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話題のケトン体ダイエットと糖質制限ダイエットは何がちがう?

更新日:2017.07.24
公開日:2015.10.29
ドクター画像
この記事の監修者
さやか美容クリニック・町田 院長 皆木靖紀

効果が高いと話題のケトン体ダイエット。ケトン体とは体脂肪が燃えているときに合成される物質です。ケトン体ダイエットのメカニズムはどのようなもので、糖質制限ダイエットとどのように区別したらよいのか、ドクター監修の記事で解説します。

糖質制限ダイエットに近しいものとして、ケトン体ダイエットというものがあります。その概要やメカニズム、糖質制限ダイエットとの違いについて見てみましょう。

ケトン体ダイエットとは

体内でエネルギー源となるブドウ糖が不足すると、身体は脂肪を燃焼させてエネルギーとして使うようになります。このときに肝臓で作られるのが「ケトン体」。ケトン体は、アセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸という、3つの物質の総称です。通常、私たちの脳は、エネルギー源としてブドウ糖しか利用できないとされています。しかし、ケトン体は、ブドウ糖の代わりに脳のエネルギーとしても使われます。脳以外にも、心臓、筋肉などのエネルギー源となります。

ケトン体ダイエットでは、糖質を極端に制限し、血液中のケトン体を増やして、「ケトーシス」と呼ばれる状態を作ります。この状態では脂肪が分解され、主なエネルギー源としてケトン体が使われるため、ダイエット効果が期待できるのです。

具体的な方法としては、ダイエット開始から2週間ほどの間、炭水化物の摂取量を摂取カロリーの5%にまで抑えます。たとえば、1日の摂取カロリーが2,000キロカロリーの人なら100キロカロリー以内、1,600キロカロリーの人なら80キロカロリー以内といった具合です。

こうした厳しい制限で「ケトーシス」の状態を作り、開始2週間後からは徐々に炭水化物の摂取量を増やしていきます。ただし、増やすといっても、摂取カロリーの20%以内に抑えます。

効果が高いといわれていますが、思わぬ副作用が出ることもあります。まず、ケトーシスになるまでは、炭水化物の摂取を厳しく制限しますので、体がだるくなったり、頭がぼーっとしたりすることがあります。また、ケトン体のアセトンが原因で、口臭や体臭が甘酸っぱい匂い、いわゆるダイエット臭になることもあります。

さらに、酸性のケトン体が増えすぎると、血液や体液が酸性になる「ケトアシドーシス」を起こす可能性もあります。健康な方であればケトアシドーシスの心配はほぼありませんが、インスリンが体内で正常に機能していない1型糖尿病患者の場合は注意が必要です。糖尿病性ケトアシドーシスを発症すると、嘔吐や腹痛、脱水症状などを引き起こし、進行すると意識障害や昏睡を起こして死にいたる可能性もあります。

糖質制限ダイエットとケトン体ダイエットの違い

糖質の摂取量を制限するという意味では、ケトン体ダイエットと糖質制限ダイエットは似ているといえるかもしれません。しかし、糖質制限においては、夕食のご飯を少し減らすといったものから、ご飯やパンなどの炭水化物を全く食べないものまでさまざまな段階があります。これに対し、ケトン体ダイエットは、ダイエット開始時に非常に厳しく糖質を制限することで意図的にケトーシスの状態を作り出すところに特徴があります。

ケトン体ダイエットでは、1日に摂取してもよい糖質の量が厳密に定められており、主食や芋類などを避けるだけではなく、調味料にまで細かく注意を払わなければ、定められた量を守るのは困難です。長期間、適度な量を減らしていく緩やかな制限を含む糖質制限ダイエットに比べると、制限が厳しく、実行のハードルが高いといえます。

また、体に与える影響についても、厳格な糖質制限の方が大きくなることが予想されます。自分の体調や体型を考え、無理のない範囲でダイエットを行うことが大切です。特に、炭水化物、脂質、タンパク質のバランスを極端に変える方法については自己判断で実行するのは避け、専門家の管理のもとで行うことが望ましいでしょう。

糖質制限による健康影響についての注意事項

糖質制限の効果や安全性については諸説あります。例えば、効果に関して、63名の肥満の男女を低炭水化物食群とカロリー制限低脂肪食群に分けて行った研究で、6か月後では低炭水化物食群の減量幅が大きかったが、1年後になると両者の違いは見られなかったとしています[1]。また、日本糖尿病学会は運動療法と総エネルギー摂取量の制限を重視し、糖質制限に関して、「総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない」としています[2]。当コンテンツはあくまでも糖尿病などのリスクを持たない健康的な人を対象としていること、また、健康的な人の場合でも糖質制限を取り入れることでの長期的な効果や、健康への影響について否定的な意見があることにご注意ください。

参考文献

  1. [1]Gary D. Foster, et al. A Randomized Trial of a Low-Carbohydrate Diet for Obesity, N Engl J Med 2003; 348: 2082-2090
  2. [2]日本糖尿病学会. "日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言" 日本糖尿病学会. http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=40(参照2017-06-29) 

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