食べるための筋肉トレーニング「嚥下体操」とは?

更新日:2017/07/31 公開日:2016/04/21

口腔ケアの基礎知識

「食事でむせることがある」、「飲み込みにくい」ことが気になるときは、嚥下(えんげ)機能が低下しているせいかもしれません。ドクター監修のもと、嚥下に必要な筋肉を鍛える嚥下体操について、効果と手順を解説します。

食べものを飲み込む力を訓練する嚥下(えんげ)体操について解説します。

どうして、嚥下体操を行うの?

嚥下とは、食べたものを飲み込むことを意味します。そして、食べたものを自分の歯でかみ砕き、飲み込むことができない状態にある場合、嚥下障害の可能性があります。嚥下障害の患者に多く見られる症状には、食事中や食後にむせたり咳が出たりする、飲み込んだ後も口の中に食べ物が残ってしまうことがあげられます。

その他にも、「ご飯に比べて噛む回数の少ない麺類を好むようになる」、「むせてしまうことから水分の摂取量が減り、トイレの回数が減る」、「脱水もしくは低栄養状態」、「食後に疲れてしまう」「食事をしたがらない」といった症状も嚥下障害の可能性が考えられます。

嚥下体操とは

ものを飲み込む動作(嚥下)は、いくつかの動きが連携して行われています。「食事をするとむせる」、「ものが飲み込みにくい」というときは、この嚥下機能が低下している可能性があります。口に取り入れた食べものや飲みものを食道へ送るには、のどだけではなく舌や口の周り、首の筋肉がスムーズに動くことが大切ですが、これらの筋肉を鍛えるのが「嚥下体操」です。

食べるときに使うのは「口だけ」ではない!

食事をするときのことをイメージしてみましょう。食べるときに使う筋肉は、口の周りの筋肉だけではなく、実は、身体のいろいろな部分の働きが大きく関係しているのです。

たとえば、食べ物を口に入れるところまでを考えてみてください。まず、食べ物を「目で見て」確認し、手では箸やスプーンを「持ち」、もう片方の手は食器を「つかんで支え」ます。そして、箸やスプーンで食べ物を「取り」、口まで「運び」ます。

ここまでに、上肢の各部分にある筋肉と頭を支える首や肩の筋肉が、連携して動いていることがわかります。したがって、嚥下体操には口だけでなく身体の筋肉をトレーニングする動作も含まれるのです。

また、これらを使うにはリラックスした姿勢を心がけることが大切です。

嚥下体操の手順

嚥下体操の一例を紹介します。

最初に椅子に腰掛けてリラックスしてから始めましょう。

深呼吸:鼻からゆっくり息を吸い、口から細く長く息を吐く。これを数回くりかえす

首の体操:前後左右を向いたり、傾けたり、ゆっくり頭を回す動きを何度かくりかえします

肩の体操:両腕を頭上に挙げ左右にゆっくりとおろす。肩をゆっくりと上げてストンと落とす。肩を前から後ろ、後ろから前にまわしてほぐす

口の体操:口を大きく開けたり閉じたり、また、すぼめたり横一文字に引っ張る動きを数回行う

頬の体操:膨らませたり、すぼめたりして頬を動かす

舌の体操:舌を前へ突き出したり奥へ引いたりするほか、唇の周りをなめるように舌を動かす

発声練習:パタカラ体操

咳払いの練習:お腹に手をあてて咳払いをする

嚥下体操は筋肉のトレーニングです。ある程度の負荷をかけなければ鍛えることはできませんが、負荷のかけすぎは首や肩をいためて逆効果になることもあります。無理なく痛みのない程度で行いましょう。

パタカラ体操の方法は、『食前の「パタカラ」が効果的!口腔体操とは』を参照してください。

嚥下体操の最適なタイミング

嚥下体操は、食前に行うことをおすすめします。口の周りも動かすことで唾液の分泌も促進され、食べ物を飲み込みやすくなるためです。本人の状態に合わせて無理のない方法で行うことが大切です。

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