糖尿病とは?糖尿病の症状と原因

更新日:2016/12/09 公開日:2015/06/24

糖尿病の基礎知識

予備軍を合わせると国民の5人に1人が該当するといわれる糖尿病。糖尿病とは、いったいどのような病気なのでしょうか。今回は、糖尿病の症状や、糖尿病が「怖い病気」といわれる理由についてドクター監修の記事で解説します。

厚生労働省が2012年に実施した調査の結果、「糖尿病」が強く疑われる人は950万人、糖尿病の可能性を否定できない「糖尿病予備群」の人は1,100万人で、合わせた人数は2,050万人にもおよぶことがわかりました。その数は、国民の5人に1人に該当します。このように糖尿病は、もはや「国民病」とも呼べる病気ですが、発症すると、どのような症状に見舞われるのでしょうか?今回は、糖尿病の症状やリスクについて解説します。

糖尿病とは

糖尿病とは、血液中の「ブドウ糖」の濃度(血糖値)が慢性的に高くなる病気のこと。ブドウ糖は、体を動かすための重要なエネルギー源で、食事から摂取した糖質が、胃や腸で分解されて、ブドウ糖になります。

このブドウ糖は、血液に乗って全身に運ばれ、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンのはたらきで、細胞に取り込まれ、エネルギーとして利用されます。また、使われずに余ったブドウ糖も、やはりインスリンのはたらきで、脂肪として体に貯蔵されるのです。

このように、ブドウ糖を活用するためには、インスリンのはたらきが欠かせません。しかし、糖尿病の人は、インスリンの分泌量が少なかったり、うまく作用しなかったりするので、ブドウ糖が有効に使われず、血液中に溢れてしまいます。その結果、血液中のブドウ糖の濃度が高い状態が続きます。この状態が糖尿病です。ブドウ糖の濃度が高い状態、いわゆる高血糖の状態が続くと、次第に血管や神経が侵され、身体にさまざまな障害が起こります。

糖尿病の原因

1型糖尿病

1型糖尿病は、体内のインスリンの絶対量が少なくなることで生じる糖尿病です。糖尿病というと、中高年の人がなりやすい病気というイメージがありますが、1型糖尿病は子供や若い人に多いのが特徴です。

発症する原因は、「自己免疫」が主な原因ではないかといわれています。免疫機能に異常が生じ、自分自身の細胞を攻撃してしまうことで、インスリンをつくる細胞が破壊されてしまうことによって起こると考えられています。

2型糖尿病

食べ過ぎや運動不足、肥満、ストレスなどが続くと、インスリンの分泌量が減ったり、細胞がインスリンの作用をあまり感じなくなったりします。すると、血液中のブドウ糖が消費されにくくなり、慢性的に血糖値が高い状態が続く、2型糖尿病になってしまいます。

日本人の糖尿病患者の95%以上を占めているのは「2型糖尿病」で、不適切な生活習慣が大きく影響しており、中高年に多いのが特徴です。

妊娠糖尿病

1型糖尿病や2型糖尿病とは別に、妊娠中に起こる「妊娠糖尿病」というものもあります。

妊娠をすると、胎児が大きくなるに連れて、たくさんのエネルギー(ブドウ糖)を胎児に供給しなければなりません。そのため、胎盤ではインスリンのはたらきを抑えるホルモン(プロゲステロン、プロラクチンなど)やインスリンを分解する酵素が産生されます。このような理由から、妊娠中期以降になるとインスリンが効きにくくなって、血糖値が上がりやすくなります。

糖尿病の症状

血糖値が高い状態が続いていても、初期には、自覚症状がほとんどありません。しかし、病気が進行してくると、次のような症状が現れることがあります。

尿の回数・量が増える

血液中のブドウ糖が増えると、腎臓が尿として排泄しようとするので、尿の量や回数が増えます。

のどが渇く

尿がたくさん出て、体内の水分が排出されてしまうので、のどが乾くようになります。

食べているのに痩せる

食事からとったブドウ糖を、エネルギーとしてうまく利用できなくなると、足りないエネルギーを補うために脂肪や筋肉が分解されます。そのため、体重が減少してしまうことがあります。

体がだるい、疲れやすい

エネルギー不足や筋肉の減少のために、休んでも疲れが取れず、常にだるさを感じるようになります。

糖尿病が怖い理由

これらの症状を見ても、それほど大したことではないと思う人もいるでしょう。しかし、糖尿病がおそろしいのは、高血糖そのものの症状ではなく、危険な合併症を引き起こしやすいことなのです。

糖尿病の3大合併症

糖尿病の合併症の中でも、特によく見られるのは、次の3つです。

(1)糖尿病神経障害…合併症の中で、もっとも早く現れるのが神経障害です。その症状は多岐にわたりますが、手足のしびれ、痛みや、けがをしても気づかないといった感覚の鈍りなどがあげられます。

(2)糖尿病網膜症…眼球の奥にある「網膜」の毛細血管が損傷を受けて、視力が低下していき、最悪の場合は、失明してしまいます。糖尿病網膜症は、糖尿病になってから数年~10年以上経って発症するといわれています。

(3)糖尿病腎症…腎臓には、毛細血管の塊の「糸球体」という組織があり、ここで、血液から老廃物や余分な水分、塩分などをろ過して、尿として排泄しています。しかし、高血糖状態が続くと、ろ過機能が正常にはたらかなくなり、老廃物がうまく外に排出されなくなります。さらに、ろ過機能は身体に必要なタンパク質を体外に出ないように調節する役割も担っているので、ろ過機能の低下によってタンパク質が尿として外に出て行ってしまいます。これにより血液中のタンパク質の量が減り、むくみや血圧の上昇などが引き起こされます。

その他の合併症

動脈が硬くなったり狭くなったりして、血液の流れが悪くなっている状態を「動脈硬化」といい、糖尿病は、この動脈硬化の危険因子の1つです。動脈硬化が心臓の血管に起こると「狭心症」や「心筋梗塞」に、脳の血管に起こると「脳梗塞」や「脳出血」に陥ります。また、糖尿病の人は、「高血圧」や「脂質異常症」「歯周病」「認知症」になるリスクも高くなります。

このように糖尿病は、放っておくと、さまざまな合併症を引き起こす危険な病気です。健康診断などで、血糖値が高いと指摘されたら、たとえ自覚症状が現れていなくても、きちんと血糖値のコントロールをしていくようにしましょう。

検査方法

糖尿病かどうかを診断するには「血糖値」と「HbA1c」の2つが重要な指標になり、これらは血液検査で調べられます。

血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことで、1dl(1デシリットル)の血液に、何mgのブドウ糖が含まれているかを数値で表します。

HbA1cは高血糖状態が続くと高くなるもので、改善してもすぐには下がりません。そのため、HbA1c値を調べることで、過去1~2か月間の血糖コントロールの状態を知ることができます。たとえば、採血をした日の血糖値が正常でも、HbA1c値が高ければ過去1~2か月間は高血糖状態が続いていたことがわかります。

血糖値の検査方法には、空腹時血糖値検査や随時血糖値検査など、測定方法は食前か食後かなどによってさまざまなものがあります。

糖尿病の予防方法

食事

糖尿病は、血糖値を下げる「インスリン」というホルモンの分泌量が低下したり、はたらきが弱くなったりして、血糖値が慢性的に高くなった状態のことです。食事をすると血糖値が一時的に上昇するため、すい臓からインスリンが分泌されます。しかし、不規則な食事や過度な間食は、インスリンの分泌を乱し、すい臓に負担をかけてしまいます。1日3食の食事を基本とし、規則正しく栄養バランスを考えた食生活を心がけましょう。

糖尿病の予防のために、「これさえ食べておけば大丈夫」、「これは絶対に食べてはいけない」という食べ物はありません。大切なのは、5大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル)をバランスよく摂取することです。

また、間食する場合は食後に少しだけとるのがおすすめです。

運動

インスリンが効率よくはたらくのは、運動で使われた部分の筋肉です。このため、糖尿病予防のためには、全身の筋肉をまんべんなく使える運動が最適です。

さまざまな運動がありますが、全身の筋肉を使えて長時間続けやすいのは「有酸素運動」です。中でも、専用の場所や道具を必要としないウォーキングは、1人で手軽にできる有酸素運動としておすすめです。

運動の強度は、ややきついと感じる程度がよいとされていますが、「忙しくて運動する時間がつくれない」という人には、通勤や外出時間の活用をおすすめします。少し早いテンポで歩く、エレベーターやエスカレーターではなく階段を利用する、立ってできる仕事は座らずに行う、まとめ買いをせずにこまめに買い物に行くなど、日常生活の活動量を増やすことから始めてみはいかがでしょう。

ストレス対策

ストレスを感じると、体を活動的にしてストレスに対抗するため、交感神経が刺激されます。すると、血糖値を上げるホルモン(カテコラミンなど)や、血糖値を下げる「インスリン」の効きを悪くするホルモン(コルチゾールなど)が分泌されるため、血糖値が上昇するのです。

私たちを取り巻く環境は、さまざまなストレスに満ちあふれています。生きている限り、ストレスを完全になくすことはできません。ストレスを「なくそう」とするのではなく、上手につき合っていくことが大切になってきます。

ストレスが溜まっているときは、ついついそのことだけを考えがちですが、考えすぎるとマイナス思考に陥ってしまいます。友達や家族との会話を楽しむ、没頭できる趣味を持つ、スポーツをして汗を流すなど、自分なりの気分転換法を見つけるようにしましょう。

睡眠

睡眠不足が続くと、体をアクティブな状態にする「交感神経」が刺激され、血糖値を上昇させるホルモンやインスリンの効きを悪くするホルモンが分泌されます。その結果、血糖値が上昇し、糖尿病を招きやすくなるのです。

また、睡眠不足が続くと疲れが取れず、ストレスが溜まりがちです。ストレスもまた、交感神経を刺激して血糖値を上昇させる要因になります。

睡眠は、時間だけでなく質も大切です。眠りの質を高めるために早寝早起きを心がけ、できるだけ毎日同じ時間に起床・就寝するようにしましょう。そうすれば、体にリズムが刻まれていき、夜には自然に眠くなってきます。

糖尿病の治療法

糖尿病は血糖値が高くなる病気なので、治療の目的は、血糖値を正常か、それに近い状態にコントロールし、維持していくことです。そのために、糖尿病の治療は、「食事療法」、「運動療法」、「薬物療法」という3つの方法を組み合わせて行います。

食事療法

食べる量を適正にすることで、体内に入ってくるブドウ糖の量を制限し、インスリンを分泌するすい臓の負担を減らして、すい臓の機能を回復させる効果があります。

運動療法

運動をすることでエネルギー(ブドウ糖)を消費して血糖値を下げる、内臓脂肪を減らしてインスリンが作用しやすい体にし、インスリンの分泌量を節約する、筋肉を増やしてエネルギーを消費しやすい体にするという効果があります。事前にメディカルチェックを受けたうえで、ドクターの指導に従い、自分に合った運動メニューをつくっていきましょう。

薬物療法

食事療法や運動療法を行っても、血糖コントロールがうまくいかなかったり、治療の開始が遅れて、合併症を発症する恐れが強かったりする場合は、薬物療法を行っていきます。薬物療法には、「血糖降下薬(飲み薬)」と「インスリン注射」があります。

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