骨粗鬆症によって引き起こされるおそろしい合併症

更新日:2016/12/12 公開日:2015/08/14

骨粗鬆症の基礎知識

骨粗鬆症が引き金となる合併症には、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞といった生命にかかわる病気がいくつかあります。ここではドクター監修の記事で、骨粗鬆症によるカルシウム不足や椎体骨折などで発症する合併症について解説します。

骨粗鬆症が引き起こす合併症には、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞、高血圧といった生命の危険を伴うおそろしい病気があります。

骨粗鬆症によるカルシウム不足が動脈硬化、心筋梗塞などを招く

動脈硬化は酸素と栄養を運んでいる動脈が歳を取るにつれてしなやかさを失ってもろくなる病気で、誰にでも起こり得ます。主な原因には、動物性脂肪や甘いもの、アルコールなどの摂り過ぎや、運動不足といった生活習慣の乱れによるものがありますが、骨粗鬆症も動脈硬化の進行を速める大きな要因になるのです。

体内のカルシウムが不足すると骨から血液へとカルシウムが溶け出し、血液中で増え過ぎたカルシウムは血管の壁について沈着します。そして、カルシウムは石灰化し、血管を硬くさせて壁を傷つけたり、血管の壁にある平滑筋という筋肉の中にも入り込んだりして、血液の流れを滞らせるというわけです。

血管壁の内側に沈着していたかたまりがはがれると、血栓(血のかたまり)として血管の中をふさいでしまいます。血栓によって血液の流れは止まり、血液の流れていく先の細胞は壊死します。これが心臓内の血管で起きる病気が「心筋梗塞」で、脳の血管で起きると「脳梗塞」になるわけです。一方、血流が滞ってくると、心臓はより強い力で血液を送り出そうとして高血圧になります。高血圧は血管壁に負担が大きく傷つきやすくもなるため、動脈硬化が進行します。すると、悪化した動脈硬化がさらに高血圧を増幅させるという負の連鎖が起きるのです。

このような血管中のカルシウム不足による合併症を防ぐには、毎日の食事でカルシウムをしっかりと摂取するように意識することが大切です。

骨粗鬆症によって背骨が曲がると逆流性食道炎に

骨粗鬆症になると、背骨がつぶれる圧迫骨折(椎体骨折)を起こすことが多くなりますが、椎体骨折は痛みをほとんど感じないことが多いといわれます。

圧迫骨折(椎体骨折)によって背骨が変形し、背中が丸くなったり身長が縮んだりすることで姿勢が自然と前かがみの状態になります。すると、体の重心が常に前のほうにかかるようになります。そのため、体の中では腹部が圧迫されて腹圧が上がり、胃と共に胃液も押し上げられて逆流性食道炎を引き起こすのです。

また、食道は胃の間にある横隔膜という壁の孔(あな)を貫いています。しかし、前かがみの状態では常に胃が圧迫された状態が続くので、胃が横隔膜の上にはみ出すことがあります。これは食道裂孔ヘルニアという、骨粗鬆症で椎体骨折をした人によく見られる病気です。食道裂孔ヘルニアは逆流性食道炎を併発しやすいだけでなく、逆流性食道炎を起こした際に重症化しやすいので注意しましょう。

逆流性食道炎は、食事や姿勢に気をつけると改善につながることもあります。食事後にすぐ横になることや食べ過ぎによる胃酸過多を防ぎ、日頃から背筋を伸ばすようにするとよいでしょう。