エストロゲンとプロゲステロンの働きは?更年期障害との関連も

更新日:2017/09/14 公開日:2016/03/31

女性ホルモンの基礎知識

エストロゲンとプロゲステロンは時期によって分泌量が異なり、それにより心と体にさまざまな影響を及ぼします。ここでは、女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」の働きや特徴について、ドクター監修の記事で解説します。

女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2種類 あります。

エストロゲンとプロゲステロン

女性ホルモンとは、卵巣から分泌されるエストロゲン( 卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)のふたつ を指しています。この2種類の女性ホルモンは、約28~38 日の月経周期にあわせて分泌される量が変わってくるの です。

エストロゲンとプロゲステロンは、女性の体を妊娠や出 産できる状態にするだけでなく、女性らしい体や美しい肌 を保つために欠かせないホルモンです。

エストロゲンとプロゲステロンの働きや特徴を詳しく見て いきましょう。

エストロゲンの働き

女性らしい体を作る

エストロゲンは、女性らしい体をつくりつつ、子宮の内 膜を厚くして妊娠できるよう準備をするために必要なホル モンです。美肌をつくる働きもあるため、「美肌ホルモン」と 呼ばれることもあります。

基礎体温を下げる

エストロゲンには、血管を拡張して熱を発散させ、基礎 体温を下げる働きもあります。そのため、エストロゲンがもっ とも多く分泌される排卵直前には体温が下がるという特徴 が見られるのです。

自律神経を整える

エストロゲンは、視床下部にある自律神経に影響して います。

エストロゲンの減少が原因となっている更年期障害は、 エストロゲンの減少が自律神経に影響し、ほてり、のぼせ、 発汗といった自律神経症状が現れるのです。

骨を丈夫にする

エストロゲンには、カルシウムの吸収を助け、骨を丈夫 にする働きもあります。骨は肌や血と同じで常に新陳代謝 をくりかえしています。古い骨は壊れ、新しい骨に入れ変 わる仕組みとなっており、エストロゲンが骨の吸収を抑える 役割を担っているのです。

そのほか、エストロゲンは、血中の善玉・悪玉コレステロ ールを正常化し、動脈硬化も抑制しています。

エストロゲン分泌量の変化と身体への影響

月経後から排卵前まで多く分泌

月経が終わるころから排卵前にかけて、エストロゲンが 多く分泌されます。前述したとおり、この時期には基礎体 温が低くなります。

エストロゲンの分泌量が多い時期を卵胞期と言います が、この時期は心と体が安定しやすいのが特徴です。肌の コンディションも整いやすいでしょう。

妊娠中は出産前まで多く分泌される

ふだんは、エストロゲンとプロゲステロンが交互に優位 な働きをしているのですが、妊娠するとエストロゲンとプロゲ ステロン、どちらのホルモンも一緒に分泌量がいつもよりも 増加します。妊婦の母胎は、エストロゲンに加えプロゲステ ロンの量もしっかり維持されることで守られ、安全な出産が できるのです。

出産後の急激な減少

出産が無事終わると大量のエストロゲンやプロゲステロ ンは必要なくなるため、正常なバランスを取り戻そうと、ど ちらのホルモンも急激に減少し、普段のホルモン量を下回 ってしまうことさえあります。その変化があまりにも急なため 、身体は変化についていけず、さまざまな不調が現れや すくなります。

ホルモンバランスが安定しない状態は、肌にも影響を 与え、肌状態に揺らぎが生じます

エストロゲンには髪の毛の成長を促す働きもあるので、 髪が大量に抜けてしまう可能性があります。また、プロゲス テロンにも育毛を維持するような働きがあり、妊娠中、増加 していたプロゲステロンにより保持されていた毛髪が、出産 後、抜けやすくなるということもあるようです。

出産後の肌荒れについては

『産後の肌荒れの原因と対処 法』で、出産後の抜け毛の悩みに関しては

『出産後の抜け毛の原因と改 善方法』で、それぞれドクター監修のもと解説していま す。

年齢とともに分泌量が減少

若いうちは、脳からの指令を受けた卵巣は十分なエス トロゲンを分泌することができますが、年齢とともに卵巣の 機能が低下すると、脳からの指令を受けても卵巣が応えら れずエストロゲンを十分に分泌できなくなります。エストロゲ ンが十分に分泌されないと、視床下部や下垂体はより多く の性腺刺激ホルモンを分泌し、エストロゲンの分泌が行わ れるよう刺激を送り続けます。しかし、いくら刺激ホルモンを 多く出しても卵巣は機能が低下し、十分なエストロゲンを出 せない状態となっているので、視床下部はパニック状態に 陥ります。

視床下部はほかのホルモン分泌のコントロールや自律 神経の中枢でもあるため、視床下部がパニック状態になる ことによって自律神経にも乱れが生じ、顔のほてりや発汗 などの「ホットフラッシュ」とよばれる症状や、頭痛、動悸、 肩こりなどの更年期障害の症状が現れるようになります。

エストロゲンを増やす治療法

前述した更年期障害の症状を改善するため、他の病 気が見つからず更年期障害と診断されたら、病院では以 下のような治療を行います。

ホルモン補充療法

ホルモン補充療法(HRT)とは、閉経前後に体内で不 足してきた女性ホルモン「エストロゲン」を、飲み薬や貼り 薬で補充する療法です。エストロゲンを補充することにより 、自律神経のバランスが整い自律神経失調症のために起 こっていたさまざまな症状が軽くなります。

漢方療法

ホルモン補充療法に抵抗がある方や、服用する薬が 多い方によく利用されている療法です。漢方薬でつらい症 状をとりのぞきながら、ホルモンが減っていく状態に体を慣 らし、体調を整えることが目的です。

カウンセリング

不安やうつ状態、不眠など、精神的症状が強い場合や 、心理的な問題から症状が悪化している場合は、心のケア を行います。

生活改善法のアドバイス

ドクターが、食生活のアドバイスや、音楽療法、簡単な 体操などの生活法をアドバイスしてくれます。不定愁訴の 症状をメモしておいたり、朝晩血圧を測ったりしていると、 そのデータを活かすことでより的確なアドバイスとなります。

妊娠をサポートするプロゲステロン

プロゲステロンには、受精卵が着床しやすい状態に整 えて、妊娠を継続させる働きがあります。妊娠をサポートす るために不可欠な黄体ホルモンです。

また、プロゲステロンには、乳腺を発達させたり、食欲 を増進したりする働きもあります。ほかにも、血糖値を正常 にする、体脂肪を減らす、ホルモンバランスを調整するとい った役割も担っています。さらに、水分を引き込んだり、体 温を上昇させたりといった作用もあります。

プロゲステロン分泌量の変化と身体への影響

プロゲステロンは、排卵後から次の月経が始まるまでの 間に分泌されます。脳の体温中枢に働きかけるプロゲステ ロンが分泌される時期には、基礎体温は高くなります。

プロゲステロンの分泌が多くなる時期は黄体期と呼ば れており、精神的に不安定になりやすい傾向があります。 この症状が重くなると、心と体にさまざまな不快症状を及ぼ すPMS(月経前症候群)となります。また、この時期には肌 荒れやニキビができやすいでしょう。

女性ホルモンは、上で述べたような生理周期の中だけ でなく、一生の間にも分泌される量が大きく変化していま す。また、その分泌量の変化は、女性の身体にさまざまな 影響を及ぼします。

女性ホルモンの分泌のしくみや分泌量の変化につい て詳しくは、

『女性ホルモンの分泌のしく みと分泌量の変化』についてご覧ください。

ホルモンバランスを整えるために積極的に摂りたい食 品

ホルモンバランスを整えるためには、ホルモンによい影 響を与える食品を摂る必要があります。ホルモンのバラン スが乱れると女性特有の疾患を発症する危険性もあるの で、健康のためにこれらの食品は積極的に摂取したいもの です。

※疾患(しっかん)とはいわゆる病気の事です。

大豆食品全般(大豆イソフラボン)

豆腐や納豆などの大豆製品に含まれる大豆イソフラボ ンは女性ホルモンと同様の働きをし、ホルモンバランスを 整えます。

マグロ、カツオ(ビタミンB6)

マグロやカツオなどの魚類に多く含まれるビタミンB6は 、女性ホルモンひとつであるエストロゲンの代謝に働きかけ 、ホルモンバランスを整えます。

アーモンドなどのナッツ類(ビタミンE)

脳下垂体や卵巣に働きかけてホルモン分泌をコントロ ールします。ホルモンバランスを整えるとともに、高い抗酸 化作用で美肌にも効果を発揮します。

アボカド(マグネシウム、ビタミンE、ビタミンB、葉酸、 食物繊維、カリウム)

ホルモンを維持するのに大切な成分が豊富です。ビタ ミンBには女性ホルモンの代謝を促しホルモンバランスを整 える働きがあります。

ココナッツオイル(ラウリン酸)

ホルモンの生成に重要な働きをします。

バター(脂溶性のビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタ ミンK2)

ホルモンの構築に必要な脂溶性のビタミンが豊富に含 まれています。

卵黄(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB2、ビタ ミンB6、ビタミンB9、鉄、カルシウム、カリウム、リン、コリン)

生殖器系、ホルモンバランス、さらに、肌の健康を維持 するのに不可欠な成分が豊富です。

ホルモンバランスを乱す食事

逆に、ホルモンバランスを乱す食事とはどんなものでし ょうか。

肉の摂取を避けない

ダイエットのために極端に肉の摂取を避けると女性ホ ルモンを調節するために必要なタンパク質が不足します。

化学調味料と冷たい物を避ける

化学調味料を多分に用いたインスタント食品は体内の ミネラルを奪い、成長ホルモンの分泌を妨げることになりま す。さらに、冷たい飲み物や食べ物を摂りすぎると身体が 冷えて自律神経に支障をきたし、自律神経と相互作用の あるホルモンのバランスを崩します。

このようなことから、極度のダイエットや化学調味料、そ して、冷たい飲食物はホルモンバランスを正常に保つため に避けたい3つのポイントと言えます。

食事や規則正しい生活でホルモンバランスを整えて

エストロゲンもプロゲステロンも、女性の体にとって大切 な働きをすることがわかりました。また、ホルモンによい影 響を与える食品を摂ったり、睡眠時間などの生活習慣を整 えたりすることでホルモンバランスを整えることができます。

なお、女性ホルモンを整える成分について知りたい方 は、

『女性ホルモンを整えるサプリ メント成分』をご覧ください。特に、美のホルモン「エス トロゲン」に効果的な成分については、

『美肌の源!エストロゲンの分 泌を整える成分』をご参照ください。

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