妊活の実施方法(1)妊娠しやすい体づくりで大切なポイント

更新日:2017/10/17 公開日:2015/09/28

正しい妊活の実施方法

妊娠力を高めるには、ベースとなる体づくりがもっとも大切です。ドクター監修のもと、妊娠しやすい体をつくるために押さえておきたい食事、運動、生活習慣、ストレス対策のポイントをアドバイスします。

ヘルスケア大学参画ドクター

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避妊していないのに、なかなか赤ちゃんを授からない…こんな状態が1年続くようなら、不妊症の可能性があります。本当に不妊症だったらどうしようと怖くて、なかなか産婦人科に行きにくい気持ちがあるかもしれませんが、悩み過ぎるとそれがストレスとなって、ますます妊娠が遠のいてしまうかもしれません。産婦人科医に相談するとともに、毎日の生活習慣と環境を見直すことで、気持ちを前向きに保って、赤ちゃんに出会える日を待ちましょう。ここでは、医師の監修のもと、妊娠しやすい体づくりで大切なポイントを紹介します。

妊娠しやすい体をつくるポイント(1)やせ・肥満を解消

妊娠前にやせ(BMI※ 18.5未満)もしくは肥満(BMI 25以上)があると、妊娠した後にトラブルや分娩異常のリスクが高まると言われています[1]。

※BMI:体格指数。体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められる。標準値は22。

やせ過ぎの場合は、体脂肪率が少ないために、脳から卵巣への指令がうまくいかなくなり、月経不順や無月経などの卵巣の機能不全を引き起こし、妊娠しにくい状態になってしまいます。また、お母さんがやせ過ぎていると子供が小さく生まれてしまったり、子供が大人になってから生活習慣病を発症しやすくなってしまったりすることが知られています。

肥満の場合は、妊娠時に糖尿病や高血圧などになりやすく、帝王切開や大量出血など分娩時のリスクが高まります。また、子供も生まれるときに大きくなりすぎてしまったり、無事に生まれてこられなくなったりする可能性も出てきます。

健康な赤ちゃんを産むための身体づくりとして、妊娠前からバランスのよい食事と適度な運動を心がけ、やせや肥満を解消しておくことが重要です。

妊娠しやすい体をつくるポイント(2)食事

やせや肥満を解消し、妊娠しやすい体と健康な子供を生み育てられる体をつくるためには、質のよい食材をバランスよく食べることが重要です。当たり前ですが、体は食べ物に含まれる栄養素を基に作られているため、体に必要な栄養素が不足すると体の機能が正常に働かなくなります。これは、子宮や卵巣などの生殖機能に関しても例外ではありません。

現代の日本では、いつでもどこでも手軽に食事ができ、食材も簡単に手に入れることができます。これが、食べる量やカロリーは過剰なのに栄養は不足しているという「飽食の時代に起こる栄養失調」を引き起こしているともいわれています。たとえば、ファストフードやコンビニ食、インスタント食品の過剰摂取により脂質、塩分、糖分は過多であるのに対し、野菜や魚不足によりビタミン、ミネラル、質のよい脂肪やタンパク質は不足しがちです。

理想的な食事としては、主食(米、パン、麺など:主に糖質)は毎食欠かさず、主菜(肉、魚、卵、大豆など:主にタンパク質、脂質)、副菜(野菜、いも、豆、海草など:主に繊維質、ビタミン、ミネラル)を組み合わせた献立にして規則正しく摂ることが大事です。特に副菜は不足しがちなので、毎食1~2皿食べるようにしましょう[1]。

妊活中に特に意識して摂りたい栄養素に「葉酸(ようさん)」があります。受精卵が子宮に着床して妊娠に気づくまでの間に、赤ちゃんの神経管(脳や脊髄になる部分)の重要な発達ステップがありますが、そのときに葉酸が足りないと、この発達がうまくいかなくなることがまれにあります。そのため、妊活中の女性は640μg(0.64mg)/日の葉酸を摂ることが推奨されています[2]。葉酸は緑黄色野菜や果物に多く含まれており、野菜を350g/日摂れば葉酸を0.4mg/日摂取したことになりますが、これに加えてサプリメントから1日0.4mgを追加で摂ることがすすめられています。ただし、摂りすぎも良くないので、1日1mgを超えないように注意しましょう[3]。

また、体が冷えていると、血行が滞って卵巣に十分な栄養が届かなくなってしまいます。女性には冷え性の方が多いですが、妊娠しやすい体をつくるためにも、湯船に浸かる習慣を持ち、生ものなどの冷たい食べ物を取らず、温かい食べ物を積極的に摂りましょう。

※妊娠しやすい体をつくる食材・食事方法については、『妊活の実施方法(2)妊娠しやすい体を作る食べ物・食事』をご覧ください。

妊娠しやすい体をつくるポイント(3)運動

私たちの体は動かすことで血流が整い、正常な機能を保つようにできています。事実、生活習慣病と呼ばれる病気の多くは、運動不足が原因のひとつです。妊娠のしやすさも同様で、運動により体の機能を正常化させることが重要となります。

また、運動は内分泌(ホルモン)系、神経系、免疫系という3つの重要なネットワークを活性化させる効果もあります。妊娠・出産は、この3つのネットワークがそれぞれの役割をきちんと果たすことで成立します。このような点からも、運動は妊娠しやすい体をつくるうえでとても重要と考えられます。

手足の曲げ伸ばしや軽いストレッチなど、普段から意識的に体を動かし、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を習慣化させることをおすすめします。体を動かすことで冷え症の改善やストレス発散にもなります。ただし、アスリートのように激しすぎる運動を継続的に行うことは月経や排卵のサイクルを乱す原因となるため、ほどほどにしておきましょう。

妊娠しやすい体をつくるポイント(4)喫煙と禁酒

妊活しているのなら、たばこはきっぱりと止める必要があります。妊娠中に喫煙すると、自然流産が約2倍、早産が約1.5倍、お産の時に死んでしまう確率が約1.4倍高まります。また、喫煙は赤ちゃんへの酸素の供給を減らし、成長の妨げとなります。実際に低出生体重児が生まれる頻度は約2倍になると言われています[1]。喫煙は母乳の出を悪くする原因にもなるので、赤ちゃんのため、そして自分自身のためにも喫煙は必須と心得ましょう。

また、お酒も妊活中から控えておくことが好ましいです。アルコールは血液を通じてその一部が胎児に移行し、低体重、奇形、脳障害、うつ病やADHD(注意欠陥・多動性障害)などを引き起こす可能性があります。飲酒量が多ければ多いほどリスクが高まり、妊娠の時期に関わらず何らかの影響を及ぼすことが分かっていますので、「妊娠してから」ではなく、今のうちからお酒を飲まない生活に慣れておきましょう[4]。

妊娠しやすい体をつくるポイント(5)睡眠

妊娠しやすい体をつくるためには、人間の体に備わっている生体リズムを整えることも、とても重要です。生体リズムとは、決まったリズムと周期で活動する体内のさまざまな働きを言います。たとえば、睡眠と覚醒は必ず1日単位でくり返されるようになっていますし、心臓は1分間に60~80回動き、体に血液を送り出しています。

このような規則正しい働きは、体内時計により保たれています。しかし、私たちの体内時計は、睡眠不足などの不規則な生活や食生活の乱れなどにより、簡単に乱れやすくなっています。これは、体内時計がもともと25時間サイクルであることに関係します。自然環境と同じ24時間に整えるには、朝起きて日光をあびる、適度に運動する、食事を毎日3食同じ時間に食べるという、規則正しい生活が必要となります。特に、十分な睡眠時間と質のよい睡眠をとり、朝は必ず太陽の光をあびることが、もっとも重要になります。

体内時計が乱れると生体リズムが狂い、体のさまざまな機能がうまく働かなくなることから、妊娠もしにくくなってしまいます。夜はできるだけ同じ時間に寝るようにし、睡眠時間も十分とりましょう。そうすると卵子の生成に関係する成長ホルモン、卵胞の発育に関係するメラトニンなど、睡眠中に分泌されるホルモンの分泌が良くなり妊娠力がアップします。さらにレム睡眠とノンレム睡眠が交互にくり返される質のよい睡眠をとるために、就寝直前のカフェインやアルコールの摂取は控えましょう。

妊娠しやすい体をつくるポイント(6)ストレス

妊活中は、心理的なストレスにさらされやすい時期です。妊娠しないことに対する焦り、劣等感、自責の念、夫や両親に対する罪悪感、不妊治療にかかる時間やコスト、治療結果の不確実性などによるプレッシャーがありますし、周囲から心ない言葉を受けて傷つくこともあるでしょう。

強いストレスを受けると月経サイクルが乱れたり、排卵が起こらなくなったりすることがあります。そのため、ストレスも妊娠力に大きく関係します。なぜ、ストレスが月経サイクルや排卵を乱すのか、それは、ホルモンバランスをコントロールする脳の視床下部が影響を受けるためです。ストレスを受けると、視床下部は体を守ろうと防御態勢に入り、ストレスの対応に追われます。すると、ホルモンを分泌させる命令はおろそかになってしまいます。これにより、月経の遅れや無排卵など、妊娠しにくい状態を招いてしまうのです。

しかし、ストレス自体をなくすことは現実的ではありません。妊活中であろうとなかろうと、また妊娠して子供を授かった後も、ストレスは生活の中のいたるところで待ち受けています。よって、ストレスは受けないようにするのではなく、うまく付き合っていくことが必要です。

つらい気持ちは自分の中だけに溜め込んでおくのではなく、夫や理解ある周囲の人に話を聞いてもらったり、同じ立場に置かれている女性同士で語れる場に行ってみたり、カウンセラーなど心理の専門家の手助けを借りたりすることも一つの手段です。

ここまで、妊娠しやすい体づくりのポイントを紹介してきました。妊活中だからといって必要以上に生活を抑制することはありません。あなたらしく自然体で、楽しく笑顔で過ごすことが一番大切なことです。

参考文献

  1. [1]「健やか親子21」推進検討会.妊産婦のための食生活指針, 2006 _http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0201-3a.html_ (参照2017-10-17)
  2. [2]厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書, 2014 _http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html_ (参照2017-10-17)
  3. [3]厚生省. 神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について, 2000 _http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a3-03c.pdf_ (参照2017-10-17)
  4. [4]真栄里 仁. "胎児性アルコール症候群" e-ヘルスネット(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト) _https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-015.html_ (参照2017-10-17)

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