素朴な疑問!人間はなぜ人の悪口を言ってしまうのか

更新日:2016/08/05 公開日:2015/04/22

人間関係

あなたは人の悪口を言ったことがありますか?おそらくほとんどの方が人の悪口を言ったことがあると思います。それがきっかけで今まで築いた人間関係も一瞬にして崩壊してしまう可能性もあります。それなのにどうして人間は当たり前のように悪口を言うのでしょうか?

あなたは人の悪口を言ったことがありますか?おそらく、ほとんどの方が人の悪口を言ったことがあると思います。一歩外にでれば、あちこちからいろんな人の悪口が聞こえてきます。「うちの上司は現場のことを一切考えていない」「あの俳優はテレビでは良く見えるけど、女癖がひどいらしい」「最近引っ越してきたお隣さん、町内の集まりに参加せず付き合いが悪い」などなど男女、年齢問わず、毎日数多の悪口が飛び交っているのが今の世の中です。それがきっかけで今まで築いた人間関係も一瞬にして崩壊してしまう可能性もあります。それなのにどうして人間は当たり前のように悪口を言うのでしょうか?

インターネットの普及によって生まれた悪口が飛び交う社会

インターネットやスマートフォンの普及により匿名で、会ったことがない人に対しても平気で悪口が言える世の中になりました。その結果、悪口の量も質も変化していきました。ネットでの悪口は抑止力がきかず、煽るような形でいろんな人が悪口を膨大化させ、被害者に精神的ダメージを与えてしまいます。例えばアメリカでは俳優のロビン・ウィリアムズが亡くなった際に、娘のツイッターに様々なユーザーからの攻撃的なツイートがされたり、故人を冒涜するような画像が投稿されました。あまりにも悪質だったことから、ツイッターの利用規約が改定されました。 記憶に新しいものだと、今年の1月に起きた、イスラム国によって日本人2人が人質にとして拘束され、殺害された事件でもインターネット上の悪口による問題が露呈されました。このとき、イスラム国側はツイッターやユーチューブなどのネットを利用していました。国民の多くが人質の安否を願っていたなかで、一部の日本人は匿名であることをいいことに、悪口を書いたり、パロディ写真や映像を作成するといった奇行に及びました。本人は面白がって行ったのかもしれませんが、その行為が誰かの生命を奪うことになったり、もしかすると自分の身を危険にさらすことになるということがわかっていないのです。

どうして人間は悪口を言ってしまうのか

さて、人間はどうして悪口を言ってしまうのでしょうか。様々な要因はありますが、今回は心理的メカニズムから紐解いていきたいと思います。キーワードになるのは「自己愛」です。これはオーストリア出身の精神科医、精神分析学者のハインツ・コフートが理論の中心に据えたものです。彼は「人間は自己愛を満たしたい生き物だ」と考えました。人間は自己愛が十分に満たされなかったり、自己愛を傷つけられると不快に感じてしまうというのです。例えば、親から愛情を受けていないと感じた場合や、他人から大切に思われていないと感じるときに、自己愛が満たされていないと思うことでしょう。また、バカにされたり、無視されたりすると自己愛が傷つきます。このような状態に陥ったとき、イライラして怒りが芽生えたり、不快な感情があふれてきます。その感情から相手を攻撃するような形で悪口を言ってしまうのです。

一般的に悪口を言ってしまう人には以下の3つのタイプが存在します。
・相手を貶めようとして悪口を言う
・自分の劣等感や不安をごまかすために悪口を言う
・何気なく悪口を言ってしまう

あなたはどのようなときに悪口がでてしまうのでしょうか。「自分よりも能力が高い人がいて、その人を引き摺り下ろしたい」「悪意はないけれども、周りに同調してさらにひどい悪口をいってしまう」「あいつのほうがもっと悪いことをしている」「自分は英語ができないが、英語だけができてもしょうがない」と様々あると思われます。この感情はどこから生まれてくるのでしょうか。そのカギを握るのはアルフレッド・アドラーという精神科医が唱えているのは「劣等感」です。人間は劣等感を克服したい生き物であると考えました。その劣等感を克服して優越感を持とうとすることが人間の成長の原動力になるというのがアドラーの考え方だといわれています。この場合、人間は良い方向、つまり上を目指して頑張っているのです。

しかしながら、人間は常に上を目指しているわけではありません。劣等感があったとしても、自分よりも弱い人、ダメな人をみれば安心して劣等感が薄れていきます。そこまでで終わればいいのですが、現在は自分よりも下の者をいじめようとする人がたくさんいます。さらに最近ではそもそも上にいきたいなんて思わないという人が増えてきています。つまり、上を目指すのではなく、下しかみない精神状態の人が増えているのです。その結果、自分よりも弱いと思った人を見つけるたびに、その人を徹底的に陥れようとするのです。

話をコフートの自己愛に戻しましょう。自己愛には「自分がどう感じるか」というポイントがあります。例えば低所得の人が高所得者に怒りを覚えるのは、相手がお金をもっているという事実ではありません。高所得者がもてはやされて、自分は周りから見下されていると感じるときです。つまり、経済的格差を感じているから腹をたてているのではなく、自分たちが社会全体から見放されていると感じているから腹がたつのです。低所得でも生活に満足感があったり、周りからのサポートを受けていると感じている人はきっと自己愛が満たされるので、そもそも高所得者に対して嫉妬することはあまりないのです。

自己愛は自己満足の気持ちでも満たされますが、他人から認められることでより一層満たされるものです。お店などでクレームを言う人の心理は「どうだ、逆らえないだろう。私のほうが上だからだ」とある種相手に認めさせるようなものなので、こういったケースでも自己愛は満たされます。

ダメなのはわかっているけど....結局悪口をいう目的は何?

当然ですが、悪口を言うことで人生が成功することはまずありえません。人の足を引っ張っても、能力がなければ他の能力のある人が代わりに台頭します。つまり、自分が成長しなければ悪口をいっても何も変わらないのです。自分の能力を高めていかなければ、いくら周りの足を引っ張っても意味がありません。きっと、多くの人がこの現実を知っているはずです。では、なぜ悪口を言うのでしょうか?それは心理的メリットを求めているからだといわれています。周りの人の悪口を言う、バカにする、その行為自体が目的になっているのです。悪口を言うことで、心理的には落ち着きます。自分のほうが上にいるのだという幻想から自己愛が満たされるのです。しかしそれは一時的なものです。その一時的な自己愛が失われると、また不満がたまり、悪口を言ってしまうのです。このような心当たり、ありませんか?それでは本物の自己愛は得ることができません。結局自分のためになっていないと気づいた方は、悪口を言う習慣をなくしていきましょう。それには自己愛が満たされることが大前提です。さらに悪口を昇華させることができれば周りからの称賛を受けることもできるでしょう。ひょっとしたら無意識に悪口を言って、人間関係がうまくいっていないかもと思う方は関連リンクの『あなたは嫌われ者?「人間関係」破壊度チェック』で確認してみてください。