おたふく風邪(流行性耳下腺炎)の合併症のひとつであるムンプス髄膜炎とは

更新日:2017/06/24 公開日:2016/02/17

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)の基礎知識

ムンプス髄膜炎はおたふく風邪の合併症の中でも、一番発症する確率の高い合併症です。こちらのドクター監修の記事では、ムンプス髄膜炎を引き起こす原因と症状、主な治療法などについて解説します。

ヘルスケア大学参画ドクター

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おたふく風邪(かぜ)の合併症の中でもっとも多いのがムンプス髄膜炎と呼ばれるものです。どのような病気で、どのぐらいの頻度で起き、どういった症状に注意しなければならないのかについて解説します。

ムンプス髄膜炎とは

ムンプス髄膜炎とは、おたふく風邪の原因であるムンプスウイルスによる髄膜炎で、おたふく風邪を発症した人の約3~10%に起こるといわれている合併症です。

髄膜は、脳や脊髄のまわりにある保護膜で、微生物によりその部分が炎症を起こすのが髄膜炎です。場合によっては生命の危険がある怖いものですが、原因菌により重症度が変わってくることが多いのが特徴です。また、ムンプスウイルスが原因のムンプス髄膜炎は比較的良好な経過をたどり、後遺症を残すことはほとんどありません。

まれにムンプスウイルスが中枢神経内で増殖することにより、髄膜脳炎となることもありますので注意が必要です。その場合でも、他の原因による髄膜脳炎と比較すると、深刻化する可能性は低いとされています。その他見られる合併症は、睾丸(こうがん)炎や卵巣炎、膵炎などがみられる場合もあります。

ムンプス髄膜炎の症状

おたふく風邪の症状である耳の下の腫れが出てきてから、5日ほど経過し発症することが多くなっていますが、耳の下の腫れが起こる前から発症したり、耳の下の腫れが出てこなかったりする場合もあります。

起こる症状としては、発熱や頭痛・嘔吐があり、うなじ部分の硬直(こうちょく)などが見られますが、年少の子供ではこれらの症状がはっきり見られない場合もあります。

注意しなければいけないのは、髄膜脳炎を合併した場合で、うなじ部分の硬直の他、意識障害やけいれんなどの症状が出てきて、ごくまれですが顔面神経麻痺などの後遺症が残るケースがあります。おたふく風邪で耳の下が腫れ、発熱、頭痛や嘔吐、うなじ部分の硬直などがみられたら、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

思春期以降では合併症が起こることも

小学校に入学して、およそ男子が11歳ごろ、女子が10歳ごろに思春期を迎えるといわれています。この時期におたふく風邪にかかると、男子は4人に1人の割合で睾丸炎、女子はおよそ3人に1人が乳腺炎を合併する可能性があるとされています。

また、妊婦が感染した場合には、自然流産するケースもあります。

ムンプス髄膜炎の検査と治療

一般的に髄膜炎が疑われたら髄液検査によって原因菌を確定することが行われます。原因菌によって治療法が変わってくるからです。髄液検査はベッドに横向きになって、局所麻酔を行ってから腰から針を刺して髄液を採取します。個人差がありますが多少の苦痛をともない、検査後数時間は安静にしてなればいけません。

一方、おたふく風邪の合併症であるムンプス髄膜炎には治療薬がありません。対症療法を行いながら、安静によって軽快するのを待ちます。症状によっては入院して経過観察することもありますが、ムンプス髄膜炎の疑いが強い場合は、負担の大きい髄液検査を、特に子供に対して行うことは少ないでしょう。

ムンプス髄膜炎かどうか疑わしい、細菌性髄膜炎の可能性が出てきた場合は、入院によってすみやかに髄液検査を行うことになります。症状によっては検査結果を待たずに投薬治療を開始する場合もあるでしょう。ムンプス髄膜炎は比較的に予後が良好といわれますが、まれに重症化することも否定はできません。

確立された治療法もなく、場合によっては障害残る深刻な合併症をともなうことがあります。予防のために「おたふく風邪のワクチン接種」をするのがもっともよいでしょう。

子供の場合、ムンプス髄膜炎に気づいたらどうする

おたふく風邪の症状が現れた場合、根源となるムンプスウイルスに効果的な治療薬が現状のところ、ありませんので、自宅で安静にし、脱水症状が起こらないよう水分補強もしっかりと行なう対症療法を行ないます。高熱をともなう場合には、医師へ相談し処方される解熱剤で熱を抑えます。

詳しくは、『いつから保育園へ登園できる?おたふく風邪(流行性耳下腺炎)の潜伏期間と予後の対応』をご参照ください。

この病気・症状の初診に向いている科 耳鼻咽喉科

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