊娠中の母体にさまざまな影響をおよぼす可能性があります。考えられるリスクとしては以下のようなものがあります。

妊娠高血圧症候群とは、妊娠20週以降から分娩後12週までに、妊婦に高血圧、または高血圧にともなうタンパク尿が見られるもので、悪化すると赤ちゃんの発育不全などにつながります。

妊娠中に血糖値が高くなる状態を妊娠糖尿病と言います。妊娠糖尿病は、妊娠高血圧症候群を引き起こすだけでなく、巨大児や流産、胎児死亡など赤ちゃんにも重大な影響を与えます。

  • 妊娠高血圧症候群になりやすくなる
  • 妊娠糖尿病のリスクが高まる

他にも、太りすぎると産道に脂肪がつき、分娩に時間がかかるため難産になることもあります。さらに、妊娠線ができやすいですし、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などのリスクも高まります。

体重増加が少なすぎるリスク

「妊娠してもキレイな自分でいたい」「プニプニと肉付きのよい自分が嫌だ」といって、妊娠中に無理なダイエットをする方がいますが、それは胎児にとってもママにとっても危険なことです。妊娠中のダイエットがきっかけで低体重児になると、免疫力が弱い、体の機能が未熟、感染症にかかりやすいなどのリスクを抱えてしまいます。

妊娠中の体重管理は普段のダイエットと違い、出産に向けた大切な準備のひとつです。お母さんが栄養を摂らないと、胎児にも当然栄養は行き届きません。決して無理なダイエットや容姿目的に行う過度なダイエットはしないようにしましょう。

太りすぎもよくないですが、体重を制限しすぎるのもとても危険なので、赤ちゃんのためだと思い、しっかりと栄養を取りながら上手に体重管理をしていきましょう。

無理のない、正しい体重管理方法とは

妊娠中は体重の推移が激しいため、毎日同じ時間に決めて体重測定をするのがよいでしょう。食事量だけでなく、1日の運動量も記録するのがおすすめです。

体に負担の少ない運動を

運動は、有酸素運動なら脂肪燃焼しながら基礎代謝をしっかりと高めてくれます。とはいえ、妊娠中の体に負担をかけるのはあまりよくないので、ウォーキングのような軽い有酸素運動がおすすめです。20~30分間続けて運動するのが効果的です。

あまり体へ負担のかからない軽いウォーキング、マタニティビクス、マタニティヨガなどにチャレンジしてみてもよいでしょう。有酸素運動は一時的に長時間頑張るよりも、毎日少しずつでもよいので続けることが大切です。軽い散歩は気分転換にもなるため、日課にしてみるのもおすすめです。

ただし、お腹に力が入りすぎるような運動や激しい運動は、赤ちゃんの負担になってしまうのでやめておきましょう。

食事はバランスよく

妊娠期の食事は主食、主菜、副菜をバランスよく、1日3回食べるようにしましょう。質・量のバランスが整った食事は、元気な赤ちゃんを産むために必要不可欠です。また、母乳への影響や、産後の体をいち早く回復させることにもつながります。

主食では、炭水化物をしっかりと摂ってエネルギーを補給してください。玄米などの穀物を選べば食物繊維やミネラルも補給できます。主菜ではタンパク質を補うため、肉・魚・大豆などを上手に取り入れ、副菜は緑黄色野菜やきのこ、海藻などのローカロリーな材料を使って工夫をしましょう。

温かい汁物なら体が温まりますし、野菜不足を補うためにも野菜をたくさん入れたスープや味噌汁がおすすめです。塩分を摂りすぎないよう、薄味に仕上げてください。

なお、妊娠中に必要になる栄養素は下記のようなものがあります。

葉酸は、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれる水溶性ビタミンB群の一種です。

体内にある300種類以上の酵素の成分である亜鉛は、細胞分裂を促して骨や皮膚の発育を促したり、免疫力を高めたりする働きがあります。

赤血球に含まれるヘモグロビンをつくる材料である鉄分。妊娠中は胎児に鉄分を取られるため、より多くの鉄分が必要になります。

カルシウムは骨の生成に欠かせない栄養素です。妊娠中は、胎児の骨をつくるために大量のカルシウムが必要になります。

カルシウムの吸収に欠かせないマグネシウムとヘモグロビンの生成を促すビタミンB6やB12、脳の発達を高めるDHAも積極的に摂取しましょう。ビタミンB6は妊娠中毒症やつわり予防にもなるといわれています。

  • 葉酸
  • 亜鉛
  • カルシウム
  • そのほか、マグネシウム、ビタミンB6、ビタミンB12、DHAなど

詳しくは、『妊婦に必要な栄養素とは?』をご覧ください。

糖分と脂肪は熱と力のもとになる大切なエネルギー源ですが、肥満の原因になるためとりすぎは禁物です。お菓子や果物などの甘いものは食べ過ぎないように心がけてください。間食には菓子類ではなく、カルシウムが豊富な牛乳や乳製品、ビタミンが豊富な果物類などを食べるようにしましょう。

  • 妊娠中の間食

女性の1日の必要エネルギー量は、約2,000kcalです。高カロリーなものを食べ過ぎないよう外食をなるべく控え、自炊などで自らコントロールをしながら、栄養バランスのよい食事をとるようにしましょう。

正しく妊娠中の体重管理しましょう

妊娠中の体重管理についてみてきましたがいかがですか。母親の健康のため、また生まれてくる子供のためにも体重管理に気をつかうといいでしょう。

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