免疫力アップ?体温を上げて健康になる食事と生活習慣

更新日:2017/11/07 公開日:2015/08/13

免疫力を高める方法

「免疫力を高めるには、身体を温めることが有効」とよく言われていますが、本当はどうなのでしょうか?また、冷えから体を温めるためにはどのような食事や生活習慣を心がければよいのでしょうか?ドクター監修のもと解説します。

ヘルスケア大学参画ドクター

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「免疫力を高めるには、身体を温めることが有効」と目にすることがあるかもしれません。確かに寒いとすぐ風邪を引いてしまいそうな気がしますし、身体を温かくすることは病気の回復を早めそうなイメージがあります。本当に体温が高くなると免疫力はアップするのでしょうか?

体温を上げると免疫力がアップする?

まず、知っておいていただきたいのは、「免疫力」を測るための確立した方法はまだないということです。

人間の免疫システムは白血球や食細胞などの細胞に加え、補体、インターフェロン、リゾチームなどの因子、リンホカインやサイトカインといった物質で調節されています。一言で白血球といっても、T細胞、B細胞、好酸球、好塩基球、単球など、多くの種類があります。このように多くの要素が、環境に応じてダイナミックに変化することで「免疫力」が発揮されます。

免疫力を測るために、細胞数を数えたり、サイトカインの量を測ったり、遺伝子の発現レベルなどを確認する方法が開発されていますが、いずれも全体から見た一部の、ある一時の状態を見ているにすぎません。「免疫力」を数値でしっかり把握することは、現在の医学・生命科学ではまだ難しいことなのです。

ですから、「体温を上げると免疫力がアップする」かどうかは、科学的には証明できないということになります。そのことを実証した研究があるかどうか調べてみましたが、はっきりしたことは分かりませんでした。

体温が下がると免疫力はダウンする?

では、「体温が下がると免疫力がダウンする」とは言えるでしょうか。やはり、「免疫力」を数値化できない以上、科学的にきちんと証明することはできないのですが、低体温と免疫の関係について示唆する知見はいくつもあるようです。

例えば、心肺蘇生後の患者に対して、脳の機能をできる限り保つために、低体温療法(32~34℃で半日~1日冷やす)を行うことがあります。この治療中は白血球や食細胞の活動が低下しており、肺炎などの感染症が起こりやすいことがわかっています[1]。

また、近年発表された動物実験では、マウスを20℃、4℃、-12℃の環境下に置いて、免疫に関連する細胞や因子の一部を計測したところ、寒ければ寒いほど免疫を抑制する細胞が減ってしまいました。つまり、免疫に抑制がかかりにくいということなので、自己免疫疾患を引き起こすかもしれないと結論づけられていました[2]。

このように、体温が下がりすぎると免疫システムが正常に働かないということはありそうです。

東洋医学における「冷え」

ここまで、体温と免疫の関係を、科学的に数字で評価する西洋医学の文脈で考えてきましたが、東洋医学ではどう捉えているのでしょうか。

体温が下がること、すなわち「冷え」は、多くの人が冷えていると感じないような状況で、全身もしくは部分的に冷たさを感じる状態のことを言います。女性に多くみられ、様々な病態の成因や増悪因子となり得ますが、保温や加温によって改善することもあるといいます[3]。

漢方医学では、全身が冷えて新陳代謝が低下し、疲れやすくて風邪を引きやすい人では、気(生体エネルギー)が不足している「気虚」である可能性を考えます。また、抑うつ感のある「気鬱」や過剰に緊張している「気逆」では血の巡りが悪くなり、手足の冷えなどが起こってくるようです[4]。

日常生活でできる体温アップの方法

本来あるべき体温よりも低い状態(冷え)を解消するためには、漢方の力を借りることもできますが、まずは日常生活を見直してみてはいかがでしょうか。

食生活の見直し:身体を温める食べ物

東洋医学には「食養生」という考え方があります。食品を味(五味:酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味)や性質(五性:温性・熱性・平性・涼性・寒性)で分類し、これらを季節や体調の変化に合わせて組み合わせてバランスよく摂ることがよいとされています。

このうち「五性」は、食べ物が体内に入ったときに身体を温めるか冷やすかを分類したものです。温性と熱性に分類される食材は身体を温める作用を持ち、内臓の働きが活発になり、血や気の巡りがよくなって新陳代謝が高まります。この作用は温性よりも熱性の方がより強いと考えられています。ただし、汗をかきやすい人や熱がこもりやすい人は摂り過ぎに注意しましょう[5]。

温性の食材
からし、こしょう、とうがらし など
熱性の食材
野菜類…かぶ、かぼちゃ、しょうが、たまねぎ、にら、ねぎ など
果物・ナッツ類…もも、くるみ など
魚介類…いわし、まぐろ など
肉類…羊肉、鶏肉 など
そのほか…黒砂糖 など

食生活の見直し:身体を冷やす食べ物

これとは逆に、「五性」の考え方では身体を冷やす食材もあります。涼性と寒性に分類される食材は身体を冷やす作用を持ちます。身体に潤いを与えて余分な熱をとり、機能を鎮静させ、便通をよくすると言われており、この作用は涼性よりも寒性の方がより強いと考えられています。ただし、冷えがある人や胃腸が弱い人は摂り過ぎに注意しましょう[5]。

涼性の食材
野菜類…セロリ、だいこん、とうがん、なす、レタス など
果物・ナッツ類…いちご、なし など
魚介類…たこ、うに など
そのほか…そば、上白糖、豆腐、まがも など
寒性の食材
野菜類…きゅうり、ゴーヤ など
果物・ナッツ類…キウイフルーツ、すいか、バナナ、メロン など
魚介類…わかめ、あさり、しじみ、かに など

入浴方法の見直し

冷えを防ぐには、ぬるめ(38~40℃)のお湯にゆっくりつかることが大事です。熱いお湯(40℃以上)に入ると交感神経が優位になって末梢の血管が収縮してしまいます。逆に、ぬるめのお湯では副交感神経が優位となるため、リラックスした状態となり、末梢まで血行が行き届きやすくなります[6]。

また、足湯も効果的でしょう。40℃のお湯に20分足をつけると、足だけでなく手の温度も上がるという報告があります。足を温めることで全身の血液循環が改善したために、手も温かくなったものと考えられます[6]。

継続的に運動する

当たり前ですが、運動をすると身体が温まります。筋肉はもっとも多くの熱を生み出す器官ですので、生活の中で運動を取り入れることも冷え対策になります。筋トレやウォーキングなどはもちろん、なるべく階段を上るようにする、家事や庭仕事を積極的に行うなど、ほんの少しの工夫で運動する機会を作ることができます[6]。

参考文献

  1. [1]尾上紀子. 心肺蘇生例における低体温療法の有用性, 仙台医療センター医学雑誌 2012; 2: 25-36
  2. [2]Hu GZ, et al. Exp Ther Med 2016; 11(1): 33-42
  3. [3]日本東洋医学会. “漢方医学での病態生理 冷え” 日本東洋医学会.
  4. http://www.jsom.or.jp/universally/examination/hie.html(参照2017-06-21)
  5. [4]山川淳一ほか. “冷え症の漢方治療” 金沢医科大学.
  6. http://www.kanazawa-med.ac.jp/~center21/kanpou/files/kanpou02.pdf(参照2017-06-21)
  7. [5]杏仁美友監修. 五性・五味・帰経がひと目でわかる食品成分表.池田書店 2016
  8. [6]テルモ体温研究所. “その他の生活習慣と冷え性” テルモ体温研究所.
  9. http://www.terumo-taion.jp/health/hiesyo/05.html(参照2017-06-21)

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