昔より熱中症での死亡者が増えているのはなぜ?

更新日:2016/12/09 公開日:2016/03/25

熱中症(熱射病・日射病)の予防・対策・応急処置

近年、熱中症での救急搬送や死亡など、身近で見聞きすることが多くなりました。昔と比べ熱中症による死亡者が増えているのには、どのような理由があるのでしょうか?ここではドクター監修の記事で、熱中症が増えた背景と熱中症による死亡者が増えた原因について解説します。

澤田彰史先生

この記事の監修ドクター

東京警察病院 医師
澤田彰史先生

以前に比べて熱中症による死亡者が増えたというのは本当なのでしょうか。

昔は「熱中症」という病気は無かった!?

最近は熱射病や日射病という言葉ではなく、「熱中症」という診断名をよく耳にするようになりました。日本神経救急学会と日本救急医学会によって暑さ、蒸し暑さ、強烈な日差しなどの環境でおこる体調不良を総じて「熱中症」に統一したことに始まり、2000年以降に広がったものです。

しかし、熱射病と日射病が熱中症に取って代わったわけではありません。総称が決まったことであまり聞かなくなっただけで、熱射病は“熱中症の重症化した状態”、日射病は“直射日光が原因で起こる熱中症”という意味のまま使われています。「熱中症」に統一した背景には、従来、熱痙攣(けいれん)、熱疲労、熱射病といった症状ごとに個別に対応していたものを客観的な重症度を設けることで、本人や周囲が早期に異常を発見して、適切でスムーズな処置が受けられることを目指したことがあります。

熱中症、熱射病、日射病の違いについての詳細は、『熱中症と熱射病と日射病の違いとは』、熱中症の重症度とその症状についての詳細は、『重症度別に見る熱中症の症状について』をご覧ください。

発生数・死亡者増加の原因

熱中症の発生数および死亡者数は、近年、増加傾向にあります。原因には次のような気象条件や社会的背景が考えられます。

  1. 真夏日、猛暑日、熱帯夜の増加、都市部のヒートアイランド現象によって日本の夏は昔よりも確実に暑くなっている
  2. 高齢者、ひとり暮らし、経済的弱者など、熱中症の発見が遅れやすい「熱中症弱者」といわれる層が増加した
  3. 報道などにより「熱中症」の認知度が上がり、熱中症とみられる症状での医療機関の受診件数が増えた

中でもヒートアイランド現象は急速に進み、中小規模の都市ではこの100年に平均気温が約1度上昇、東京に至っては約3度上昇したというデータもあります。また、石油燃料の大量使用により大気に二酸化炭素を大量排出されて起こる地球温暖化が暑さの原因とするという説もあります。

熱中症が直接の死因ではないことも…

また、熱中症が直接の死因ではないケースも増加しています。近年、顕著になっている猛暑は、持病の悪化や体力および食欲の低下を招き体調を崩す原因となり、ときに感染症を合併して死に至るケースもあります。また、脳卒中や致死レベルの心疾患で倒れて動けなくなったまま熱中症を発症し、死亡した例もあります。

このように熱中症が重症化して死亡するだけでなく、間接的に死因になることもあるため、熱中症は“死に至る病気”であることを認識しておきましょう。