過敏性腸症候群(IBS)の治療で行われる心理療法とは

更新日:2017/12/14 公開日:2016/03/21

過敏性腸症候群(IBS)のよくある疑問

過敏性腸症候群(IBS)では、薬物治療のみでは症状が改善しないケースもあります。そのような場合に検討されるのが、心理療法です。ここでは、ドクター監修のもと、過敏性腸症候群の治療における心理療法について解説します。

過敏性腸症候群(IBS)の治療では、薬のみで症状が改善しない場合、心理療法が検討されることもあります。ここでは、過敏性腸症候群の治療で行う心理療法の種類や効果について解説します。

治療の最終段階に位置づけられる心理療法

日本消化器学会の治療ガイドラインでは、過敏性腸症候群の治療は3段階で構成されています。まず、食事や生活習慣の改善と一緒に、消化器機能を改善する薬物治療を行います。この治療で改善が見られない場合は、症状にストレスや心理的な問題が関係しているか検討し、関係している場合は抗うつ薬や抗不安薬などを使った治療を行います。うつ病や不安症と過敏性腸症候群との関係については、『過敏性腸症候群(IBS)とうつ病の関係とは』で詳しく解説しています。

薬物治療で効果が得られない場合、心理療法による治療が検討されます。過敏性腸症候群の治療には、以下のような心理療法が用いられます。

  • 集団療法:同じ問題を抱える人たちが集まり、参加するメンバーおのおのが自分のことを語ることを通して行う心理療法
  • 催眠療法:暗示を受けやすい催眠状態を利用し、心の問題を解消したり、行動パターンを修正したりする心理療法
  • 対人関係療法:家族やパートナーなど、自分の情緒にもっとも大きな影響を与える人との「現在の関係」に焦点を当て、感情を指標に自分の周りの状況に変化を起こす心理療法
  • 認知行動療法:現実の受け取り方や物事の捉え方である「認知」に働きかけ、ストレスにうまく対処できる心の状態を作っていく心理療法

長期的な症状改善効果も認められている

複数の臨床研究を総合的に分析した結果によると、いずれの心理療法も、通常の治療や経過観察した場合と比べ、過敏性腸症候群の症状や生活の質の改善に効果があるとされています。これらの効果は、心理療法を開始してから数か月後に現れることがほとんどです。催眠療法に関しては、長期的な効果が検討されており、催眠療法によって症状が軽くなった患者さんの8割で、5年後もよい状態が続いていたと報告されています。

心の影響が大きい場合は効果が得られやすい

心理療法には、ここであげた以外にも、さまざまな治療法があります。しかし、実際に複数の臨床研究によって効果が照明されている治療法は限られています。効果があると証明されていない心理療法でも、患者さんによっては症状の軽減につながる可能性はあります。特に、ストレスや不安、抑うつなどが症状に強く影響している患者さんでは、心理療法による効果が得られやすいと考えられます。

心理療法を受けられる医療機関は、あまり多くありません。薬による治療で効果が出ず、不安に思う場合は、まずかかりつけの医師に相談してみましょう。

今すぐ読みたい