妊活の実施方法(3)妊活中に摂りたいサプリメント

更新日:2016/12/09 公開日:2015/09/28

正しい妊活の実施方法

妊娠力と食生活は切っても切れない関係ですが、栄養バランスのよい食事を摂っていても、ビタミンなどの栄養素は不足しがちになることが多いです。その理由と、妊活中に補いたいサプリメントについて、ドクター監修のもとお伝えします。

現代の日本では、どんなにバランスのよい食生活を心がけても、栄養素によっては必要な量を十分に摂取するのは難しいとされています。そのため、妊活中は、特にサプリメントでの栄養補給が推奨されています。食事だけでは不足しがちな栄養素とその理由、妊活中に補いたいサプリメントについてお伝えします。

妊活中にサプリメントがおすすめされる理由

体に必要な栄養素は、毎日の食事から摂ることが基本中の基本です。しかし、現代の日本における食事では、どれだけバランスのよい食生活を心がけても、ビタミンやミネラルなどの栄養素は十分な量を摂取するのが難しいとされています。

文部科学省の調査によると、野菜や果物に含まれる栄養素は、50年前に比べて大きく減っているそうです。たとえば、100gに含まれる量を比較した場合、ニンジンに含まれるビタミンAは6分の1、鉄分は10分の1に、ほうれん草では、ビタミンAが7分の1、鉄分が6分の1、ビタミンCが4分の1に減っていると言います。このように、昔に比べて野菜や果物に含まれる栄養素の量が減っているため、必要な量を摂取するには、50年前の何倍もの量を食べないといけないことになります。

また、NPO法人の「食と暮らしの安全基金」により、1日3食をコンビニのお弁当で済ませた場合のミネラル摂取量も発表されています。これによると、主要ミネラルの必要摂取量はとうてい満たされなかったとの結果が出たそうです。事実、厚生労働省の調べによると、30~40代の女性において、妊娠力に必要な葉酸、鉄分、亜鉛、カルシウム、マグネシウムなどのビタミンやミネラルは、必要摂取量のおよそ40~60%しか摂れていないことが明らかになっています。これは、食材に含まれる栄養素の量が減少したことに加え、加工食品などで多く使われているリン酸塩が、ミネラルの吸収を阻害しているためではないかと考えられています。

このように、普段の食事では、栄養素によってはどうしても不足してしまうものが出てきてしまうのが現状です。これを補うのに、サプリメントは効果的と言えます。「妊活中にはサプリメントの摂取がおすすめ」と聞くと、あたかも「飲めば妊娠できる」魔法のようなサプリメントがあるように感じてしまいますが、そのようなものはありません。ただし、上手に活用することで「「妊娠しやすい体に整える」ことは可能というわけです。

妊活中に補いたいサプリメント

健康な卵子と精子を育てるためには、タンパク質・脂質・糖質・ミネラル・ビタミンといった「5大栄養素」が欠かせません。これらの栄養素は卵子と精子が成長するための材料となるので、どれかひとつでも不足すると、生殖機能は低下してしまいます。

タンパク質・脂質・糖質の3大栄養素は、食事バランスに気をつけていれば、必要量が不足することはあまりないでしょう。不足しがちなのは、前述のとおり、ミネラルやビタミンなどの栄養素です。よって、妊活中には、これらの栄養素が含まれたサプリメントの摂取をおすすめします。

ただし、ビタミンやミネラルにもさまざまな種類があります。これらは、お互いがサポートしあってこそ本来の働きを発揮するため、できれば、複数の成分を組み合わせた「マルチビタミン」「マルチミネラル」などを摂取するといいでしょう。

そのうえで特に意識的に補いたいのが、葉酸です。葉酸は、流産や胎児の先天性異常のリスクを下げるのに必要な栄養素とされています。というのも、葉酸は細胞の伝達情報が集まるDNAの合成に必要なビタミンであるためです。DNAの合成が正常に行われてこそ、細胞はきちんと分裂して増えていき、胎児は健康に成長することができるのです。

胎児の脳や神経がつくられるのは妊娠3か月目までとされているため、葉酸は妊娠前から十分に摂取しておくことが推奨されています。目標摂取量は、日本人の食事摂取基準により、成人女性で1日240μg(=マイクログラム)、妊婦の場合は480μgとされています。葉酸は、レバー類やうなぎの肝(きも)、枝豆、芽キャベツ、生のほうれん草、パセリなどに多く含まれますが、熱に弱く水に溶けやすいため、普段の食事では摂取が難しいとされています。また、妊娠中に限ったことですが、レバーはビタミンAも多く含むことから、多量の摂取には注意が必要といわれています。これは、「妊婦がビタミンAを7,800μg/日以上摂取すると、胎児に奇形を起こす可能性が高くなる」との、国立健康・栄養研究所の報告によるものです。

このような理由から、厚生労働省では食品での摂取と同時に、サプリメントからの補給を推奨しています。

植物性エストロゲンはサプリで補うべき?

近年、妊娠しやすい体をつくるとして「植物性エストロゲン」も注目を集めています。これは、女性ホルモンと似た働きをすることで知られている栄養素で、大きくイソフラボンとリグナンに分かれます。なんとなく「妊娠力を高めてくれそう」と期待したくなりますが、正常に月経がある人が過剰に摂取すると、本来のエストロゲンの作用を弱めてしまうそうです。体内のエストロゲンが不足している場合には、その分を補う効果が期待できるため、そういった点で、妊娠しやすい体をつくる一助になるといわれています。月経が乱れがちなど、ホルモンバランスの崩れが気になる方は、サプリメントで補ってもいいかもしれません。

ちなみに、研究の結果、イソフラボンよりもフラックスシード(亜麻の種)やゴマ、加工されていない穀物や野菜などに含まれる「リグナン」の方が、妊娠しやすい体づくりには効果的ということがわかっています。

ただし、間違ってはいけないのが、リグナンを積極的に摂ったからといって「妊娠できる」わけではないということ。「体内のリグナン濃度が高い方は妊娠しやすい」という発表がありますが、この背景には基本となる食生活のバランスが整っていることが指摘されています。どのような栄養素も、バランスのとれた食事があったうえで力を発揮することを忘れないようにしましょう。サプリメントも、不足分を補うために活用するもので、これだけで必要な栄養素がすべて摂取できるわけではありません。過度な期待はせず、上手に活用してください。

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