溶連菌の潜伏期間~完治まで

更新日:2017/04/11 公開日:2015/10/30

溶連菌感染症の基礎知識

ドクター監修のもと、溶連菌に感染してから症状が現れるまでの潜伏期間と、完治するまでの流れについてお伝えします。溶連菌感染症はしっかり完治を確認しなければなりません。その方法についても知っておきましょう。

溶連菌感染症は、感染してすぐに症状が現れる病気ではありません。発症するまでの菌の潜伏期間と、完治するまでの流れについて解説します。

溶連菌の潜伏期間

溶連菌感染症は、ほとんどが「A群溶血性連鎖球菌(A群β溶血性連鎖球菌)」という細菌によって発症します。感染してから体に症状が出るまでを菌の潜伏期間と言いますが、溶連菌の場合はだいたい2~5日間と考えてください。

では、溶連菌感染症とはどのような病気なのでしょう。症状や治療の流れ、出勤・出席停止期間などについて解説します。

溶連菌とは

溶連菌は、溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)の略で、細菌学的な分類法によって付けられた名称です。血液中で赤血球を破壊するストレプトリジン0という毒素をつくる細菌で、溶血性という名前のとおり、血液を混ぜた培地の上で培養すると血液を溶かす溶血反応を示します。また、丸い玉が連なって増殖するという性質があることから、連鎖球菌と呼ぶようになったと言います。

溶連菌の感染力と感染経路

溶連菌の感染力と感染経路について解説します。

溶連菌は感染力が強い

溶連菌の感染力はとても強いため、溶連菌感染症は流行しやすい病気です。流行情報に触れたことのある方も少なくないでしょう。また、感染力が強いだけでなく、くり返しかかることもあります。これは、抗体をつくる抗原が異なる溶連菌が80種類以上もあるためです。そのため、溶連菌感染症の発症は幼児や学童に多いですが、大人になってから再び発症することもあります。

特に、抵抗力が低下している方(高齢者や持病を持つ方など)や妊婦は感染しやすいため、十分な注意が必要です。

・特に熱が出ているときは他人へ感染しやすい

溶連菌感染症で高熱が出ている間は、特に他人への感染力が高まっていると考えてください。溶連菌の感染力は、発症し始めの急性期がもっとも強いといわれています。急性期に兄弟間で感染する確率は、およそ25%と報告されているほどです。

・抗生物質服用後は感染力が弱まる

溶連菌に有効な抗生物質を服用し始めて24時間ほどすると、感染力は弱まってきます。発熱やのどの痛みといった症状もやわらいでくるでしょう。抗生物質の服用は、症状が治まったからと途中でやめてはいけません。およそ10~14日分の抗生物質を処方されるのが一般的ですが、再発や合併症を防ぐためにも、処方されたものはすべてしっかり飲みきりましょう。一般的な風邪とは対処法が異なりますので、必ずドクターの指示にしたがうよう注意してください。

溶連菌の感染経路

溶連菌は、体内に入ることで感染します。侵入しやすいのは、鼻やのど、胃、腸などの粘膜からです。

体に細菌が入り込むと、細菌を追い出そうとする防衛反応により鼻水や咳(せき)などが起こります。つまり、鼻水や咳には細菌がたくさん含まれているということ。これらが他人に付着することで、感染していくのです。

また、溶連菌は食品でも増殖するため、溶連菌が付着した食品を介して感染する場合もあります。集団感染の原因になるので、感染者の咳や唾液などの飛沫が食品に入ることのないよう、注意が必要です。

接触感染にも気をつけてください。溶連菌によって、とびひなどの皮膚感染症になった場合は、他人との接触を避けるようにしましょう。タオルなどの共有もいけません。

溶連菌感染症の症状

溶連菌に感染すると、2~5日ほどで症状が出始めます。

のどの痛み・発熱

溶連菌感染症は、のどの痛みと発熱から始まることが多いので、風邪と間違いやすいでしょう。ただし、溶連菌感染症の場合は、風邪に比べて咳(せき)や鼻水はほとんどなく、のどの痛みがより強いことが特徴です。口蓋垂(こうがいすい=のどちんこ)や扁桃腺が赤く腫れ、のどの入り口付近も炎症を起こします。それにともない、首のリンパ節が腫れることもあります。

発疹

のどの痛みと発熱のあとには、発疹が出るのが一般的です。赤く小さな発疹が手足や体全体に現れてきます。かゆみをともない、1週間ほど経って皮がむける場合もあります。また、舌に赤い発疹ができてイチゴの表面のようにブツブツになる「イチゴ舌」も、溶連菌感染症の特徴的な症状のひとつです。

なお、症状の出方や程度には個人差があり、発熱や発疹が出ない場合や、まれに嘔吐や頭痛をともなう場合もあることを知っておきましょう。

溶連菌感染症の合併症

溶連菌感染症は、皮膚や体の組織へ感染する場合や、敗血症※1や髄膜炎※2、急性糸球体腎炎※3やリウマチ熱※4といった重大な合併症を引き起こす可能性もあるので、注意が必要です。

※1(敗血症)~肺炎や腎盂腎炎(じんうじんえん)など、感染症を起こしている部位から血液中に病原菌が入り込み、重篤な全身症状が引き起こされる病気。

※2(髄膜炎)~持続する頭痛とともに、発熱、うなじの硬直、髄液細胞の増加などが現れる病気。

※3(急性糸球体腎炎)~なんらかの感染症により、糸球体(腎臓を構成する球場の毛細血管のかたまり)に炎症が起こった状態。

※4(リウマチ熱)~溶連菌感染症が治った2~3週間後、急に高熱を発症する病気。強い関節炎をともなう場合もある。約半数に心炎が見られ、適切に治療が行われない場合は心臓の弁に障害が残ることも。

溶連菌の流行しやすい時期

溶連菌感染症が流行するピークは年に2回あります。一度目は、春から初夏にかけて、二度目は冬です。

2015年に、溶連菌感染症の患者は増加傾向にあるとの報告がありました。患者数が過去10年間で最高に達したとのことです。流行の度合いによっては、警報を出す自治体も多くなってきています。

また、溶連菌感染症は、ほかのウイルス疾患の流行時期と重なることもあるため、インフルエンザやアデノウイルス、マイコプラズマといったウイルス感染との混合感染も見受けられます。

溶連菌感染症にかかったら出席・出勤停止すべき?

溶連菌感染症は、学校保健法により「条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる疾患」に分類されており、いつから登校・登園してよいかについては具体的に定められておりません。症状が治まり、周囲に感染させる可能性がないと学校医を含む医師に認められるまでは、出席を停止する必要があります。

溶連菌感染症の場合は、抗生物質を服用して24時間たつと感染力はほとんどなくなるため、その時点で熱が下がっており全身の状態もよければ、登校・登園できるとしているところがほとんどです。ただし、発病後7日を経過してからなど、期間を決めているところや、登校(園)許可書に医師の許可をもらうことが条件となっているところもあるようなので、確認してみましょう。

大人の場合も、溶連菌感染症と診断されたら、少なくとも受診した日とその翌日は出社を控えましょう。勤務先によっては、出勤許可証明書が必要なところもあるそうなので、こちらも確かめておきましょう。

溶連菌感染症が完治するまでの流れ

どの科に受診すればよいか?

溶連菌による咽頭炎、扁桃炎の代表的な症状は、のどの痛みや発熱です。多くの場合、内科や小児科で対応可能です。

ただし、のどの痛みが激しい場合やつばが飲み込みづらいなどの強い症状がある場合は、耳鼻科での対応が必要になることがあります。迷う場合は、かかりつけや受診前に近隣の医療機関に相談しましょう。

治療の概要

診察の結果、溶連菌に感染している可能性が高いと判断された場合、抗生物質による治療が行われます。抗生物質が効果的に作用すれば、2日後までには、熱やのどの痛みなどの症状が、徐々に改善しはじめます。

解熱後およそ1週間経つと手足の皮膚がふやけたようになり、皮がむけることがあります。アトピー性皮膚炎がある場合は、溶連菌感染症を発症すると重症化する可能性があるため、溶連菌が流行したときには十分に注意しましょう。

しっかり治療するには

溶連菌を完全に退治するには、10日~2週間ほど抗生物質を飲み続ける必要があります。この期間は処方される抗生物質によって異なるため、必ず医師の指示に従ってください。症状が治まったからと中途半端に服用を中断すると、再発や合併症の発症につながる恐れがあります。症状がなくなったとしても、処方された抗生物質は最後までしっかり服用しましょう。溶連菌感染症が完治したかどうかを判断するために、症状が改善してから2~4週間後頃に尿検査を行うこともあります。

自己判断をせず、必ず医師の診察を受けて完治を確認してください。

治療中のセルフケアのコツ

・のどが痛いときには、刺激を与えるような熱いものや、辛いものは控えましょう。

・十分に水分をとりましょう(水や麦茶などの刺激の少ないもの)。

・豆腐やおかゆなど、のど越しのよいものだと、食べやすいでしょう。

・極端に体力が低下しているとき以外は、甘いものの食べ過ぎは感染症の症状を悪化させるリスクになるので避けましょう。

溶連菌感染症を予防するには

手洗い・うがい・マスク着用

残念ながら、溶連菌感染症の予防接種はありません。咳(せき)やくしゃみなどの飛沫により感染するため、手洗いやうがいを徹底したうえで、マスクを着用しましょう。

手洗い・うがいの正しい方法は

『手洗い・うがい時の注意点』の記事で、

マスクの上手なつけ方は

『インフルエンザはマスクでどれくらい予防できる?』にて解説しているので、あわせてご覧ください。

家族が感染したときに気をつけること

また、溶連菌は家庭内感染するケースが多いという特徴があります。家族内で感染者が出た場合は、食器やタオルなどの共有は避けてください。家の中でもマスクを着用すると、より予防効果が上がるでしょう。

家族が溶連菌と診断された際には、未成年の家族も一緒に抗生物質を処方してもらえることがあります。抗生物質を服用することで感染を完全に防げるわけではありませんが、予防には有効であるとの見解があるためです。

成人の場合は、ほとんどが溶連菌に対する抗体を持っていることから、未成年ほど感染の可能性は高くありません。そのため、予防目的で抗生物質を服用する必要も特にないでしょう。

赤ちゃんへの感染は少ない

赤ちゃんへの感染は比較的少ないので、大きな心配はありません。ただし、まったく感染しないというわけではないので、油断は禁物です。

溶連菌の症状が見られたらすぐに受診を

一般的に、溶連菌感染症の症状は風邪や咽頭炎、扁桃炎と似ていることから、気づきにくいという特徴があります。早めに治療をして周囲に広めないためにも、のどの痛みや発疹などの典型的な症状が見られたら、すぐに受診しましょう。

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