梅毒とは?その症状!そして原因と治療や検査について

更新日:2017/04/05 公開日:2016/02/29

梅毒の基礎知識

梅毒は、主に性行為で感染する病気です。感染すると、どんな症状が現れるのでしょうか?また、男女によって症状に違いはあるのでしょうか?今回は、ドクター監修のもと、梅毒の具体的な症状や原因、治療や検査についてご紹介していきます。

梅毒とは

梅毒は、「梅毒トレポネーマ」によって発生する感染症です。もっとも多い感染経路は性行為で、梅毒トレポネーマが皮膚や粘膜の小さな傷口から侵入することで感染します。また、妊婦が感染していると、胎児に母子感染することもあります。

梅毒は、かつては「不治の病」として非常に恐れられていた病気です。治療薬が発達したことで患者数が激減したため、現在では、「昔の病気」というイメージを持っている人が多いかもしれません。

しかし、国立感染症研究所の調査によれば、1999~2012年までは、年間の梅毒報告数が500〜900例の間にとどまっていたのが、2013年は1228例、2014年は1671例と、ここ数年、昔ほどではないものの増加傾向にあるのです。

梅毒は、放っておくとお腹の赤ちゃんにも影響する!

「梅毒」は、主に性行為によって、感染部位と粘膜や皮膚が直接触れることでうつります。しかし、感染している女性が妊娠すると、胎盤を通して母子感染し、生まれてくる子が「先天性梅毒」になることがあります。

梅毒は、第1期〜第4期へと進行していきますが、胎児に感染するのは、妊婦が第1期〜第2期梅毒で、治療を受けていないケースです。また、胎児が胎盤を通して感染するリスクは60〜80%とされ、かなり高確率と言えます。

ただし、現在では、妊娠初期の妊婦健診に、梅毒の検査(梅毒血清反応)が含まれており、必要に応じて治療が行われるので、胎児に感染する例はほとんどありません。

梅毒の原因とは?

性行為による感染が主

梅毒の原因である梅毒トレポネーマは、低酸素状態でしか生存できません。また、低温や乾燥にも非常に弱いという性質があります。

このため、梅毒の感染経路は限定されおり、主に感染している部位が皮膚や粘膜と直接接触することで感染します。具体的には、膣性交やアナルセックス、オーラルセックスが主な感染経路です。また、病変部位が口にある場合は、キスでも感染することがあります。

梅毒の治療・対策って?

梅毒の治療に用いられる薬や、治療後が完了したかどうかの判定法などを見ていきましょう。

ペニシリン系抗菌薬の内服が第一選択

梅毒治療の第一選択は、抗生物質の「ペニシリン」です。ペニシリンには、梅毒の病原体である「梅毒トレポネーマ」を死滅させる効果があり、現在までにペニシリン耐性株の発生はありません。

海外では、1回だけの投与で済む注射薬を使うのが一般的ですが、日本では、ペニシリンの注射薬が使えません。日本性感染症学会のガイドラインでは、内服薬のペニシリン剤が勧められています。また、ペニシリンにアレルギーがある人の場合は、「塩酸ミノサイクリン」を内服します。

これらの内服薬の投与期間は、第1期梅毒で2〜4週間、第2期梅毒で4〜8週間と、長期に及びます。

妊娠中の梅毒の治療

妊婦が梅毒に感染すると、胎盤を通じて胎児にも感染し、早産や流産になったり、生まれてきた子が「先天性梅毒」になったりすることがあります。そのため、梅毒検査は、妊娠初期の妊婦健診に含まれており、陽性反応が出れば、治療を行います。

この場合も、基本的には、ペニシリンの内服薬を使いますが、ペニシリンにアレルギーがある場合は、胎児への副作用を防ぐために、塩酸ミノサイクリンではなく、「アセチルスピラマイシン」を内服します。

妊婦がペニシリンを内服すれば、胎盤や血液を通じて胎児にも届くので、同時に胎児も治療できます。しかし、「エリスロマイシン」という薬の場合は、胎盤を通過しないため、赤ちゃんは、出生後に改めて治療をする必要があります。

治療後の判定

梅毒の治療をした後は、症状が持続・再発していないか、定期的な血液検査(STS法)で、リン脂質の抗体価が減少しているかを調べます。リン脂質抗体の定量値が8倍以下に低下していれば、治癒したことになりますが、治療後半年以上たっても16倍以上なら、治癒していない、もしくは再感染したということになるので、再治療を行います。

治療における注意点

梅毒の治療を開始すると、数時間から数日以内に、発熱や悪寒、筋肉痛、頭痛、リンパ節の腫れなどの症状が現れることがあります。しかし、これは梅毒トレポネーマが急激に死滅したことによる「ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応」というもので、薬の副作用ではありません。自己判断で薬の量を減らしたりせず、医師が治療を終了とするまでは、処方された薬を確実に飲むようにしましょう。また、そういう意味では、内服は仕事がお休みの時に始めるのがよいでしょう。

また、自分が梅毒に感染しているということは、パートナーにも、その可能性があるということです。パートナーも梅毒の検査を受け、必要に応じて一緒に治療を行いましょう。

梅毒の検査って何するの?

梅毒かどうかを調べる血液検査(梅毒血清反応)には、大きく分けると、「STS法」と「TP法」があります。それぞれの検査方法を見ていきましょう。

梅毒で行われる検査(1)STS法

梅毒に感染すると、脂質抗原に対する抗体(リン脂質抗体)がつくられるので、それを検出するのが「STS法(梅毒脂質抗体検出法)」です。STS法には、RPR法、ガラス板法、凝集法などがありますが、現在では、RPR法が主流になっています。

STS法の長所

リン脂質抗体は、梅毒に感染してから2〜4週間ほどで血液中に現れます。このためSTS法なら、比較的早い段階で陽性反応が現れ、早期診断が可能です。また、リン脂質抗体価は治療に応じて低下していくので、治療効果の判定にも用いられます。

STS法の短所

リン脂質抗体は、梅毒と直接関係がありません。そのため、梅毒以外の病気でも陽性反応が出ることがあります。

梅毒で行われる検査(2)TP法

梅毒は、梅毒トレポネーマ(トレポネーマ・パリダム)という病原菌の感染によって起こる病気です。梅毒に感染すると、この病原菌に対する特異的抗体(TP抗体)がつくられます。それを検出するのが「TP法(トレポネーマ・パリダム抗体検出法)」です。TP法には、TPHA法、TPI法、TPLA法などがあります。

TP法の長所

TP法なら、梅毒の病原菌そのものに対する抗体を検出するので、梅毒以外の病気で陽性反応が出ることはほとんどありません。

TP法の短所

TP抗体が認められるのは、梅毒に感染して約約4週間から6週間後とされており、早期診断には適しません。また、一度陽性になると治療後も陽性が持続するため、治療効果の判定にも適しません。

検査結果の見方

梅毒かどうかの診断は、STS法とTP法を組み合わせた結果から解釈します。

  • STS法、TP法とも陰性の場合
  • 梅毒ではない、ごくまれに初期の梅毒

  • STS法が陽性、TP法が陰性の場合
  • STS法の偽陽性、初期の梅毒

  • STS法、TP法とも陽性の場合
  • 梅毒、梅毒治療後のTP 抗体保有者

  • STS法が陰性、TP法が陽性の場合
  • 梅毒治療後のTP抗体保有者、ごくまれにTP抗体検査の偽陽性、ごくまれに初期の感染

梅毒の予防法とは?

梅毒を予防するためには、どんなことを心がければよいのかを見ていきましょう。

多くは性行為での感染

梅毒には、予防接種(ワクチン)がないため、予防の基本は、不特定多数の人と性行為をしないこと、特に感染力が高い第1期、第2期梅毒の人とは性行為をしないことです。

コンドームで予防はできる?

梅毒には、無症状の時期もあるため、本人にも感染の自覚がなかったり、相手が感染しているかどうかを、目で見ただけでは、判断できなかったりすることがあります。感染しているかどうかわからない人と性行為をするときは、最初から最後まで、きちんとコンドームを着用しましょう。厚生労働省でも、梅毒予防にコンドームの着用を推奨しています。

ただし梅毒の病原菌は、血液に入って全身に広がるので、コンドームで覆われていない部分に病変がある可能性もあります。このため、たとえば口に病変がある場合は、キスでも感染してしまいます。ですから、コンドームを着用しても、梅毒を100%予防できるわけではありません。皮膚や粘膜に異常がある場合は、性的接触を控えることが大切です。

早めに検査を受けることが重要

梅毒は、感染してすぐに症状が現れるわけではなく、感染後3週間くらいしてから初めの症状が現れます。また中には、感染しても全く症状が出ない人もいます。

周りの人に感染を広げないためには、梅毒感染者と接触が合った場合に、皮膚や粘膜に異常を感じるときはもちろん、たとえ自覚症状がなくても、性的接触を控え、できるだけ早めに梅毒検査を受けることが重要です。詳しくは『梅毒の検査方法の種類と特徴について』をご覧ください。

また、自分に梅毒感染の可能性があるということは、パートナーにも感染している可能性が十分あります。検査や治療は、自分1人ではなく、パートナーと一緒に受けることをおすすめします。

HIVと梅毒は重複感染しやすい?

梅毒は、治療薬のペニシリンの登場によって激減したので、一昔前に蔓延していた病気というイメージを持ちがちです。しかし、近年昔ほどではないものの、発生率が増加傾向にあり、特に男性同性愛者の間での流行が目立っています。

これは日本だけでなく、欧米諸国にも言えることで、アメリカ国内では2001年以降に梅毒の発生率が増加し、梅毒新規発生患者の60%以上がHIV感染症を合併していることが判明しています。

梅毒とHIVの重複感染が、これほどまでに増えているのはどうしてなのでしょうか。その理由の1つは、どちらも主に性行為によって感染するという、感染ルートが似ていることがあげられます。また、HIVは、血液、精液、膣分泌液などの体液に含まれており、粘膜や傷口から体内に取り込まれて感染しますが、梅毒感染によって傷ついた粘膜が、HIVに感染しやすくなることも関係しています。

HIVと重複感染した場合の特徴

梅毒には、ゆっくりと症状が進行していくという特徴がありますが、HIVを合併している場合は急速に進行し、早い段階から「神経梅毒」に移行しやすい傾向があります。

神経梅毒とは、梅毒の病原菌によって、中枢神経が侵されることで起こる神経症状の総称で、本来であれば梅毒の感染後、数年から数十年経って現れる症状です。

また、第2期梅毒(感染後3か月〜3年)になると、「梅毒性バラ疹」と呼ばれる赤い小さな斑点や、米粒から大豆くらいの大きさのブツブツが現れますが、HIVを合併している場合は、皮膚がひどくただれたり、カサブタになったりするような組織破壊をともなう重篤な皮膚病変ができたり、晩期梅毒に急速に移行したりすることもあります。

さらに、HIVを合併していると、梅毒の治療効果が通常よりも出にくいこともわかっています。

HIVと重複感染した場合の治療

HIVに重複感染した梅毒の治療法も、基本的には、一般的な梅毒の治療法と変わらず、世界的には、1回の投与で治療が完了するペニシリンの注射薬が用いられています。しかし、日本では、注射薬が販売されていないため、長期間の投与が必要なペニシリンの内服薬が用いられます。

梅毒の症状とは

梅毒になると、どんな症状が現れるのかを具体的に見ていきましょう。

経過期間とともに症状が変わる

梅毒は、「梅毒トレポネーマ」という細菌による性感染症です。感染してから経過した期間によって第1期〜第4期に分類でき、それぞれの時期で症状が出る部位・症状の内容が違ってきます。

第1期(感染後3週間〜3か月)

感染すると、3週間ほどの潜伏期間を経て、病原体が侵入した部分(性器、肛門、口など)に、米粒から大豆くらいの大きさをした固いしこりができます。しこりはすぐに消えますが、表面の皮膚が破れて潰瘍(かいよう)になることもあります。また、太もものつけ根のリンパ節が腫れることもありますが、治療をしなくてもしばらくすると消えます。この時期の症状には、痛みがないことも多いです。

第2期(感染後3か月〜3年)

病原体が血液に入り全身に広がるため、全身のリンパの腫れ・関節痛・発熱・倦怠感・頭髪の脱毛など、さまざまな症状が現れます。また、全身の皮膚に「バラ疹」と呼ばれる赤いアザのような斑点や粘膜に赤茶色の盛り上がったブツブツができることもあります。これらの症状は、治療をしなくてもやがて自然に消え、その後しばらくは無症状が続きます。

第3期(感染後3〜10年)

皮下組織に「結節性梅毒」と呼ばれる大きめのしこりや、「ゴム腫」と呼ばれるコブができます。

第4期(感染後10年以降)

脳や脊髄が侵され、進行麻痺・痴呆・脊髄癆(せきずいろう)が起きたり、心臓血管系が侵され、大動脈炎や大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)が起きたりします。また、多くの臓器に腫瘍ができたりもします。

ただし現在では、比較的に早い時期から治療を開始することが多く、治療薬も発達しているので、第3期〜第4期まで進行すること例はほとんどありません。

男女別に見る症状の現れ方

梅毒では、男性でも女性でも同じ症状が現れます。しかし、性別によって体の構造が異なるため、第1期梅毒で、しこりや潰瘍が現れる部位に違いがあります。

女性の第1期梅毒の初期症状

女性にしこり・潰瘍が現れるのは、大陰唇や小陰唇(ヒダの部分)・膣の入り口です。

男性の第1期梅毒の初期症状

男性にしこり・潰瘍が現れるのは、亀頭・冠状溝(陰茎と亀頭の境目のくびれ部分)・包皮の内側です。

女性の場合は、自分の性器の様子をよく見る機会があまりないため、この時期の無痛性のしこり・潰瘍に気づかないことがあります。しかし、放置していると、第2期梅毒に進行し、治療にも時間がかかってしまいますので、見過ごさないように注意が必要です。

症状のない梅毒もある

梅毒には、血液検査では、陽性反応が出ているのに、上記のような症状が現れないケースもあります。これを「無症候梅毒」と言います。無症候梅毒は感染してから全く症状が出ないケースだけでなく、症状が一時的に消える次の時期も当てはまります。

第1期から第2期への移行期

第2期の発疹消退期

無症候梅毒は、症状が現れないだけで人に感染します。一時的に症状が消えたからといって油断しないようにしましょう。

この病気・症状の初診に向いている科 性感染症内科