訪問歯科診療でできる治療とメリット

更新日:2017/07/19 公開日:2016/04/21

口腔ケアの基礎知識

歯科医師、または歯科衛生士が直接出向く訪問歯科診療は、要介護の高齢者が増加する時代においてニーズが高まっています。ここではドクター監修の記事で、訪問歯科診療の求められる背景と実際の診療内容やメリットについて解説します。

訪問歯科診療は要介護者の増加などにともなって近年、ニーズが高まってきています。訪問歯科を利用するメリットや、高齢者の口腔トラブルに対してどこまで訪問歯科が対応できるのかについて、解説していきます。

訪問歯科診療とは

歯科のない病院に入院していたり、在宅や施設で療養したりしている介護を必要とする高齢者が、歯科へ自ら出向いて診察を受けることはなかなか難しいものです。訪問歯科診療とは、こうしたケースに対応するため、歯科医師・歯科衛生士がその場所へ訪問して診察を行うことを言います。

厚生労働省「介護保険事業状況報告」2014年度によると、要介護認定者数は606万人となり、制度開始から初めて600万人を超えています。

こういった状況下で、虫歯や歯周病、入れ歯の使用など、要介護高齢者にとっても口の中の健康維持のための歯科受診は不可欠でもあり、訪問歯科のニーズが増えてきているのが現状です。

訪問歯科診療のメリット

第一に「通院しなくてもよい」ということが、訪問歯科診療を受ける大きなメリットではないでしょうか。介護を受ける方はもちろん、介護をする側ご家族などにとっても歯科へ出向くための体力面および精神面の負担が軽減され、時間的な制約も減少します。また、歯科医師や歯科衛生士による専門的な指導で、口の中の健康をきちんと管理することができるようになります。

また、生活をしている場所での診療になりますので、患者の生活に応じた指導を受けることができることもよい点です。歯科医師や歯科衛生士が、その方の一日の行動や嗜好、家族との関係なども踏まえてよりよい提案ができることがあります。

訪問歯科診療で受けられる治療

訪問歯科診療では、診療に適した持ち運び可能な治療器具が一通りそろっていますし、高齢者の場合、入れ歯が合わない、虫歯の痛み、歯茎の腫れや痛み、口内炎といった内容が多いですが、ほとんどのケースは訪問歯科診療で対応することができます。

高齢者に多い誤嚥性肺炎の予防にも適切なケアを

飲食物やだ液、胃液が細菌とともに気管に入り、炎症を起こす「誤嚥(ごえん)性肺炎」は、高齢者がかかる肺炎の過半数を占めるといわれています。口の中に食べかすが残っていたり、また虫歯、歯周病があると細菌が繁殖しやすくなるため、誤嚥性肺炎の大きな原因となります。そこで、定期的に歯科を受診し、適切なケアを行うことが重要です。実際に、誤嚥性肺炎の予防に関する研究によると、口腔ケアを行うことで発症率が低くなるという結果が出ています。

また、口腔ケアを行うことで認知症や糖尿病、心臓病などの予防につながったり、だ液の分泌も正常に近づけることができるため、食事中の誤嚥を防ぐことにもなります。

歯科を受診できない状態だからといって口の中の治療を諦めず、訪問歯科診療をうまく活用し、介護を受ける方の健康保持と生活の質の向上に務めることが大切です。

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