RSウイルス感染症の大人の症状の特徴や注意点、高齢者・子供との違い

更新日:2016/12/16 公開日:2016/01/23

RSウイルスの治療と対策

RSウイルス感染症になったかどうかは、病院で検査を受けることでわかります。まれに重篤な病気になってしまう可能性があるため、ドクターに診てもらうことが重要です。ドクター監修のもと、感染症の症状や治療について説明致します。

RSウイルス感染症になった場合病院では、どのような検査・治療が行われるのでしょうか。

1歳未満の乳児が感染すると、重症化する恐れもあるRSウイルス。このRSウイルスとはどのようなウイルスなのでしょうか。以下で詳しく解説します。

RSウイルスとは?

RSウイルスのRSは、respiratory syncytial=呼吸器の合胞体という意味を略しており、ウイルスが感染した際、呼吸器の細胞が合わさって1つになるため、そういわれています。感染によって、のどや気管など呼吸器の感染症(RSウイルス感染症)を引き起こします。

RSウイルスは、日本だけではなく世界中に存在しています。蔓延する地理や気候に偏りはありませんが、全世界の患者に共通するのは、1歳未満の乳幼児が感染すると重症化する可能性があること、毎年都市部を中心に流行していることなどがあげられます。

しかし、RSウイルスは乳幼児のみが感染するものではありません。2歳以上の子供や大人も感染します。ただし、2歳以上の子供や大人が感染しても、風邪のような症状しか出ないことが多いため、自分がRSウイルスに感染していると気がつかない場合もあります。その場合、乳児にうつしてしまう危険性が出てきます。ですから、2歳児未満の子供だけではなく、それ以上の年齢の子供や大人も感染には気をつけなければいけません。

RSウイルスの流行・感染時期について

RSウイルスは、通常は秋から増加し12月頃にピークを迎え、年明けは徐々に減少し3月ころに落ち着いてきます。そのため、10月くらいから警戒を始め、4月くらいまでは、気を抜かないようにすることが肝心です。

また、これまではRSウイルスの流行・感染時期は、秋から冬にかけての流行が見られてきましたが、2011年以降からは、夏場である7月頃からRSウイルスに感染したという報告もみられています。また、厚生労働省によると、2014年の

RSウイルスの感染報告数は、8月~9月の期間に急速に増えているようなので、今後の動きについて、さらなる注意が必要です。

症状が違う!大人のRSウイルス感染症の症状と注意点

免疫力の弱い子供が感染しやすいRSウイルスですが、大人にも感染するのでしょうか?

大人もRSウイルスに感染するのか

肺や気管などの呼吸器が感染するRSウイルスは、2歳までにほとんどの乳幼児が感染するといわれています。RSウイルスは感染と発症をくりかえしていく中で、体内に抗体は作られていきますが、抗体自体に十分な防御効果がないため、何度も感染してしまう可能性があるのです。それでもRSウイルスに対する免疫があるため、ほとんどの人は感染しても咳や鼻水、発熱などの症状が出たあとは、数日経過すると症状は軽くなっていきます。しかし、免疫力が弱まっている高齢者の場合や持病を持っている人がRSウイルスに感染するとインフルエンザと同じような致命率を引き起こす危険性があるので注意が必要です。

大人のRSウイルス感染症の特徴と症状

大人がRSウイルスに感染した場合は、ほとんどが風邪に似た咳、痰、鼻水、熱などの症状のみで、数日経過すると自然に治っていきます。このため、症状がおさまるとただの風邪だったと思い過ごしてしまうことも多いでしょう。しかし、RSウイルスは感染後、体外からウイルスが排泄される期間は7〜21日と、体外に出す時間が長い特徴があるため、周囲にウイルスを撒き散らし、感染が広がる恐れがあります。また、呼吸器などに病気がある人、免疫力が弱い人などは、RSウイルスに感染することで肺炎などを引き起こし、重症化してしまう危険性もあるので軽視しないようにしましょう。

RSウイルス感染症の注意点と対処法

RSウイルスはインフルエンザなどと異なり、ワクチンなどで予防することができません。さらに、ウイルスを撃退する特別な治療もなく対処療法が一般的となっています。多くの場合はRSウイルスに感染しても風邪に似た症状でおさまりますが、まれにRSウイルスの感染がきっかけになり、もともと持っていた病気が悪化してしまうこともあります。特に、タバコの吸い過ぎなどが原因で肺気腫を患っている人は要注意です。RSウイルスが呼吸器に感染して、肺炎が発症すると、肺気腫を悪化させてしまい、肺炎が治ってももとの状態には戻らないケースもあるのです。症状が悪化した場合は我慢せずすぐにドクターに相談するようにしましょう。

死亡率が高い!?高齢者のRSウイルス感染について

乳幼児が注意すべきとされていたRSウイルスですが、近年、高齢者への注意喚起が増えてきています。高齢者のRSウイルス感染にはどのような危険が潜んでいるのでしょうか。

高齢者のRSウイルスの感染率

最近では、乳幼児だけではなく、高齢者がRSウイルスに感染してしまうケースも重要視され、注目が高まってきています。特に病院や介護施設などで、RSウイルス感染者が発生した場合、集団感染してしまう危険性もあるからです。アメリカの疾病対策センター(CDC)によると、アメリカでは、RSウイルスに関連して亡くなる1歳未満の子供は10万人あたりで5.4人。これに対して65歳以上の高齢者の死亡率は10万人あたりで29.6人と、子供に比べて5倍以上高い推計が出ているのです。日本でも高齢者のRSウイルス感染については、さまざまな研究機関やメディアで注意を呼びかけています。

高齢者のRSウイルス感染症の特徴・症状

大人や高齢者がRSウイルスに感染すると、鼻汁、発熱、咳嗽といった風邪のような症状のほかに、喀痰や喘鳴、呼吸困難などが現れることがあります。

一般的に高齢者は、肺や心臓、腎臓などの機能が低くなりがちです。そこで、RSウイルスに感染すると、気管支に炎症を起こしてしまい、肺機能が悪化してしまうのです。肺が正常に機能しなくなると、血液中の酸素濃度を保てなくなってしまい、時には人工呼吸器を付けなければいけないほど、呼吸機能が保てなくなる場合があります。

また、高齢者のなかでも、長年喫煙をしていたことにより、気管支の壁が壊れ酸素と二酸化炭素の交換がうまくできない病気である「肺気腫」を発症している方は、RSウイルスに感染すると重症化に陥る危険性があります。慢性呼吸器疾患(疾患(しっかん)とはいわゆる病気のことです。)を併発している高齢者は、RSウイルスに感染しないように細心の注意を払う必要があるのです。

高齢者がRSウイルス感染症を発症した際の注意点

高齢者は乳幼児と同じように体の免疫力が低いため、RSウイルスからの感染を防ぐには、マスクを着用しうがいや石けんによる手洗いを頻繁に行うことが重要です。また、介護施設の中でたくさんの人が触れる手すりやドアノブなどは、消毒液を使用してこまめに消毒するように心がけましょう。万が一、RSウイルス感染が疑われる症状を高齢者が発症した場合は、すみやかに治療を行い、他の高齢者との接触を極力避ける必要があります。集団感染を防ぐためには、迅速な対処が求められます。介護する方々はもちろん、高齢者の方もRSウイルスに関する正しい知識を持つことが大切となってきます。

子供の発症率100%!?RSウイルス感染症の症状と原因

ほとんどの子供が2歳までに1度はかかるRSウイルス。感染すると、どのような症状が現れるのでしょうか。

RSウイルスの症状

肺や気管などの呼吸器に感染するRSウイルス。一般的には、RSウイルスが体内に入り込むと、潜伏期間が2〜8日間ほどあります。その後、咳や発熱、鼻水が止まらないなどの症状が現れます。ほとんどの場合は、このように風邪に似た症状のみで数日経過すると、次第に病状は軽くなっていきますが、乳児が初めてRSウイルスに感染した場合は、まだ体内にRSウイルスに対する免疫がないため、気管支炎や肺炎といった症状を引き起こす恐れがあり重症化しやすい傾向にあります。

特に生後数週間から数か月の生まれたばかりの赤ちゃんは、お母さんのお腹にいた時にもらった免疫しかないため免疫力が低く、この時期にRSウイルスに感染すると、細気管支炎、肺炎といった重い症状を引き起こす危険性が高くなるのです。そのため、生まれたばかりの乳児は、RSウイルスからの感染を防ぐことが非常に重要です。

また、RSウイルスを再感染した幼児の症状は軽くすむ場合が多いですが、中耳炎を合併する場合もあります。

RSウイルスが発症してしまう原因

RSウイルスの感染経路は、主に咳やくしゃみなどで飛び散った飛沫によって感染する飛沫感染と、病原体が付着した物を触って感染してしまう接触感染で、空気感染の心配はないといわれています。

RSウイルス感染症の具体的な感染の仕方は、風邪とよく似ています。咳やくしゃみによって飛散したウイルスを吸い込んでしまったり、また、ウイルスが付いたおもちゃなどを赤ちゃんがなめてしまったり、ウイルスが付いた手で赤ちゃんを触ってしまったりすることで感染します。おもちゃを舐めたり、よだれが出てしまう、0歳児や1歳児の乳幼児がもっとも感染しやすいのです。

詳しくは、『RSウイルス感染症の検査・診断方法』を参照してください。

RSウイルス感染症の検査・診断方法

RSウイルス感染症かどうかを判断する検査方法には、簡易診断とウイルス学的検査がありますが、現在主流となっているのは、検査キットによって鼻汁などからウイルスの有無を確認する簡易検査です。

簡易検査は検査法が簡単なうえ、30分程度で感染の有無がわかるメリットがありますが、どの程度感染したかまでは、判明できません。そこで、簡易検査によってRSウイルス感染症が認められたら、検査を次のステップに進める必要があります。採血を行って検査の陽性反応を確認し、胸部レントゲンを撮影して、気管支炎の状況などを把握するのです。採血により血液を調べると、RSウイルス感染症の程度について詳しく知ることができますが、結果が出るまでには数日間かかります。

RSウイルス感染症の診断方法

風邪の症状と似ているため、非常に見分けがつきにくいRSウイルス感染症。さらに、生後間もない赤ちゃんの場合は、症状が現れにくいため、発見が遅れてしまうケースもあります。生後1〜2か月の生まれたばかりの赤ちゃんの場合、重症化して入院する必要があることも考え、迅速に診断検査を行います。

では、そもそもRSウイルス感染症になったかどうかの判断には、どのような診断が行われるのでしょうか。

一般的には、鼻汁を採取して、鼻汁のウイルス抗原を検出し診断します。ただし、RSウイルス感染症が疑われる全ての患者に対して、このような検査を行うわけではありません。

RSウイルス感染症の治療方法

日本のみならず、全世界中で発症するRSウイルス感染症ですが、現在の医療では特効薬はありません。そのため、RSウイルス感染症に対する治療は、対症療法が一般的で、熱が出たら解熱剤などで熱を下げる、咳が止まらない場合には咳止め、炎症を抑える場合にはステロイドを使用して症状を和らげる治療を行っていきます。また、インフルエンザなどと違ってRSウイルスにはワクチンがありません。しかし、乳児に対しては、遺伝子組換え技術を採用して作られた注射薬パリビズマブというモノクローナル抗体製剤を投与する方法があります。これは、生まれたばかりの乳児のみが対象で、RSウイルス感染症になり、重篤な病気を引き起こさないための薬です。パリビズマブは、RSウイルス感染症が流行し始めた頃に、赤ちゃんへの投与を始め、ウイルスが流行している期間中は、1か月ごとに筋肉注射を行います。最近では2歳以下の先天性心疾患(疾患(しっかん)とはいわゆる病気のことです。)のある子供にもパリビズマブが用いられるようになってきています。

RSウイルスが喘息の発症の引き金になる?

RSウイルスに感染することで、アレルギーを起こしやすくなり、そのために喘息も発症することがあるといわれています。

喘息におけるRSウイルスの関与

肺や気管などの呼吸器に感染するRSウイルスが、喘息の引き金をひくというレポートが海外で報告されているそうです。その一例を紹介すると、スウェーデンでは、3歳までにRSウイルスがきっかけによる細気管支炎が発症した場合、7歳半までに喘息になる可能性は、発症しなかった子供の10倍以上になると報告されています。また、遺伝も深く関係があり、3等親以内にアレルギーがあるとその傾向が強くなるようです。子供は喘息に比較的かかりやすい特徴があります。小児喘息の発症は、3歳まで70%、5歳までが90%を占めています。しかし、小児喘息は治癒しやすいという特徴もあり、7歳までは約50%が治ると言われています。年齢を重ねると治癒の可能性は高くなり、成人までには約70%が治る病気なのです。

喘息(ぜんそく)とRSウイルス感染症の見分け方

RSウイルスに感染すると、咳が止まらなくなり、ときには呼吸をする度にヒュウヒュウゼイゼイといった喘鳴が聞こえるなどの症状も現れるため、喘息と間違えやすい傾向にあります。喘息の場合には、朝や夜、また、はしゃいだ時だけに咳きこむなどの症状が出る場合があります。喘息の人の気管は、アレルギー物質の影響で炎症状態にあります。このとき、乾いた空気や冷たい空気、もしくは運動などによってさらに、気管が刺激を受けると、咳きこむなどの症状が出ます。

診断も「喘息性気管支炎」「喘息様気管支炎」といった喘息に近い名前で治療されます。さらに、将来本当に喘息を発症する方もいるため、子供の時点でその区別がつきにくいという点もやっかいです。ただし、将来的に喘息を持つ可能性のある人がRSウイルスに感染すると、ひどい発作が起こるケースが多く見られます。また、RSウイルスに感染している子供は、中耳炎を合併していることが多いので、この症状で喘息との違いを見極められる場合もあります。

しかし、今のところ喘息かそうでないかをはっきり区別する手段はありません。血液検査を行っても2歳までだと反応が出にくいため、3歳以上で陽性と判断されてから喘息とされるケースが多いようです。とはいえ今の病院では、迅速な診断と治療で苦しい思いをさせないようにする、というのがコンセンサスにもなっており、赤ちゃんに咳や喘鳴などの症状が現れたら、すぐにドクターに相談し、適切な処置を施していくことをおすすめします。

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