スキンケア大学 ヘルスケア大学 メンズスキンケア大学

糖尿病予防に糖質制限食は有効?

更新日:2018/05/10 公開日:2015/09/28

血糖値を下げる/糖尿病に有効な食事・食生活

糖尿病の予防方法の1つとして、近頃「糖質制限食」が注目されていますが、その有効性については賛否両論さまざまな意見があるようです。ドクター監修のもと、糖質制限食が糖尿病によいとされる理由と、逆に懸念されるといわれる理由について解説します。

糖尿病の予防方法の1つに「糖質制限食」があります。これまで、日本ではあまり推奨されておりませんでしたが、近年、提唱する医師も増えてきました。糖質制限食に対して賛否両論ある理由について見ていきましょう。

「糖質制限食」で制限される糖質とは

糖質はタンパク質、脂質と並ぶ3大栄養素の1つで、エネルギー源として重要な役割を果たします。タンパク質や脂質もエネルギー源になりますが、糖質はこれらに比べて分解・吸収が早く、即効性があるのが特徴です。

一言で「糖質」といっても、種類はさまざまです。私たちが食品から摂取する主な糖質には、米、小麦、いも類に多い「でんぷん」、砂糖の「ショ糖」、果物の「果糖」などがあり、糖質制限食では、これらを控えるようにとしています。

「糖質制限食」が糖尿病の食事療法に有効とされる理由

現在、医療機関で一般的に指導されている糖尿病の食事療法は、糖尿病学会で推奨している「カロリー制限食」と呼ばれるものです。これは、食事の総摂取カロリーを全体的に減らしつつ、割合を60%、55%、50%にしたときに、三大栄養素のエネルギー比率を以下にするというもの。

食事で摂る炭水化物の割合

・60%の場合…炭水化物60%、脂質22.5%、タンパク質17.5%

・55%の場合…炭水化物55.7%、脂質26.4%、タンパク質17.9%

・50%の場合…炭水化物51.4%、脂質29.2%、タンパク質19.4%

一般的な食事よりは糖質の量も少なくなりますが、それよりも総摂取カロリーと脂質の量を減らすことに重点を置いた内容となっています。※1日の指示単位が20単位(1,600kcal)である場合。

これに対して「糖質制限食」とは、炭水化物(糖質)の摂取量だけを極端に減らす食事療法で、タンパク質や脂質は減らしません。カロリー制限にも多くの場合こだわらないのが特徴です。

糖質だけを制限し、脂質やタンパク質は特に減らす必要はないとしているのは、三大栄養素のうち食後に血糖値を急上昇させるのは糖質だけであることに関係します。2型糖尿病の場合初期には食後の血糖値の上昇が大きな問題となるため、その主な原因となる糖質を減らすことで、悪化を防ごうという考えです。事実、糖質を摂らないようにすれば、食後の血糖値が急上昇することはなくなります。

また、患者さんによってはインスリンの分泌機能を回復させるのにも有効とされています。糖尿病で高血糖になるのは、血糖値を下げるインスリンの分泌量が低下したり、効きにくくなることが原因ですが、糖質制限食で血糖値の急上昇を防げば、インスリンを分泌するすい臓を休ませられるため、その機能を回復させることが可能です。

さらに、糖質制限は糖尿病の危険因子の1つである肥満の解消にも役立ちます。糖質の摂取を減らせば、多くの場合総摂取カロリーが低下し、不足したエネルギーを補おうと体に蓄えられている脂肪が分解されるため、脂肪が減って体重が落ちやすくなります。また、インスリンには余ったブドウ糖を脂肪に変えて脂肪細胞に蓄えさせる働きがありますが、糖質の摂取が減るとインスリンの分泌も減少すると、やはり肥満の予防につながる可能性があります。

このように、糖質を減らすことが減量や血糖コントロールの改善につながるとして、欧米をはじめとした諸外国では、糖質制限食が生活習慣病における食事療法の1つとして注目されています。

「糖質制限食」が懸念される理由

欧米諸国では推奨されている糖質制限食ですが、日本においては、その効果や安全性について賛否が分かれているというのが現状です。日本糖尿病学会は「総エネルギー摂取量を制限せずに炭水化物のみを極端に制限して減量をはかることは、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点について、これを担保する根拠が不足しており、現時点では薦められない」と、その具体的な内容として次のような懸念をあげています。

まず、欧米の研究では、対象となるBMI(体格指数)が30~35以上のことが多く、肥満度が異なる日本人の糖尿病の病態に基づいた適正な炭水化物摂取量としては、十分な根拠が揃っているとは言えないということです。

次に、インスリンの作用は糖代謝のみではなく、脂質とタンパク質代謝など多岐に及んでいるため、個々の栄養素に限定して論じることはできないとも提言しています。

また、糖尿病患者の4割以上は腎臓の障害を持つことがわかっていますが、糖質制限食をはじめるとタンパク質の摂取が増えやすいことから、顕性腎症以上の腎症のある患者には適用が困難ともしています。

さらに、糖質だけを制限する食事療法を行うと、糖質以外からのカロリー摂取量が過剰になりやすく、かえって悪影響を及ぼすのではないかという懸念もあげています。

このようなことから、日本糖尿病学会では、現段階での食事療法としては臨床的有効性が明らかになっているカロリー制限食が有効と判断しています。

しかし、実はカロリー制限食に関しても、医学的に絶対的な根拠が示されている訳でありません。糖質、脂質、タンパク質の割合で糖質を50~60%にしているのは、現状での日本人の栄養バランスに基づいて設定しただけ、つまり平均値にすぎず、根拠となる論文必ずしも明確でないとも、指摘される先生もおられます。また、懸念事項もエビデンスに基づいたものではなく、「これまで行っていなかった方法だが、本当に危険性はないのか?」といいう憶測にすぎないと指摘さえあります。

糖尿病の食事療法の医学的根拠(エビデンス)は、依然従来型の食事療法において圧倒的に豊富に存在しており、その効果ついては疑問の余地はありません。しかし近年、日本でも糖質制限食を支持する医師が増加しています。従来のカロリー制限食よりも糖質制限食の方が短期的にはHbA1cの改善度合が高いという試験結果も出ています。懸念事項に関するエビデンスをとらない限り、本当に安全で有効な方法であると言うことはできませんが、カロリー制限食と同じく、糖質制限食も、今後のさらなるエビデンス構築が期待されていることは確かです。

この病気・症状の初診に向いている科 内科

今すぐ読みたい

公式アプリ

fem.
fem.

毎日1つ。ドクター監修の簡単ヘルスケア・ビューティー習慣!