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タトゥーの皮膚移植による除去治療

更新日:2016/12/09 公開日:2015/04/30

この記事の監修ドクター

六本木境クリニック 院長
境隆博先生

植皮手術イメージ

タトゥーや刺青のない部分から皮膚を採取し、タトゥーのある部分に移植する植皮(皮膚移植手術。「皮膚をリセットする」というイメージがあり、大き目のタトゥーでもきれいに消えそうな印象を受けます。しかし実際は、目立つ傷痕をはじめ、痛みやかゆみ、キズがまるで化膿したかのように長期間治らないなど、トラブルとなることが少なくないと聞きます。

実際のところ、植皮(皮膚移植)は、タトゥーの除去治療に向いた治療法なのでしょうか。また、受ける際は、どのような注意点があるのでしょうか。その疑問を解決するため、「六本木境クリニック」院長、境隆博先生に、タトゥーの除去手術について詳しく伺いました。

六本木境クリニック院長 境先生


境先生は、年間のべ300症例を超えるタトゥー除去の治療を行っており、タトゥー除去治療について深い知識と豊富なご経験をお持ちです。

タトゥーの植皮(皮膚移植)手術の特徴

Q: まずはタトゥーの植皮手術の内容と特徴について教えてください。

境先生:まず植皮手術を簡単に説明すると、以下の図のように墨の入った皮膚を切り取るか深く削り、そこに別の場所から採取した皮膚を移植するのが植皮です。

植皮手術解説図

タトゥーの植皮(皮膚移植)手術の種類

植皮(皮膚移植)は、大きく分けると「全層植皮」と「分層植皮」の2種類があります。全層植皮は、表皮と真皮の両方を厚く切り取り、移植する方法です。分層植皮は、表皮から真皮層の浅い部分までを植えるため、薄く削って皮膚を採取します。全層植皮だと広い面積を切り取ることはできず、また植皮後の生着率が悪いため、タトゥーの除去では基本的に分層植皮が行われることがほとんどです。

さらに分層植皮は、以下の3つに分類されます。

  • シート植皮:採取した皮膚をそのまま移植する方法
  • パッチ植皮:採取した皮膚を細かく切り分け、パッチワークのように移植する方法
  • メッシュ植皮:採取した皮膚を「メッシャー」という特殊な機械を通して加工し、移植する方法(下図参照)

メッシュ植皮

術後の仕上がりではシート植皮が比較的きれいで、次にパッチ植皮となります。しかし、生着率はメッシュ植皮が最もよく、入院施設のないクリニックでは最も安全性と成功率が重視されるため、タトゥーの除去治療ではメッシュ植皮が多く用いられているようです。また、メッシャーにかけると、採取した皮膚が伸びるため、採皮部が少なくて済みます。

タトゥーの植皮(皮膚移植)手術の課題と注意点

Q:タトゥーの植皮手術について、デメリットや課題、注意点があれば教えてください。

境先生:植皮は「タトゥーの入っている部位の皮膚を健康な皮膚に植え直します」というような、言葉のイメージとしては良い印象があるのですが、実は様々なデメリットがあります。具体的には、以下のような点が植皮によるタトゥー除去の問題点です。

(1)採皮部にも傷が残る

植皮を行うには、当然ながら、別の部位から皮膚を採取する必要があります。皮膚を採取するわけですから、そこにも当然傷跡が残ります。大きなタトゥーを植皮で消すには、採皮部の傷跡もかなり大きくならざるを得ません。

上述の通り、皮膚移植には全層植皮と分層植皮がありますが、全層植皮では、鼠蹊部(太ももの付け根)などに線状の長い傷あとができます。一方、分層植皮では太ももなどに植皮部よりも少し広い傷跡ができます。そして、分層植皮の採皮部は、どす黒く盛り上がるような傷跡になり大変目立つことが多い。私のクリニックにも、他院で植皮をされた方からの相談が後を絶ちません。タトゥー除去手術は病気やけがのように一刻を争うような手術ではなく、まぎれもなく美容の手術です。その美容の手術でタトゥーが入っている部位だけではなく、太ももなどの健康な皮膚に、わざわざキズを付けることには正直抵抗があります。

(2)移植した皮膚が生着しないことがある

前述の「シート植皮」という方法で移植した場合、成功すると見栄えは比較的よいのですが、生着しにくいという事実があります。植皮は皮膚移植ですので、臓器移植の一種ともいえます。例えば、太ももから採皮すると、血流は一旦途絶え、別の場所に植えると、血流が再開しなければ生着しません。移植した皮膚が生着しないと、再び採皮をして植え直すため、採皮部分の傷あとが増えていきます。

外来で広い植皮を無理に行った場合、植皮部がずれて血腫(血液が溜まった状態)などになりやすいと言えます。皮膚の一部、もしくは全てが壊死してしまい、生着せずに再植皮となったり、採皮部がこすれて治りにくかったりといった可能性があります。植皮については入院施設のある総合病院の形成外科の方がずっと有利でしょう。

(3)生着率のよい「メッシュ植皮」はウロコ状の跡が目立つ

生着率という点でいうと、前述のメッシュ植皮は生着率が90%以上と高くなります。しかし、良いことばかりではありません。メッシュ植皮を受けると、メッシャーで加工したことによるウロコ状(メッシュ状)の跡が、一生残ることになります。

ネット上の情報を見ていると、「ウロコ状や幾何学模様に見えることもある」「数年かけてきれいになる」などと書いてありますが、それは全て嘘です。100%ウロコ状の跡が見えますし、それは何年経っても消えることはありません。本来なら、患者さんに「死ぬまでウロコ状の網目が消えません。」と説明し、納得の上で植皮を受けてもらうべきですが、そのような説明をしているクリニックは少数のようです。

私は火傷(やけど)を専門に扱う熱傷専門医でもあり、形成外科医時代から、日々植皮を行ってきました。本来メッシュ植皮は、広範囲の火傷によって命が危険にさらされている患者さんを救うための手技です。優先するのは命であって、美容という観点は皆無です。そのような方法を、安易にタトゥーの除去に用いることに対し、私は大きな疑問を持っています。しかし、このことはメッシュ植皮だけに当てはまるわけではありません。例え植皮の中では比較的きれいなシート状の植皮でも、無理やり何かを張り付けたような雰囲気・いわゆるパッチワーク状の見かけをしています。

広範囲のタトゥーはどのような治療が向いている?

Q:タトゥーの植皮手術の問題点はよく理解しました。それでは、広範囲のタトゥーを除去したい場合、どのような治療がよいのでしょうか。

境先生:広範囲のタトゥーの除去には、私は削皮手術が最も適していると思っています。削皮手術であれば、採皮は必要がなく、タトゥーがある部位以外に傷痕が残ることはありません。また、皮膚を移植しないので、生着率を気にする必要もありません。植皮よりもダウンタイムが短く、翌日から削った部位も含めてお風呂に入っていただくことができるので、患部が不潔になる心配もありません。

ただし、それは、「技術と経験のある医師が丁寧に削皮手術を行った場合」という条件がつきます。削皮は、誰がやっても同じ仕上がりという訳にはいきません。担当医の技術や経験により、大きな差が出ます。場合によっては、術後の経過が悪かったり、後遺症に苦しむことになりかねません。

一度手術をすると、「失敗したから元に戻す」ということはできません。ネット上の情報を鵜呑みにして治療に飛びついたりせず、複数のクリニックや医師に相談するなど、くれぐれも慎重に検討するようにしてください。

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