部分入れ歯の選び方や費用・正しい装着方法とは

更新日:2017/03/29 公開日:2016/04/21

入れ歯・差し歯・ブリッジのケア

部分入れ歯の種類や費用、正しい装着方法などをドクター監修のもと解説します。部分入れ歯は、形状や特徴を知り、着脱のコツや洗浄方法を身につけることで長く快適に使うことができます。装着時に違和感があるときの解消法も紹介します。

部分入れ歯には、歯のない部分(入れ歯で補う部分)の両側に、健康な歯(残存歯)で入れ歯を支えるための金具(クラスプ)がついているものがほとんどです。

部分入れ歯の目的

部分入れ歯は、虫歯や歯周病、歯の破折などによって、失われた歯を補うために装着する「義歯」のひとつです。

歯を失っても義歯を入れることで、口腔内の機能を回復させることができます。義歯を入れることによって起こる変化は、次のものがあります。

食べ物を噛む力の維持、回復

いろいろな食べ物をしっかり噛めるようになり、食べられるものの種類が増えます。

嚥下機能の維持、回復

しっかり噛むことができるようになり、食べ物が飲み込みやすくなります。また、よく噛むことで、唾液の分泌も増えます。

正しい発音を維持、回復

はっきりと発音しやすくなります。

身体のバランスを維持する

歯と歯の噛み合わせが改善されたり、しっかり歯を食いしばれるようになることで、姿勢が安定しやすくなります。

部分入れ歯の構造

入れ歯は、「床(しょう)」と呼ばれる歯ぐきのようなピンク色をした土台に「人工歯」が並んだつくりになっています。

部分入れ歯には、ほとんどのものに床と人工歯のほかに、残りの歯に引っ掛けて入れ歯を固定する「クラスプ」という金属の留め具がついています。部分入れ歯は、失った歯の数、部位、残っている歯の状況などによって、入れ歯の形、大きさなどが異なり、色々なタイプがあります。

部分入れ歯の費用

入れ歯には、保険適用のものと自由診療のものがありますが、それぞれで、どのくらいの費用がかかるものなのでしょうか。

入れ歯には保険適用のものと自由診療のものがある

保険適用の入れ歯は、土台となる床(しょう)がレジン(プラスチック)のみ、部分入れ歯の場合は、金属のクラスプ(留め具)がついたもののみになります。費用が抑えられる、1か月程度で作製できる、修理・調整がしやすいというメリットがありますが、全体的に厚みがあるので装着時に違和感があったり、部分入れ歯の場合は、金属のクラスプが見えたときに、見た目で入れ歯であることが気づかれやすくなります。

自由診療の入れ歯は、さまざまな素材から選択が可能です。薄くて強度があり、適合のよい金属床入れ歯や部分入れ歯の場合も、クラスプの部分が歯ぐきと同じ色で目立ちにくいノンクラスプデンチャーなどもあります。そのため、つけ心地や見た目のよさを追求できるというメリットが多くあります。しかし、費用が高価になる、素材によっては作製に時間がかかるといったデメリットがあります。

  • 保険適用の入れ歯
  • 自由診療の入れ歯

保険適用と適用外での費用の違い

保険適用の入れ歯は、3割負担の場合で、口の中の状態にもよりますが部分入れ歯なら約5,000円程度、総入れ歯なら約10,000円がおおよその目安とされています。それに対して自由診療の入れ歯は、選択する入れ歯の種類、歯の本数、また、各医院によってその費用にも幅がありますが、部分入れ歯なら100,000円以上、総入れ歯なら200,000円以上が相場とされています。それでも素材などが改良されたため、以前よりは低予算で治療ができるようになりました。

入れ歯も医療費控除の対象になる

入れ歯は、保険適用のものも含め、「医療費控除」の対象になります。医療費控除とは、自分や家族のために、年間10万円を超える医療費を支払った場合に、確定申告をすれば、一定の金額の所得控除を受けることができる制度のことです。

入れ歯だけでなく、インプラントや自由診療の被せもの、虫歯や歯周病の治療、通院のための交通費なども、すべて医療費控除の対象となります。ただし、美容目的の歯列矯正、ホワイトニングなどは対象外です。

医療費控除を受けるためには、1年間の医療費の支出を証明するために、医療費の領収書や通院費のメモ(氏名、理由、日付、交通機関、乗車区間を明記)が必要になります。歯科医院で治療を受けたら、領収書や通院費のメモをきちんと保管しておきましょう。

保険適用の入れ歯の種類

保険適用の部分入れ歯は、以下になります。

レジン床

人工の歯とプラスチック(レジン)の床、金属のクラスプがついたタイプの部分入れ歯です。

【メリット】

  • 保険が適用されるので安価

【デメリット】

  • 金属のクラスプがついているので、見た目がよくない
  • 丈夫にするために床を分厚くする必要があり、装着時に違和感が強くなったり、食べ物の温度がわかりづらくなったりしやすい
  • 部分入れ歯に隣接している歯が虫歯になることがある
  • ものを噛む力が天然の歯の約20~30%と低くなることがある

保険適用外の部分入れ歯の種類

保険適用外の床の主なものには、「金属床」があります。その他、さまざまな部分入れ歯があります。

金属床

床の部分に、金合金、コバルトクロム、チタン、白金加金などの金属を使用した部分入れ歯です。

【メリット】

  • 金属は強度にすぐれているので、床を薄くすることができ、装着時の違和感が軽減される
  • 金属は熱伝導性にもすぐれているので、食べ物の温度を感じやすい
  • 汚れやにおいがつきにくい

【デメリット】

  • 保険が適用されないので高価
  • 壊れたときの修理が困難な場合がある
  • 金属の種類によっては、金属アレルギーを起こすことがある

テレスコープデンチャー(部分入れ歯用)

クラスプを使わずに、残った歯を使ったはめ込み式の装置を使うことで、入れ歯を固定・維持する部分入れ歯の総称で、「ドイツ式入れ歯」と呼ばれることもあります。代表的なものとして「コーヌステレスコープ」などがあります。

ノンクラスプデンチャー(部分入れ歯用)

金属のクラスプの代わりに、歯ぐきに似たピンク色、または透明なプラスチック製の留め具を使った部分入れ歯です。製品名としては「スマイルデンチャー」や「ナチュラルデンチャー」などと呼ばれています。

シリコンデンチャー(部分入れ歯・総入れ歯用)

床の一部に、ゴムのようにやわらかくて弾力性がある「シリコン」を使っている部分入れ歯のことです。いくつか種類があります。製品名としては「コンフォート」をはじめ、いくつかの種類があります。

ホワイトクラスプデンチャー(部分入れ歯用)

クラスプに金属ではなく、白いプラスチックを使用した部分入れ歯です。

マグネットデンチャー(部分入れ歯・総入れ歯用)

クラスプを使わず、磁石の力で入れ歯を固定する部分入れ歯です。残っている歯根(歯の根っこ)に磁石とくっつく金属(キーパー)をつけ、入れ歯には超小型の磁石を埋め込みます。入れ歯の土台になる歯根が残っている場合は、総入れ歯にも使用できます。

それぞれの部分入れ歯のメリットやデメリットについては、『入れ歯にはどんな種類がある?』で詳しく解説しています。

部分入れ歯の種類・正しい着脱方法

着脱や洗浄の正しい方法を身につけると、長く使用できます。

部分入れ歯は、周りの健康な歯(残存歯)にクラスプで支えらえているタイプが多く、無理に取り外しを行うと残存歯や歯ぐきを傷つけるおそれがあります。着脱の際には、残存歯に固定するためのクラスプに指をかけて慎重に行うようにしましょう。

また、部分入れ歯は口の中に落とすと、あやまって飲み込んでしまう危険性もあります。取り外したあとの扱いにも細心の注意を払う必要があります。

部分入れ歯の洗浄手順

部分入れ歯にも、歯と同じように歯垢(プラーク)や歯石は付着します。虫歯菌や歯周病菌が部分入れ歯に付いたままになっていると、健康な歯にも虫歯や歯周病を招くほか、口の中の環境に悪影響を及ぼすリスクがあります。

部分入れ歯を洗浄するときは、まず歯ブラシを使って金具部分や入れ歯の歯の間についた汚れをやさしく洗い流します。使用する歯ブラシは入れ歯専用のタイプか通常の歯ブラシの毛先の柔らかいものが適しています。毛の硬い歯ブラシやスクラブ入りの歯磨き粉を使うと、入れ歯の表面を傷つけるおそれがありますので控えるようにしましょう。

歯ブラシでの洗浄とあわせて入れ歯用の洗浄剤を活用すると、よりきれいに洗うことができます。洗浄剤には、抗菌・消臭成分が入ったタイプもありますので、用途に合わせてお使いください。

部分入れ歯の違和感が解消されない場合の治療法

入れ歯を長期間使用していると、隙間が生じるなど、違和感を覚えることもあります。そのようなときは、まず歯科医に相談して調整してもらいましょう。詳しくは、『入れ歯が合わない原因』もご覧ください。

それでも違和感が解消されない場合は、問題を解決するために、保険適用外となりますが他の素材による部分入れ歯への変更も検討しましょう。

保険適用外の部分入れ歯には、金属床、チタン床などでできた軽くて薄いタイプがあり、装着の違和感が少ないという特徴があります。また、磁石で脱着するタイプは、安定感が上がり、見た目のよさもあります。金具のないノンクラスプデンチャーと呼ばれる部分入れ歯は、見た目の良さと弾力性に優れているといわれています。

部分入れ歯以外に歯を補う方法

部分入れ歯以外にも、失った歯を補う方法があります。

ブリッジ

失った歯の両隣の歯を削って土台をつくり、橋渡しをするように人工歯を被せる方法です。

インプラント

歯科医院でのインプラント治療は、虫歯や歯周病、歯の破折などによって歯を失ったり、歯が必要本数生え揃わなかったりした場合などに行われます。

インプラントでは、あごの骨を削り、金属のネジ(人工歯根)を埋め込むという手術が行われます。

インプラントには、見た目が自然なだけでなく、天然の歯と同じような力で噛めるというメリットがあります。一方で、治療費用が高額になることや、治療期間が長いなどのデメリットもあります。

インプラントのメリットやデメリットについては、『インプラントとは?構造と治療の歴史、メリット・デメリット』をご覧ください。また、インプラントの安全性についても『インプラントの安全性と治療に適した年齢・時期について』で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

それぞれの入れ歯の長所、短所をよく聞いて選んでください。保険が適用されない部分入れ歯に変えるには経済的な負担が大きいので、まずは歯科医に不具合を相談して納得いくまで調整してもらうことをおすすめします。

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