子供の知能(IQ)は妊娠中の行動・状態で決まる!?

更新日:2016/12/16

妊娠の超初期症状

妊娠中のお母さんの行動や状態が子供の知能・IQに与える影響については、数多くの研究が行われています。近年の研究結果を中心に、ドクター監修のもと、赤ちゃんの知能によい影響を与えること、悪影響を与えることについてご紹介します。

妊娠中のお母さんの行動や状態が子供の知能・IQに与える影響については、数多くの研究が行われています。近年発覚した研究結果を中心に、赤ちゃんの知能に悪影響を与える妊娠中の注意点についてご紹介をしていきます。

妊娠中のダイエット

米テキサス大学が行った研究により、妊娠初期から中期にかけて十分なカロリーや栄養素を取らないと、胎児の脳の発達が妨げられ、IQを低下させたり、行動障害を起こしやすい子供となる可能性が高いことが判明しました。

行われたのはヒヒを使った以下のような実験ですが、研究チームによると、人間においても同様の結果となる可能性が極めて高いとのことです。

  • 妊娠中のヒヒを2つのグループに分ける
  • 一方のグループは食べたいだけエサを与え、もう一方は30%程度制限する

この結果、カロリー制限をしたヒヒから生まれた子ヒヒの脳は細胞の分裂が不十分で、遺伝子的にも変異がみられました。研究チームは、特に10代の妊婦と高齢の妊婦においては、10代はまだ妊婦自身が成長しており、高齢の妊婦は子宮に運ばれる栄養素が若い妊婦よりも少ないことから、胎児へのダイエットの悪影響が強く出ることも指摘しています。

石油製品に含まれる化学物質

米コロンビア大学のメールマン公衆衛生学部(Mailman School of Public Health)は、328名の妊娠中の女性と生まれてきた子供達を対象に、生活用品に含まれる化学物質が胎児にどのような影響を与えるかを調査しました。

具体的には、妊娠中の女性の尿に含まれる4種類の化学物質のレベルを測定し、胎児が化学物質にどの程度さらされているかを事前に調べました。そしてその後、生まれた子供が7歳になった時点でIQテストを実施し、お腹の中にいるときにさらされた化学物質の量と、その後の知能(IQ)の関連性を分析しました。

その結果、「フタル酸ジブチル」と「フタル酸ジイソブチル」という2種類の化学物質と子供の知能に関連性がみられ、胎児期にこれらの化学物質に多くさらされた子供は、そうでない子供よりもIQの値が6.6から7.6ポイント低い結果となりました。

妊娠中の高血圧

フィンランドのヘルシンキ大学は、妊娠中に高血圧だった女性から生まれた子供に対し、20歳の時点と69歳の時点で、IQテストを実施しました。すると、妊娠中に高血圧だった女性から生まれた子供は、20歳の時点でのテストの結果が、高血圧でない母親から生まれた子供と比較し、平均で4.36ポイント低い結果となりました。

69歳の時点のテストでも同様の結果となり、高血圧の女性から生まれた人は、認知能力の衰えが、そうでない人よりも早い傾向があったとのことです。ヘルシンキ大学のKatri

Rdikvnen博士は、妊娠中の高血圧や、高血圧によって発生する症状は子宮内の環境に影響を与え、それによって胎児の脳の発達に悪影響を及ぼすことを指摘しています。また、その影響は一生続くことも、この研究によって示唆されています。

妊娠中のビタミンC不足

コペンハーゲン大学の研究で、妊娠中のビタミンC不足は、胎児の脳に重大なダメージを与える可能性があることが判明しました。具体的には、ビタミンCが不足すると、記憶をつかさどる「海馬」部分の発達が10~15%も妨げられてしまいます。そして、この出産後、子供に十分なビタミンCを与えても、

妊娠中に妨げられた海馬の発達は回復しないとのことです。

これまでは、母体は胎児を守る機能があり、胎児が必要とする栄養素は優先的に胎児に届けられると思われていました。しかし、ビタミンCについてはそうでないようです。

研究者によると、先進国の大人の10~20%はビタミンCが不足しているとのことなので、意識的に改善しない限り、10~20%の確率で上述のような妊娠中のビタミンC不足が生じる可能性があると考えられます。

子供の知能を下げないためにするべきこと

まとめると、妊娠中に子供の脳の発達に悪影響を与える要素を排除するためには、以下のようなことが重要だと考えられます。

(1)ビタミンCを含め、十分な栄養を摂る

ママタレントなどの影響で、「キレイなママでいるために、妊娠中もなるべく太らないようにしたい」と考える方は多いかと思います。しかし、妊娠中のダイエットは子供の将来に悪影響を与える可能性があります。どうしてもダイエットが必要な場合は、十分な栄養と必要なカロリーは摂取し、お菓子など、不必要なカロリーだけをカットするようにしましょう。

妊娠中は赤ちゃんを守るため、羊水約850g、循環血液量約1kgが増え、さらに胎児約3kgに胎盤約500~700gをあわせ、全部で7~8kgほど体重が増加します。これより少ない場合は、妊娠中に痩せていることになるので、注意しましょう。

また、ビタミンCは免疫力を高めてくれる効果もあるため、積極的に摂りたい栄養素のひとつです。ビタミンCを含むフルーツや野菜は多く知られていますが、熱に弱く水に溶けやすい性質から調理の過程で失われやすいため、注意が必要です。

ビタミンCを多く含む食品や効果的な摂取方法については『抗酸化成分・食品(2)ビタミンCの効果と効率的な摂取法』をご覧ください。

(2)化学物質をなるべく避ける

化学物質とIQの関係を調査した米コロンビア大学の研究チームは、妊娠中に化学物質を体内に取り込むのを避けるため、以下のようなことを推奨しています。

  • プラスチック製のお皿などに入れ、電子レンジで加熱されたものを口にしな
  • 外食時など、調理方法が不明なものは口にしない
  • 香料入りの製品(芳香剤、エアフレッシュナー、乾燥器に入れる柔軟剤シートなど)を使用しない

(3)妊娠高血圧症候群の予防と対策

妊娠前は血圧が正常でも、妊娠中に高血圧をともなう異常が発生することがあり、これを「妊娠高血圧症候群」と呼びます。妊娠高血圧症候群は、日本では全妊婦さんの7~10%といわれ、晩婚化により増加傾向にあります。

妊娠高血圧症候群を予防するには、肥満の改善、適度な運動、ストレスの少ない生活、塩分が少なく、バランスのよい食生活が重要です。

以上、子供の脳の発達を妨げないために気をつけたいことを記載しましたが、妊娠しても、すぐに妊娠に気がつかないこともあります。すでに妊娠中の方はもちろんですが、子供が欲しいとお考えの方、妊活中の方は、妊娠する前から「胎内環境」を整える準備をぜひ開始していただきたいと思います。

授乳も子供のIQに影響を与える?

授乳の方法が子供のIQに影響を与える可能性も、さまざまな機関の調査で指摘されています。

たとえば、英国エセックス大学とオックスフォード大学が行なった調査によると、3時間おきなど一定の時間ごとに母乳やミルクを与えた場合に比べ、欲しがったときに与えた子供の方が、学校の成績もIQも高くなる傾向にある、という結果が出ました。

そのほかにも、米国が1300組の母子を対象に行なった調査では、ミルクよりも母乳を与える時間が長いほどIQが高くなったという結果も出ています。

子供の将来のために

IQは家庭環境や両親のIQに影響を受けることもありますが、これらの結果を見ると、妊娠期間中や新生児の頃の環境も影響を与えることが読み取れます。

今回ご紹介した気をつけるべきポイントは、妊娠中の健康管理としても重要な要素です。IQだけでなく、子供の健康的な将来のためにも、ぜひ日常生活で気をつけてみてください。

参考文献

- Columbia University’s Mailman School of Public Health 『Exposure During Pregnancy to Common Household Chemicals Associated with Substantial Drop in Child IQ』

- MAIL ONLINE『Dieting while pregnant can lower your baby's IQ』

- MAIL ONLINE『High blood pressure during pregnancy can cause lifelong effect on child's IQ』

- Professor Jens Lykkesfeldt, Department of Veterinary Disease Biology, Biomedicine, University of Copenhagen『Foetus suffers when mother lacks vitamin C』

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