広まる「現代型貧困」の実態と対処法

更新日:2015/04/23 公開日:2015/04/23

経済・社会

日本の貧困は拡大し続け、ホームレスやネットカフェ難民、路上売春を行う女性も増加していると言われています。「現代の貧困」の原因や、貧困状態に陥るきっかけにはどのようなものなのか、またどうしたら防止できるのか、最新のデータや研究結果から考えていきます。

貧困に陥るリスクは誰にでもある

日本の相対的貧困率(平均的な可処分所得の半分以下の収入しかない層に所属する人の割合)はバブルが崩壊した1990年代から上昇し、「一億総中流」と言われた時代は遠い昔となりました。

それに伴い、ホームレスやネットカフェ難民、路上売春や出会い系サイトを利用した売春を行う女性も増加していると言われています。

貧困率

実際、厚生労働省が2014年7月に発表した「平成25年国民生活基礎調査」によると、2012年の相対的貧困率は16.1%(6人に1人)と過去最悪で、子供の貧困率も16.3%にまで上がっています。「大人が一人」(主にシングルマザー)の世帯では、半数を超える54.6%が、「大人が二人以上」の世帯員でも12.4%が相対的貧困に陥っています。

現代の貧困の原因

ピューリッツァー賞を受賞した元ニューヨーク・タイムズの記者、デイヴィッド・シプラーがアメリカの貧困層の実態を描いた『ワーキング・プア アメリカの下層社会』では、貧困状態に陥るきっかけについて、以下のような例が紹介されています。

  • 荒廃したアパートに住むことで子供の喘息が悪化
  • 救急車を呼び、支払えない医療費が発生
  • カード破産を招き、自動車ローンの利息が上昇
  • 故障しやすい中古車を購入せざるをえなくなる
  • 母親の出勤に悪影響を及ぼし、遅刻や欠勤につながる
  • 母親の昇進と稼得能力を制約
  • 荒廃したアパートから引っ越すことができない

デイヴィッド・シプラーによると、1つ目のちょっとした不運が2つ目の不運を呼び、連鎖していくことで負のスパイラルに陥ってしまい、貧困から這い上がりにくくなる、というのが先進国の貧困の特徴です。

何が「アンダーグラウンド化」のきっかけになるのか

日本において、貧困に陥るきっかけの代表例としては、以下のようなものがあります。

(1)離婚

現在の日本は、結婚したカップルの3組に1組は離婚しています。そして、冒頭で紹介した通り、一人親の世帯(主に母子家庭)の貧困率は54.6%と大変な高水準にあり、安易な結婚は貧困に陥る大きな原因の1つと言えます。

本来であれば、母子家庭になっても父親から養育費をもらえるはずですが、厚生労働省の調査結果によると、父親から養育費を受けているのは約20%と少ないのが現状です。父親の年収が高いほど養育費を払っている割合は高くなりますが、年収500万以上でも74%が養育費を支払っておらず、その理由は「新しい家族の生活が優先されるから」という分析があります。

(2)うつ病

当然ながら職がなければ収入は得られず、貯金が尽きれば貧困状態に陥ってしまいます。『日刊SPA!』が現在無職の35~49歳の独身男女200名に行ったアンケートでは、「無職になった理由」で最も多かったのは、うつ病など精神的な病気(約46%)でした。

ホームレスの支援団体であるNPO『てのはし』の精神科医、臨床心理士などの専門家チームが行った調査では、ホームレスの約60%はうつ病などの精神疾患を抱えている疑いのあるという報告もあり、うつ病などの精神疾患と貧困との強い関連性が示唆されています。

(3)低学歴・貧困の連鎖

学歴が全てではありませんが、統計的に学歴と年収の相関関係は明らかです。

学歴と年収の関係(男性)

男女ともに、学歴が高いほど年収が高く、学歴が低いと年収が低くなる傾向があります。また、年齢が上がるにつれて差が大きくなり、40代には大きな差が開きます。

学歴と年収の関係(女性)

学歴は、本人の収入や生活状態に影響を与えるだけではなく、その次の世代の将来にも大きな影響を与えます。東京大学政策研究センターの「高校生の進路追跡調査 第1次報告書」によると、両親の年収と高校卒業後の進路には相関関係があり、両親の年収が1,000万円以上の場合は62.4%が4年生大学に進学するのに対し、400万円未満では31.4%と、約半分となっています。

ある政令都市の調査では、生活保護受給者の4割は親も生活保護を受けており、学歴は中学卒が58.2%、高校中退が14.4%と、高校中退以下となっていることが分かっています。つまり、貧困は子供の学力にも悪影響をおよぼし、次の世代へ貧困が連鎖しやすくなります。

アンダーグラウンド化を防ぐ方法

自分はもちろんですが、次の世代へも影響を与える貧困から身を守るには、どうするべきなのでしょうか。もちろん、上述のような、貧困のきっかけとなりうるリスクを回避することが大変重要となります。

(1)結婚・出産・離婚は慎重に

司法統計『性別離婚申し立ての動機別割合の推移』によると、2013年に女性が離婚を申し立てたケースにおける離婚理由の1位は「性格の不一致」(44.4%)であるものの、「生活費を渡さない」(27.5%)、「暴力を振るう」(24.7%)、「精神的に虐待する」(24.9%)、「異性関係」(19.5%)も多くなっています。

生活費を渡さない、DVやモラルハラスメント、浮気をするなどといった男性では、結婚生活を継続することは困難でしょうし、離婚した後にきちんと養育費を支払う可能性は低いでしょう。「いつもダメ男にひっかかってしまう」というような人は、「子供ができたら彼が変わるだろう」などという期待で安易に結婚や出産をすると、自分にも子供にも大きなリスクとなることを肝に銘じましょう。

(2)処世術を磨く

株式会社ユーツープラスが2013年に行った『うつ病当事者への500人アンケート調査』では、うつ病になった原因として最も多いのは「仕事上の人間関係」(270人)、続いて「仕事の業務量が過大」(266人)、「仕事内容への不満」(145人)でした。このように、仕事をきっかけにうつ病になり、仕事を辞めざるをえない状況となると、一気に貧困に陥るリスクが高まります。

うつ病になりやすい性格として、生真面目、几帳面、仕事熱心、責任感が強い等があげられますが、既に「真面目に頑張りさえすればよい」という時代ではありません。「やっているようにみせて適度に息抜きをする」「周囲とうまくやる」など、世渡り上手になることは、貧困に陥らないために必要なスキルといえます。

(3)子供にはしっかり教育を

上述の通り、学歴と年収には大きな関連性があり、貧困は次の世代に連鎖するケースが多くなっています。その連鎖を断ち切るのに重要なのが教育です。

文部省の調査では、高校中退理由多いのが「学校生活・学業不適応」(39.3%)と「進路変更」(32.8%)などの生徒側からの中退で、「学業不振」(7.3%)、「問題行動等」(4.9%)など学校側からの中退は大幅に減少しています。学校生活になじめず不登校となり、高校を中退してニートとなって引きこもり状態となると働いて自立することは困難となりますので、子供に異変を感じたら、すぐに対処することが重要です。

冒頭で述べた通り、アンダーグラウンド化が進む日本では、6人に1人が貧困状態に陥っており、貧困状態となると負のスパイラルにはまってしまい、抜け出しにくくなります。上述のような点に注意し、貧困に陥るきっかけを作らないようにしましょう。

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