敗血症とは

更新日:2016/12/09

敗血症の基礎知識

敗血症とは、細菌、ウイルス、真菌が血液中に入って全身に回り、臓器不全など全身症状をともなう病気のことを言います。ここでは敗血症について解説します。

丸茂恒二先生

この記事の監修ドクター

丸茂医院 院長  丸茂恒二先生

敗血症は感染症をきっかけにして体内に病原体が侵入し、全身に炎症反応が現れている状態を言います。敗血症を発症した場合は迅速な処置が必要です。ここでは、敗血症について解説します。

敗血症とは

敗血症は、風邪や下痢、肺炎、尿路感染症などの感染症から発症し、全身の炎症性反応をともないます。これは、それらの感染症を引き起こした病原体(細菌、ウイルス、真菌)が体内に侵入したため、身体が病原体から自身を守ろうとする働きによる反応です。

敗血症の死亡率はどれくらい?

敗血症の死亡率にはさまざまな報告があります。敗血症が重症化した場合は、死亡率が3人に1人になるといわれています。米国では集中治療室における死亡原因の第2位が敗血症であり、年間約75万人が発症し、約20万人が亡くなるという報告があります。国内外において死亡率の高い病気であることがわかります。

敗血症の原因は細菌などの感染

敗血症は感染症が原因でなります。特に多いのは連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、肺炎菌などによる感染症です。そのほか、ごくまれにカンジダなどの真菌などのケースも見られます。敗血症につながる感染は主に、肺、腹部、もしくは尿路であることが多い傾向にあります。しかし、すべての場合が該当するわけではありません。

敗血症の症状

敗血症は急速に症状が悪化するため、早期治療開始が重要になります。敗血症の疑いを判断するために、具体的にどのような状態に注意するべきか確認しましょう。

敗血症の症状は全身に現れる

敗血症は炎症反応が全身に広がった状態を言います。

敗血症を疑う症状としては、

・悪寒

・38度以上の高熱または36以下の低体温

・呼吸数や心拍数の増加

などが見られます。また、敗血症が重症化すると、重症敗血症、さらに重症敗血症の中でも、適切な輸液療法を行っても血圧が低下した状態が続き、血圧を上げる薬(昇圧薬)が必要な状態である敗血症性ショックなどに進行します。

重症敗血症の症状

重症敗血症とは、敗血症に臓器の機能障害をともなう状態のことで、循環器不全、腎不全などが見られます。

敗血症性ショックの症状

敗血症性ショックでは、さまざまな症状が見られます。

たとえば、

・敗血症の発熱

・呼吸・脈拍の増加

・尿の量が減る

・意識レベルが低下する

などです。

敗血症性ショックの初期では、手足が温かくなり、血圧が低下します(ウォームショック)。その後、手足が冷たくなり、心拍数が低下し、循環器不全になります(コールドショック)。これらは命にかかわるほど危険な状態になると現れる症状です。

敗血症の合併症には何がある?

敗血症は多臓器障害症候群(MODS)や播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)(DIC)などを併発することがあります。

多臓器障害症候群は中枢神経、心臓、肺、肝臓、腎臓、消化器などの働きに障害が出ている状態です。命に関わる状態にまで血圧が低下した状態となる循環不全や、尿が出なくなることで尿毒症や腎不全を生じる腎機能障害が例としてあげられます。

播種性血管内凝固症候群とは、血管内に血栓が不適切に産生されます。血栓が無数にできることで血小板を大量に消費します。その結果、止血するための血小板が足りなくなり、出血がなかなか止まらない状態になります。

これらの合併症の程度によっては、予後に大きく影響する可能性がありますので、敗血症の疑いがあるときは、合併症を併発する前に適切な処置を行うことが重要です。

合併症の予防治療方法

治療の方法としては、人工呼吸管理、血糖値コントロール、栄養管理、ステロイド投与、免疫グロブリン投与、血液浄化法、タンパク分解酵素阻害薬投与などです。これらはドクターの判断によって適切な治療法を検討し、実施されます。

敗血症の検査・治療法

敗血症は、早期に治療を開始することが重症化を避け、回復までの道のりを短くする重要なポイントです。以下で、敗血症を疑われた場合の検査や治療法について説明します。

敗血症の検査

敗血症を疑われる症状が見られる場合は、原因菌を検索するために血液や尿、膿などの培養検査を用いて検査を行います。敗血症の症状は急速に悪化するため、検査結果を待たずに、問診から得た情報から投薬治療を開始することが多いです。感染源から原因を予想し、広い範囲で効果のある複数の薬剤を組み合わせて投与されます。

治療は、原因となる細菌やウイルスに適した投薬治療が重要

敗血症の治療で、どの薬を用いるかは感染がどの部位から始まったかによって検討されます。

・原因が菌であった場合:抗生物質

・ウイルスであった場合:抗ウイルス剤

・真菌が原因であった場合:抗真菌薬

を使用します。血液培養検査がでるまでの初期の投薬治療では、さまざまな可能性を考慮して、数種類の薬を同時に使用します。その後、検査結果がわかり次第、もっとも効果的な薬剤を用いた投薬治療に移行します。

敗血症が重症化した場合の治療法

重症敗血症や敗血症性ショックと判断される場合は、集中治療室での治療を必要とします。

敗血症が重症化した場合に見られる呼吸不全、肝不全、腎不全などの臓器不全に関しては、人工呼吸管理、血液浄化療法などが必要になる場合があります。

血液浄化療法は血液を取り出して、透析・ろ過・吸着・分離などの方法を利用して有害物質を除去した後に身体に戻す方法です。単純血漿(けっしょう)交換療法、血液ろ過透析(とうせき)法など、さまざまな血液浄化療法があります。

これらの治療中に血圧の低下が見られる場合は、随時、昇圧剤、輸液治療、酸素投与などを行います。

その他の治療方法

敗血症の原因が身体の中の膿瘍(のうよう:うみが溜まった状態)の場合は、手術によって膿(うみ)を取り除く必要があります。免疫機能の低下によって、医療器具などからの感染した場合は、これらを取り除く必要もあります。これらの手術を必要とする敗血症の場合は、症状が重症化することが多い傾向にあるため、早期の治療は非常に大切です。

敗血症になりやすい人

病原菌が血液に侵入した結果、必ず敗血症になるわけではありません。しかし免疫力が低下している人は敗血症のリスクが高くなります。

たとえば、以下のような方になります。

・新生児

・妊婦

・高齢者

・ステロイドなど免疫系を抑制する薬を服用している方

・がんやエイズなどの免疫系の病気を治療中の方

・糖尿病や肝硬変などの特定の慢性疾患をもつ方

これらの方は、敗血症のリスクが高まると言えます。

医療器具を身体に入れている人も要注意

免疫が落ちている方以外にも、医療器具を身体に入れている人も敗血症のリスクが高いと言えます。たとえば、静脈や尿路にカテーテルを挿入していたり、ドレナージや気管内チューブを使用している方です。その他、滅菌されていない注射の使用や人工関節、人工心臓弁などを使用している方などもあげられます。