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免疫力アップ?体温を上げて健康になる食事と生活習慣

更新日:2017/12/11 公開日:2015/08/13

免疫力を高める方法

「免疫力を高めるには、身体を温めることが有効」とよくいわれますが、本当はどうなのでしょうか?また、冷えを避け、体を温めるためにはどのような食事や生活習慣を心がければよいのでしょうか?ドクター監修のもと解説します。

「免疫力を高めるには、身体を温めることが有効」と目にすることがあるかもしれません。確かに寒いとすぐ風邪を引いてしまいそうな気がしますし、身体を温かくすることは病気の回復を早めそうなイメージがあります。本当に体温が高くなると免疫力はアップするのでしょうか?

体温を上げると免疫力がアップする?

一般的に「免疫力向上」というときには、身体が健康な状態を保つことにより、その人が本来持っている免疫システムがきちんと働くようにする、といった意味合いで使われることが多いです。しかし、「免疫力」そのものを数値として測るための方法は、実はまだ確立していません。

人間の免疫システムは非常に複雑です。多くの要素が影響し合い、環境に応じてダイナミックに変化することで「免疫力」を発揮しています。免疫システムを担う白血球は、末梢血内には通常、リンパ球(T細胞、B細胞など)、好中球、好酸球、好塩基球、単球の5種類があり、加えて、補体、インターフェロン、リゾチームなどの物質も関与します。免疫細胞どうしはリンホカインやサイトカインといった物質を使ってコミュニケーションを取り合い、これら多数の要素が、協力して、環境の変化に対応できるように巧みに調節されています。

免疫力を測るために、細胞数を数えたり、活性化の度合いを調べたり、遺伝子の発現レベルなどを確認する方法が開発されていますが、いずれも全体から見た一部、もしくは一時的な状態を見ているにすぎません。人間の「免疫力」を総合的にしっかり数値で把握することは、現在の医学・生命科学ではまだ難しいことなのです。

このように、「体温を上げると免疫力がアップするかどうか」は、現時点では科学的には証明できないということになります。そのことを実証した研究もまだ発表されていないようです。

体温が下がると免疫力はダウンする?

では、「体温が下がると免疫力がダウンする」とはいえるでしょうか。やはり、「免疫力」を数値化できない以上、科学的にきちんと証明することはできないのですが、低体温と免疫の関係について示唆する知見はいくつかあるようです。

例えば、心肺蘇生後の患者に対して、脳の機能をできる限り保つために、低体温療法(32~34℃で半日~1日冷やす)を行うことがあります。この治療中は白血球や食細胞の活動が低下しており、肺炎などの感染症が起こりやすいことがわかっています[1]。

また、近年発表された動物実験では、マウスを20℃、4℃、-12℃の環境下に置いて、免疫に関連する細胞や因子の一部を計測したところ、寒ければ寒いほど、免疫を抑制する役割を担う細胞が減っていました。つまり、免疫システムに抑制がかかりにくいということなので、自己免疫疾患(免疫システムが暴走して自分のことを攻撃してしまう病気)を引き起こすかもしれないと結論づけられていました[2]。

このように、体温が下がりすぎると免疫システムが正常に働かないということはありそうです。

東洋医学における「冷え」

ここまで、体温と免疫の関係を、科学的に数字で評価する西洋医学の文脈で考えてきましたが、東洋医学ではどう捉えているのでしょうか。

体温が下がること、すなわち「冷え」は、多くの人が冷えていると感じないような状況で、全身もしくは部分的に冷たさを感じる状態のことをいいます。女性に多くみられ、さまざまな病態の原因や悪化要因となり得ますが、保温や加温によって改善することもあるといいます[3]。

漢方医学では、全身が冷えて新陳代謝が低下し、疲れやすくて風邪を引きやすい人では、気(生体エネルギー)が不足している「気虚」である可能性を考えます。また、抑うつ感のある「気鬱」や過剰に緊張している「気逆」では血の巡りが悪くなり、手足の冷えなどが起こってくると考えられています[4]。

日常生活でできる体温アップの方法

本来あるべき体温よりも低い状態(冷え)を解消するためには、漢方の力を借りることもできますが、まずは日常生活を見直してみてはいかがでしょうか。

食生活の見直し

東洋医学には「食養生」という考え方があります。食品を味(五味:酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味[かんみ、塩辛い])や性質(五性:温性・熱性・寒性・涼性・平性)で分類し、これらを季節や体調の変化に合わせて組み合わせてバランスよく摂ることがよいとされています。ここでは、身体を温める食養生の一部をご紹介します[5]。

<酸・温>酢、りんご、すもも、あんず、ローヤルゼリー

<苦・温>よもぎ、ふき

<甘・温>うどん、うなぎ、まぐろ、牡蠣、鯛、太刀魚、ふぐ、鯵、えび、羊肉、牛肉、やまいも、なつめ、かぼちゃ、しいたけ

<辛・温>にら、芥子、しょうが、落花生、わけぎ、大根、胡椒、しそ、山椒、らっきょう、みょうが、ねぎ、ウイスキー、ワイン、酒

<鹹・温>大麦、栗、いわし、さば、納豆、みそ

入浴方法の見直し

冷えを防ぐには、ぬるめ(38~40℃)のお湯にゆっくりつかることが大事です。熱いお湯(40℃以上)に入ると交感神経が優位になって末梢の血管が収縮し、体の芯まで温まりづらくなります。逆に、ぬるめのお湯では副交感神経が優位となるため、リラックスした状態となり、末梢まで血液が行き届きやすくなります[6]。

また、足湯も効果的でしょう。40℃のお湯に20分足をつけると、足だけでなく手の温度も上がるという報告があります。足を温めることで全身の血液循環が改善したために、手も温かくなったと考えられます[6]。

継続的に運動する

当たり前ですが、運動をすると身体が温まります。筋肉はもっとも多くの熱を生み出す器官ですので、生活の中で運動を取り入れることも冷え対策になります。筋トレやウォーキングなどはもちろん、なるべく階段を上るようにする、家事や庭仕事を積極的に行うなど、ほんの少しの工夫で運動する機会を作ることができます[6]。

なお、筋肉が増えることで基礎代謝が上がるということもいわれています。臓器別の基礎代謝量の内訳は、筋肉22%、肝臓・腎臓・心臓が約40%(それぞれ21%、8%、9%)、脳が20%です。このように、筋肉での基礎代謝量が多いため、筋肉量が増えれば基礎代謝も増えることが期待できるというわけです[7]。

参考文献

  1. [1]尾上紀子. 心肺蘇生例における低体温療法の有用性, 仙台医療センター医学雑誌 2012; 2: 25-36
  2. [2]Hu GZ, et al. Exp Ther Med 2016; 11(1): 33-42
  3. [3]日本東洋医学会. “漢方医学での病態生理 冷え” 日本東洋医学会.
  4. http://www.jsom.or.jp/universally/examination/hie.html(参照2017-06-21)
  5. [4]山川淳一ほか. “冷え症の漢方治療” 金沢医科大学.
  6. http://www.kanazawa-med.ac.jp/~center21/kanpou/files/kanpou02.pdf(参照2017-06-21)
  7. [5]田辺三菱製薬. “養生法【食養生】” 田辺三菱製薬のヘルスケア製品サイト.
  8. http://www.mt-pharma.co.jp/healthcare/school/alive05.html(参照2017-06-21)
  9. [6]テルモ体温研究所. “その他の生活習慣と冷え性” テルモ体温研究所.
  10. http://www.terumo-taion.jp/health/hiesyo/05.html(参照2017-06-21)
  11. [7]Gallagher D, et al. Organ-tissue mass measurement allows modeling of REE and metabolically active tissue mass. Am J Physiol Endocrinol Metab 1998; 275: E249-E258

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