猩紅熱(しょうこうねつ)と溶連菌感染症は違うもの?

更新日:2016/12/09 公開日:2015/10/30

溶連菌感染症の基礎知識

猩紅熱(しょうこうねつ)は、かつては隔離入院の必要があった病気ですが、現在では一般の感染症として扱われています。その理由と、溶連菌感染症との関係について、ドクター監修の記事にて解説します。

猩紅熱(しょうこうねつ)と言うと、死亡率の高い病気というイメージがある方もいるでしょう。しかし、最近はそれほど恐ろしい病気として知られていません。その理由と、溶連菌との関係について詳しく解説します。

猩紅熱(しょうこうねつ)とは?

猩紅熱(しょうこうねつ)は溶連菌感染症の一種で、皮膚を赤くする毒素に免疫がない場合に生じます。そのため、一般的な溶連菌感染症の症状とともに、小さな赤い発疹も現れます。この発疹は、わきの下や太ももといった目立たない部位から体中に広がっていくのが特徴です。ただし、口のまわりだけにはできません。口囲蒼白(こういそうはく)といって、口のまわりは青白く見えます。

ほかに、舌に赤いブツブツができるイチゴ舌や、回復期に皮膚がむける膜様落屑(まくようらくせつ)も見られます。

溶連菌感染症には、猩紅熱以外にもいくつかのタイプがあります。それは、溶連菌にはさまざまな種類があるためです。A群~H群、K群~W群の21群があり、人間に感染するのはA群が9割以上を占めます。A群溶連菌の感染により起こる症状(合併症も含む)には、猩紅熱のほか、急性咽頭炎、丹毒(たんどく:真皮の化膿性炎症)、伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん=とびひ)、中耳炎などがあります。

C群やG群は上気道炎を引き起こし、B群は新生児期の敗血症※1や髄膜炎※2の原因であることがわかっています。

※1(敗血症)~肺炎や腎盂腎炎(じんうじんえん)など、感染症を起こしている部位から血液中に病原菌が入り込み、重篤な全身症状が引き起こされる病気。

※2(髄膜炎)~持続する頭痛とともに、発熱、うなじの硬直、髄液細胞の増加などが現れる病気。

猩紅熱の歴史

以前は、猩紅熱にかかると伝染病棟に隔離されて入院しなければなりませんでした。つまり、法定伝染病※3に指定されていたのです。

※3(法定伝染病)~旧伝染病予防法により指定された、11種類の感染症。コレラ、赤痢、腸チフス、パラチフス、発疹チフス、痘瘡、ジフテリア、ペスト、日本脳炎、流行性脳脊髄膜炎、猩紅熱がこれにあたる。

しかし、1999年に施行された感染症新法により、猩紅熱は隔離の必要のない一般の感染症となりました。それは、この症状による死亡者が減ったことによります。

A群溶連菌の感染によって猩紅熱が発症し、たくさんの死亡者が出ていたのは1950年頃までです。アメリカでは、1943年から1945年に年間7万人ほどの猩紅熱患者が出ています。しかし、どのような理由によるのかははっきりしておりませんが、1950年~1980年にかけて、A群溶連菌による死亡者は減少していきました。

さらに、現在においては溶連菌に有効な抗生物質が開発され、治療に活かされています。かつては法定伝染病に指定されるほど死亡率の高い病気でしたが、抗生物質を服用することで、2~3日ほどで症状が改善されるようになったのです。

このような理由から、猩紅熱は、今では死に至る恐れのある病気とは考えられていません。

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