いわゆる子供の「成長痛」の原因は心の痛み!?

更新日:2017/03/17

よくある膝・膝関節の痛みの疑問

子供に起きる「成長痛」の原因は、骨の成長によるものではないというのはどういうことなのでしょうか?ドクター監修のもと、子供が訴える体の痛み「いわゆる成長痛」の原因について詳しく解説します。

「成長痛」と聞くと、背が伸びたり体が大きくなったりするときに起こる痛みをイメージされるかもしれません。骨が成長するときに出る痛みと誤解されている方が多いようですが、実際は骨の成長ではなく心が成長するときの痛みなのです。

痛みの原因の多くは精神的なものであり、肉体的な痛みが原因となる場合は多くはありません。ここでは子供の成長痛とは何なのかについて解説していきます。

1歳~6歳の幼児に起こるのが「成長痛」

昼間は活発に動いていたのに、夕方や夜になると膝(ひざ)や股関節、太股、ふくらはぎ、足首などの痛みを訴える子供がいます。あわてて病院に連れて行って検査をしてもなにも異常が見つからず、一晩寝かせて朝になると痛みが消えている。このような現象を成長痛と言います。ほとんどが下肢の痛みで、痛がる局所に腫れや熱感は認められません。昼間、活発に動きすぎたために疲労が溜まり、夕方や夜に痛み出したと考えることもできますが、本当の原因は精神的なものであるといわれています。

原因は「親にかまってほしい」という心の痛み

具体的な例をあげれば、その子より下に弟や妹ができた場合や、親の仕事が急に忙しくなった場合などに、自分が今までほど手をかけてもらっていないと子供は本能的に感じます。そして痛みを訴えることで、親が自分の方に振り向いてくれることを期待するのです。いわゆる「寂しい病」とも言えるものです。

しかしこれは子供が寂しいからと演技をしているわけではなく、無意識に起こる反応です。親の方でそのような心あたりがあれば、今まで以上に子供に愛情を注いであげる必要があります。

以上のように成長痛というのは本来、「心の痛み」なのです。しかし成長という言葉を誤解して受け取る人が多いために誤った認識の方が広まりつつあります。

「いわゆる成長痛」の対処法

医学的に確立された「成長痛」という病気がない場合、医師や両親は痛みを耐える子供にどのようなことをしてあげられるのでしょうか?

最初に疑うべきことはほかの病気です。

この後詳しく説明しますが、子供の時にかかる足や関節などに痛みの出る病気は他にいくつかあります。痛み(疼痛)が8時間以上続かない、来院時には症状がない、ドクターが診察して痛みのある部分に膨張などの異常所見がない、X線の検査で異常が認められない場合は、「いわゆる成長痛」です。「いわゆる成長痛」は前項でも紹介した通り「寂しい病」です。精神的に充実すれば症状は回復します。

間違った認識の「成長痛」の正体は?

子供の骨には骨端線という成長軟骨が集まっているところがあります。その部分は軟骨なので、普通の骨よりはやわらかい骨となります。成長期にスポーツなどで体を使いすぎるとやわらかい成長軟骨のところにストレスが集中して炎症が起こり、ひざやかかとが痛くなる場合があります。これは医学的には骨端症と呼ばれるのですが「成長期に起こりやすい痛み」として本来の成長痛と混同されて使われています。

これはあくまでも使いすぎが原因であって、骨が成長しているから痛むのではありません。また、骨端症の中には原因不明で血流が途絶えて骨の端が壊死してしまう病気もあります。

オスグッド病

オスグッド病はスポーツを行う少年に多い病気で、脛骨結節が徐々に突出してくる病気で、痛みの他に赤く腫れ痛みのある部分が熱をもつという症状が現れます。成長期の一時的な病気ですのでストレッチやアイスマッサージを行い、湿布を貼ることに加えて安静にしていれば治癒します。

単純性股関節炎

股関節に炎症が起きる病気です。悪化すると足を動かすだけでも激痛が走り、足を地面につけることもできません。病院で処方された湿布薬や消炎鎮痛剤(いわゆる痛み止め)で症状は治まります。

化膿性股関節炎

股関節に細菌が入り化膿するために強い痛みが現れます。成人の方が発症すると高熱が出ることもありますが、子供の場合は熱が上がらないケースもあるため注意が必要です。病院での治療は抗生物質の点滴や内服によって細菌を殺す治療が行われます。股関節から膿を出すような処置もされます。のちに成長障害として股関節が変形してしまうリスクもありますので、早めに病院を受診しましょう。

この他にも、ペルテス病、離断性骨軟骨炎、反復性膝蓋骨脱臼などの病気が考えられます。

骨の成長による痛みは「ない」と言える

ところで骨が成長するときに出る痛みというものは本当に存在しないのでしょうか。骨と筋肉の成長速度の違いから筋肉が過剰に伸ばされて痛みが出るなどと説明されている場合もありますが、本当なのでしょうか。それを示す事実があります。

低身長や先天奇形で骨の長さが足りない時に、骨延長といって一度骨を切ったり、わざと骨折を起こさせたりして、骨を毎日ミリ刻みで伸ばしていく治療法があります。創外固定という器具を用いて行う治療なのですが、そのときに骨は通常の成長よりも何倍も早いスピードで伸ばされます。しかしその場合でも痛みは全く出ません。また、骨の成長を考えた時に、下肢の骨と同様に上肢の骨も成長しますが、上肢の成長痛が報告されたことはありません。

そのような事実を考えると、「骨が成長してもそれにともなって痛みが出ることはない」と結論するのが妥当といえるでしょう。

この病気・症状の初診に向いている科 整形外科