5歳児検診(健診)の目的と検査項目について

更新日:2017/04/03 公開日:2016/04/01

乳幼児健診の基礎知識

近年、実施されることの多い5歳児検診(健診)。5歳児健診はどのようなことを目的としており、どのような検査、診察が行われるのでしょう。ドクター監修のもと健診の受け方や具体的な流れなどを解説していきます。

5歳児健診などの「健診」は、「検診」と表記されることがありますが、「健康診査」の略なので、正しくは「健診」となります。ここでは5歳児健診の目的、内容などを見てみましょう。

5歳児健診は発達障害の早期発見が主目的

5歳児健診は、最近実施する市区町村が増えてきた健診です。その背景には、3歳児健診時点でわかりにくい軽度の発達障害や社会性の発達障害などが、幼稚園などでの集団生活を通して5歳頃に明らかになりやすいことがあげられます。

また、平成17年に施行された発達障害支援法の中で、地方公共団体の責務として発達障害の早期発見と発達障害児に対する早期支援が求められるようになりました。一般的に5歳頃の幼児は、衣服の着脱や排泄など基本的な生活習慣はほぼ一人でできるようになります。また、スキップやジャンプが上手になり、箸が上手に使えます。友だちとの協調性や共同性が出てきて一緒に遊べるようになるのもこの頃です。

5歳児健診の目的

主な目的は、発達上および行動上に軽度の問題があり、支援を必要とする児童の早期発見です。

発達障害が軽度の場合、個別の面接で見落とされるリスクが高くなります。そのため、健診担当者は子供の発達や発達障害に精通し、発達の問題を発見する健診技術を有する必要があり、また、集団健診の場合には、医師や保健師だけでなく、臨床心理士、言語聴覚士など多様な職種が健診に関わり総合的に判断する必要があります。

健診によって、発達、情緒、社会性に問題をもつ子供を早期に発見することは、育児に対する不安を抱えた保護者への支援にもつながります。早期に子供や保護者へのサポートを開始することで、その後のスムーズな就学、不登校の予防、いじめの予防にもつながります。

5歳児健診の受け方とは?

実施するかしないかは市区町村によって異なります。健診の内容や持ち物についても異なる場合があるので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。

実施方法

すべての5歳児を対象とする場合と、保育所や幼稚園などから受診を勧められた児童が保健センターなどで受診する場合があります。市町村によっては健診に医師が参加していないケースもあり、「5歳児相談」「発達相談」などと呼ばれています。

集団か個別か

市区町村によって異なり、保健センターや各保育所・幼稚園などで行う集団健診と、医療機関などで受ける個別健診の両ケースがあります。

無料か実費か

市区町村が実施する場合には基本的には無料ですが、あらかじめ確認しておくと安心です。

健診時に必要な物

母子健康手帳、各市区町村によって用意されている5歳児健康診査問診票が必要になります。

5歳児健診での診察内容

主に発達について心配のある子供に対して行う健診です。軽度の発達障害の診断には、保育園や幼稚園からの情報ももちろんですが、集団での行動の観察がとても重要になります。そのため通常の健診よりも診察に時間がかかるのが一般的です。

問診

保健師などがあらかじめ記入してある問診票の内容について確認します。

体重、身長、頭囲、胸囲など身体測定

看護師や保健師が成長具合を計測して記入します。

小児科医による診察

発達障害に詳しい医師による診察を行います。

個別相談

医師だけでなく、保健師、歯科衛生士、保育士、心理相談員などいろいろな側面から発達障害に関するアドバイスを受けられます。

5歳児健診の具体的な流れ

5歳児健診は自治体や市町村によって実施方法や実施体制が異なります。ここでは、東京都と鳥取県の実例をご紹介します。

東京都の場合

東京都医師会が主体となって行っている5歳児健診の流れです。対象となっているのは5歳児健診を希望した人のみです。

(1)5歳児健診票の配布

希望者に対して健診を行う医療機関で健診票を渡し、健診時に回収します。

(2)健診の実施

5歳児健診の内容に沿って診察を行います。健診の内容は身体測定、眼や歯に異常がないかの確認、問診票を用いて行う生活習慣や行動評価などです。行動評価は家庭と集団生活における様子を知るため、保護者と保育士もしくは教諭などをセットにして評価します。診察の結果により、さらなるインタビューを行う場合もあります。

(3)事後指導・まとめ

健診結果に応じて、医師が事後指導を行います。事後指導は必要に応じて地域保健機関などと連携して行うこともあります。また、健診の結果をもとに医師会で総括が行われます。

鳥取県の場合

鳥取県の場合はいずれの市町村とも5歳児健診の受診率が90%以上となっています。また、保育園や幼稚園で健診を行っている市町村もあります。

(1)通知から受付まで

健診日時等は個別に案内が通知され、あらかじめ保護者が問診用紙に必要事項を記載するようになっています。当日は保健師や事務員が受付を行います。

(2)健診の実施

まず保健師が問診を実施し、その後看護師や保健師による身体計測や視力検査、医師による診察などが行われます。また、歯科衛生士や栄養士との個別相談や、保育士による育児相談、臨床心理士による発達相談が行われます。健診には時間がかかるため、待ち時間には絵本の読み聞かせや集団遊びなどを行っています。

(3)健診後のカンファレンス

気になった児童については健診後、スタッフ同士で問題点の整理や今後の方向性などが話し合われます。

5歳児検診は就学へ向けての大切なステップ

5歳児健診は、就学期を迎える児童の心身の成長発達や集団への適応性などを確認し、支援が必要な場合はその準備を始めるきっかけとなる大切な機会です。軽度の発達障害や軽度の精神遅滞の子供の場合、就学までの限られた期間にどのような指導を行えるかは大変重要です。普段から気になっていることはメモしておき、個別相談などでしっかりアドバイスを受けられるようにしましょう。

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