夜尿症の治療(2)夜尿アラーム療法

更新日:2017/03/17

夜尿症の検査・治療

夜尿症の治療法として効果が高いものに「夜尿アラーム療法」があります。夜尿アラームとはどのような機器なのか、使用すると具体的にどのような動作をし、実際にどういった効果をもたらすのかを、ドクター監修の記事でご説明します。

夜尿症の効果的な治療法のひとつに「夜尿アラーム療法」があります。

夜尿アラーム療法ってどのようなもの?

膀胱に尿をためる力をつけて、朝まで排尿を我慢できるよう導く

夜尿症の治療専用のアラーム装置を用いた治療法です。アラーム装置は複数のメーカーがそれぞれ特色のあるものを販売していますが、基本的なしくみは、夜尿によってパンツ(おむつ・パッド)が濡れたときにブザーが鳴りバイブレーション機能が働くようになっています。濡れた直後にアラームが鳴り、起こされることで、尿意を感じた際に起きられるようになると考えられがちですが、実際は、反射的におしっこを止めるようになり、膀胱におしっこを溜める力がつき徐々に朝まで排尿を我慢できるようになるとされています。

コードレスタイプや使い捨てタイプなど、さまざまな種類がある

夜尿アラームは、尿を感知するセンサー部分と音がなる本体部分がコードでつながっているものやコードレスのもの、夜尿を受けるパッドが洗って繰り返し使えるタイプや使い捨てのタイプなど、数種類の機器がありますので、比較して使いやすいものを探してみるとよいでしょう。

夜尿アラーム療法の具体的なやり方(コードレスタイプ)

  1. 専用パッドに送信機を取り付ける、ズレ止めテープで送信機を貼り付ける
  2. 受信機(アラーム本体)の電源をONにして、本人の近くに置いて就寝(有線タイプはセンサー部分をパンツの濡れる部分に装着して、アラーム本体部分を体のどこかに装着します)
  3. 夜中におしっこが出てブザーが鳴ったらブザーを止める。本人がアラーム音で起きないときは、そばにいる人が揺すって少し起こしてあげる。少し目覚めた後にまた寝てしまっても効果はあると考えられている

※しっかり起こしてトイレには行かせた方がよいとする見解もあります。

子供など寝相が悪くて寝ている間にコードが外れそうであれば、コードレスのものを用意するとよいでしょう。これらの取り付けは、子供には若干難しい場合があります。取り付けを間違えると夜尿であってもアラームが鳴らなかったりするなど正確に作動しないことがあるので、子供がうまくつけられない場合はご家族の方が取り付けてあげましょう。

夜尿アラーム療法の効果

治療の効果が出るまでには平均して1~3か月、またはそれ以上かかる場合もあります。

アラーム療法の有効率は、3か月続けた場合で約70%前後といわれています。有効率の高い治療と言えますが、本人(お子様)はぐっすり眠っていてなかなかアラームに気付かずに眠っていることが多く、そばで寝ている人が揺すって少し起こしてあげる必要があります。夜中ぐっすり眠っている最中に起こされるのは本人も周りの人もつらいものです。治療に取り組んだ患者全体の10~30%が脱落しているという報告もあり、本人の治療に取り組む強い姿勢と家族の協力が必要となるでしょう。

夜尿症には治療が必要?

子供の夜尿症は、放っておいてもよくなっていくことが多いですが、完治するまでは時間がかかることが多くなります。たとえば小学1-2年生の10%程度に夜尿があるとされていますが、小学5-6年生までには約半分の子どもが治癒しますが、5%程度の子どもにはまだ夜尿がみられています。小学1年生の頃に夜尿症のある子供のうち9割以上が完治するのは18歳頃というデータもあり、子供によっては完治までに時間がかかることもあります。早い時期(5-6歳)からの治療への取り組みが必要です。

また、小学生になると、子供自身が気にし始めることも多いようです。宿泊行事などへの参加を嫌がり、周囲の子供と比べて「自分は劣っている」と思い込み、劣等感から物事への取り組み方が消極的になることもあります。精神面への負担を避けることも含めて、早めに専門の医療機関を受診し、治療をはじめることが大切です。

治療の目安については、『夜尿症は自然治癒する?病院を受診した方がよい目安とは』をご覧ください。

また、大人の夜尿症も大人全体の0.5%から1%にみられるなど、決して珍しいことではありません。大人の場合は過度のストレスなどによって夜尿が再発する「二次性夜尿症」もあります。なかには、腎臓や膀胱の病気、脳血管障害など神経の病気が隠れていることもあり、早期の診断や治療が必要なこともあります。

夜尿アラーム以外の治療について

夜尿症の治療には、夜尿アラームのほか以下のようなものがあります。

生活指導

夜尿症の治療の基本は、生活習慣の改善です。

規則正しい生活をして、水分・塩分の摂り方に気を付けましょう。夕食は出来るだけ早くして、寝る前には必ずトイレに行く習慣をつけましょう。夜中にはトイレには起こさないようにして、寝ているとき体が冷えないように気をつけましょう。家族も協力して、一緒に生活習慣を見直していくことが大切です。

詳しくは『夜尿症の治療(1)生活指導』をご覧ください。

薬物療法

生活指導や夜尿アラーム療法の補助として、薬が処方されることもあります。夜尿症のタイプや持病の有無などに応じて、「抗利尿ホルモン剤(デスモプレシン:ミニリンメルト))」や「抗コリン剤(コハク酸ソリフェナシン:ベシケアなど)」、「三環系抗うつ剤(イミプラミン塩酸塩:トフラニール)」などが用いられます。

詳しくは、『夜尿症の治療(3)薬物療法』をご覧ください。

漢方療法

夜尿症の治療には、東洋医学である漢方薬が用いられることもあります。東洋医学の観点から、体の冷えを改善するなど体質(証)にあわせた処方が行われています。

詳しくは、『夜尿症の治療(4)漢方治療』をご覧ください。

夜尿症を早期に治療するためのポイント

夜尿の原因は人それぞれに異なり、効果的な治療法もそれぞれに異なります。アラーム療法も医療機関で夜尿の量や時間などの記録をつけ、医師のアドバイスを受けながら取り組むほうが治療を続けやすくなります。

「どうしておねしょが治らないんだろう」と悩むばかりでは、不安が堂々巡りするばかりです。正確な情報を集めることで心に余裕を持つとともに、家族の協力などを仰ぎながら根気強く治療に望むことをおすすめします。

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