食べるための筋肉トレーニング「嚥下体操」とは?

更新日:2017/03/24 公開日:2016/04/21

口腔ケアの基礎知識

「食事でむせることがある」、「飲み込みにくい」ことが気になるときは、嚥下(えんげ)機能が低下しているせいかもしれません。ドクター監修の記事で、嚥下に必要な筋肉を鍛える嚥下体操について、効果と手順を解説します。

このページでは、食べものを飲み込む力を訓練する嚥下(えんげ)体操について解説します。

どうして、嚥下体操を行うの?

嚥下とは、食べたものを飲み込むことを意味します。そして、食べたものを自分の歯でかみ砕き、飲み込むことができない状態にある場合、嚥下障害の可能性があります。嚥下障害の患者に多く見られる症状には、食事中や食後にむせたり咳が出たりする、食事中に食べ物を口からこぼしてしまう、口の中に食べ物が残ってしまうことがあげられます。

その他にも、「ご飯に比べて噛む回数の少ない麺類を好むようになる」、「むせてしまうことから水分の摂取量が減り、トイレの回数が減る」、「脱水もしくは低栄養状態」、「食後に疲れてしまう」「食事をしたがらない」といった症状も嚥下障害の可能性が考えられます。

嚥下体操とは

ものを飲み込む動作(嚥下)は、いくつかの動きが連携して行われています。「食事をするとむせる」、「ものが飲み込みにくい」というときは、この嚥下機能が低下している可能性があります。口に取り入れた食べものや飲みものを食道へ送るには、のどだけではなく舌や口の周り、首の筋肉がスムーズに動くことが大切ですが、これらの筋肉を鍛えるのが「嚥下体操」です。

食べるときに使うのは「口だけ」ではない!

食事をするときのことをイメージしてみましょう。食べるときに使う筋肉は、口の周りの筋肉だけではなく、実は、身体のいろいろな部分の働きが大きく関係しているのです。

たとえば、食べ物を口に入れるところまでを考えてみてください。まず、食べ物を「目で見て」確認し、手では箸やスプーンを「持ち」、もう片方の手は食器を「つかんで支え」ます。そして、箸やスプーンで食べ物を「取り」、口まで「運び」ます。

ここまでに、上肢の各部分にある筋肉と頭を支える首や肩の筋肉が、連携して動いていることがおわかりでしょうか。したがって、嚥下体操には口だけでなく身体の筋肉をトレーニングする動作も含まれるのです。

また、これらを使うには姿勢もとても大切です。悪い姿勢だと、うまく筋肉をつかえないでしょう。まっすぐ前を見据え、背筋を伸ばすことも重要です。

嚥下体操の手順

嚥下体操の一例を紹介します。

最初に椅子へ深く腰掛けて背筋を伸ばし、リラックスしてから始めましょう。

  1. 深呼吸:鼻からゆっくり息を吸い、口から細く長く息を吐く。これを数回くりかえす
  2. 首の体操:前後左右を向いたり、傾けたりする動きを何度かくりかえしてから、2回ほどゆっくりと頭を回す
  3. 肩の体操:両腕や肩の上げ下げをゆっくり行い、肩を前後にまわしてほぐす
  4. 口の体操:口を大きく開けたり閉じたり、また、すぼめたり横一文字に引っ張る動きを数回行う
  5. 頬の体操:膨らませたり、すぼめたりして頬を動かす
  6. 舌の体操:舌を前へ突き出したり奥へ引いたりするほか、唇の周りをなめるように舌を動かす
  7. 発声練習:パタカラ体操
  8. 咳払いの練習:食べ物などが期間に入ってしまう、誤嚥(ごえん)を起こしたときに取り除くための練習

嚥下体操は筋肉のトレーニングです。ある程度の負荷をかけなければ鍛えることはできませんが、負荷のかけすぎは首や肩をいためて逆効果になることもあります。無理なく痛みのない程度で行いましょう。

パタカラ体操の方法は、『食前の「パタカラ」が効果的!口腔体操とは?』を参照してください。

嚥下体操の最適なタイミング

嚥下体操は、食前に行うことをおすすめします。口の周りも動かすことで唾液の分泌も促進され、食べ物を飲み込みやすくなるためです。また、お風呂に入っているときやテレビを見ているときに「ながら体操」として行うのもよいでしょう。構えず、毎日コツコツ続けることが大切です。

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