嚥下障害がある人に適した口腔ケア

更新日:2017/03/24 公開日:2016/04/21

口腔ケアの基礎知識

食事中や食後に、咳き込んだりむせたりするといった症状は嚥下障害(えんげしょうがい)の可能性があります。ドクター監修のもと、嚥下障害の人のための口腔ケアと、合併を起こしやすい誤嚥性肺炎について解説します。

嚥下障害(えんげしょうがい)の症状や、口腔ケアの方法について解説します。

嚥下障害(えんげしょうがい)の症状

食事をしている最中や食後に、むせたり咳き込んだりする、食べているときにポロポロと口から食べ物がこぼれる、口の中にものが残っている、このような症状は嚥下障害の方によくみられます。

それ以外にも、「ご飯よりも噛まなくてよい麺類を好むようになる」「むせるために水分を摂りたがらないため尿量が減る」「脱水や低栄養状態になっている」「食べるとすぐ疲れる」「そもそも食べ物をとりたがらない」といった症状も嚥下障害が疑われます。

合併症として誤嚥(ごえん)性肺炎を起こしやすい

嚥下障害を起こしている方は、合併症として「誤嚥性肺炎」を起こしやすい傾向にあります。むせたりすることによって誤嚥してしまい、食べたものや水分が肺に入り、細菌が繁殖して炎症を起こすのが誤嚥性肺炎です。

また、口から食べものを摂りにくい方でも誤嚥性肺炎は起こります。口を動かさなくなるため唾液の分泌が減ってしまいます。唾液には緩衝能があり、唾液分泌の力が低下すると、口内の自浄作用能力が落ちて細菌が増えやすくなります。そのため、細菌をたくさん含んだ唾液を飲み込むときに誤嚥を起こし、誤嚥性肺炎を発症することがあります。

誤嚥性肺炎とは

本来は空気の通り道である「気管」に、誤って食べ物が入ってしまい、食べ物や唾液にともに入り込んだ細菌によって引き起こされる肺炎を、誤嚥性肺炎と呼びます。高齢者になると誤嚥が増え、発症率も増加することから「老人性肺炎」とも呼ばれています。

主な症状は空咳や息切れ・発熱などですが、高齢者の場合は症状が出ないこともあるので、元気がない・倦怠感が続くなどの症状がある場合は注意しましょう。

誤嚥性肺炎の詳細については『誤嚥性肺炎(老人性肺炎)の原因と症状、高齢者に起きやすい理由』『誤嚥性肺炎(老人性肺炎)の死亡率と嚥下障害が起こる原因』の記事を参照ください。

嚥下障害がある方に対する食後の口腔ケア方法

嚥下障害のある方に口腔ケアを行うときは、次の点に注意しながら行うようにしましょう。

  • 口の中に食べものを残さないよう、食後にお茶を飲ませる。
  • 食事中にむせることが多い人は、食事の前後に咳払いをさせる。
  • 歯に挟まった食べものは舌を使って取るように指導する。
  • 水飲みやシリンジ(注射筒)で洗浄しながら確実に食べかすを吸引する。
  • 胃から逆流した内容物の誤嚥を防ぐため、食後しばらくは横にならないようにする。

睡眠中に無意識に唾液が気管に入ることを不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)といい、それが原因で誤嚥性肺炎を起こすこともありますので、就寝前の口腔ケアは特に注意を払うようにしましょう。夜だけではなく昼寝の前も大切です。

嚥下障害のリハビリテーション方法

実際に食べながら訓練していく、嚥下障害のリハビリテーションの内容は下記のとおりです。

  • 本人の体の状態にもよるが、座るときは背中をもたれさせ、あごを軽く引いた状態にする。
  • 誤嚥を減らすために、通常考えずに行っている「飲み込む」という動作をいつも以上に意識させる。
  • 飲み込む前に大きく息を吸って止め、食べものを飲み込んだらすぐに咳払いをさせる。
  • 食事に使うカトラリー類はスプーンなどを使い、食べものはとろみをつけた「のどをとおりやすいもの」から始める。

嚥下機能を医師や歯科医師に検査してもらうことも重要

飲み込む訓練を続けながら、食後に口の中に食べかすが残らないよう丁寧な口腔ケアを行うことが、嚥下障害のある方の誤嚥性肺炎予防には必要です。医師や歯科医師に嚥下機能を検査してもらうことも重要になります。心あたりがある場合は、一度病院を受診してみることをおすすめします。

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