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【医師が監修】痔の種類と症状から見る、薬の種類と生活習慣

更新日:2016/12/09 公開日:2015/10/30

痔の検査・治療

痔は、症状によって治療方法が異なりますが、軽度の痔の場合は、薬による治療も多く行われています。この記事では、ドクター監修のもと、病院での処方薬と市販薬の種類や違い、薬の正しい使い方、生活習慣について解説します。

肛門の構造から見る痔の原因とは

肛門は、便やガスの排出を調整する器官で、直腸とつながっています。長さは約3cmで、内肛門括約筋と外肛門括約筋の2つの筋肉で囲まれています。内肛門括約筋は自分の意思でコントロールできない筋肉で、肛門を一定の力で締めるため、普段は肛門が閉じています。一方、外肛門括約筋は自分でコントロールできる筋肉で、排便の際に緩めることで肛門が開きます。

内肛門・外肛門括約筋の近くには、毛細血管や筋線維などが細かく張り巡らされている「肛門クッション」があります。軟らかくて弾力性のある肛門クッションは、排便の際に強くいきんだり、長時間座りっぱなしの状態で肛門に負担がかかったりすると、うっ血して血行障害が起こります。その結果、肛門が腫れたり出口が切れたりして、痔になるのです。

痔の種類と症状

いぼ痔(痔核・脱肛)

いぼ痔は、医学用語で「痔核(じかく)」と呼ばれます。いぼ痔は、肛門部の血液の流れが悪くなって血管が腫れ、肛門にいぼのような腫れができる状態です。立ちっぱなしや座りっぱなしの状態が多いと、肛門部の血流が悪くなるため発症しやすくなります。また、排便時に強くいきんだり、便秘や下痢によって肛門クッションに負担がかかることでも起こります。

・内痔核

直腸粘膜と肛門上皮の境目にある、歯状線(しじょうせん)より上にできる痔核です。

・外痔核

歯状線より下の、肛門の皮膚部分にできる痔核です。知覚神経が通っているため痛みを感じます。

切れ痔(裂肛)

切れ痔の主な原因は、便秘と下痢です。便秘で硬くなった便が肛門を通過したり、下痢便をくりかえしたりすることによって、肛門上皮が切れて裂けてしまう病気です。肛門上皮は、肛門と直腸のつなぎ目にある入り組んだ部分である歯状線の下にあり、痛みを感じる知覚神経が通っているため、激しく痛みます。

痔ろう(あな痔)

肛門腺などが大腸菌などの細菌に感染すると、化膿して膿が溜まる「肛門周囲膿瘍」になります。痔ろうとは、肛門周囲腫瘍が進行し、溜まった膿が出て、肛門の内外をつなぐトンネルができる痔のことです。

痔のセルフマネジメント

食生活を改善する

バランスのよい食生活を心がけるだけでも、痔の予防・改善につながります。ダイエットのために必要以上に食事制限をしていたり、1日3食きちんと食べない日があったり、食生活が乱れていませんか。次のようなことに注意して、適切な食生活を送りましょう。

・毎朝、朝食をとる

・水分補給をしっかり行う

・食物繊維を含む食品をとる

・刺激の強い香辛料、アルコールは控える

正しい排便習慣をつける

排便のとき、無理にいきむと肛門の負担になるので、3~5分かけて行いましょう。ただし、トイレに長居しすぎると痔になりやすく、痔の悪化にもつながります。また、便を我慢しすぎないことも大切です。直腸が便の水分を吸収するため、便が硬くなって便秘になったり、排便時に肛門を傷つけたりします。また、排便後は優しく拭き、トイレシャワーを使用するなど肛門を清潔に保ちましょう。

心がけたいその他の習慣

・毎日入浴する

・同じ姿勢を長時間続けない

・軽い運動やストレッチを行う

・ストレスをためない

病院で処方される薬と市販薬

痔を改善する薬には、病院で処方される薬と、ドラッグストアなどで購入できる市販薬があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

病院で処方される薬と市販薬の違い

病院を受診すると、専門医が患者を直接診察して、患者の病状に合った成分が配合されている薬を処方します。一方、市販薬は、痛みを鎮め、炎症を抑えるといった、一般的な痔に対して誰でも使えるように成分が調整されています。そのため、市販薬は、痔の症状によってはあまり効かないこともあります。

市販薬の使用は2週間をメドに

痔の症状が軽い場合は、市販薬を使ってみるのも一つの方法です。ただし、2週間程度使ってみて症状の改善が見られない場合は、薬の使用をストップし、すぐに病院を受診しましょう。

ステロイド剤が含まれている市販薬は、炎症がある場合や化膿している場合に使うと、強い副作用が起こったり、症状が悪化したりするケースもあります。薬剤師に十分相談のうえ、慎重に使用してください。市販薬が使えるのは、軽度のイボ痔や切れ痔の場合です。痔ろうは、病院での治療が必要となります。

薬の種類と正しい使い方

薬には、外用薬の坐薬と塗り薬、内服薬の3種類に分けられます。痔の種類と症状に合わせて使い分けるとよいでしょう。

坐薬

紡錘形(円柱状で真ん中が太く、両端が細くなっている)をした固形の薬で、切れ痔やいぼ痔のときに肛門に挿入して使います。肛門の中に入れると溶けて、痛みや腫れ、出血を抑えます。患部に直接働くため、効果が速く現われます。

塗り薬(軟膏・クリーム)

肛門の周囲に塗るタイプ、肛門の中に注入するタイプがあります。坐薬と同じように、痛み止め、腫れ止め、止血作用があります。患部が肛門の出口付近で、坐薬を使えない切れ痔やいぼ痔のときに使います。配合されている成分によって、ステロイド系と非ステロイド系に分けられます。

内服薬

便をやわらかくして便秘を解消する便秘薬、炎症を抑える抗炎症薬、抗生物質などがあります。

最後に…痔の症状に気づいたら

痔の症状に気づくきっかけの多くは、出血や肛門付近の違和感です。痔の種類により処置は異なりますので、市販薬を購入するときは、薬剤師によく相談しましょう。また、単なる痔ではなく、別の病気が隠れている場合もあります。市販薬を使用しても2週間経過しても改善が見られない場合は、自己判断せず、きちんと専門の医療機関を受診してください。

この病気・症状の初診に向いている科 肛門外科

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