脱水症が起こるメカニズム

更新日:2017/04/10 公開日:2016/04/24

脱水症状の基礎知識

脱水症は、体内の水分や電解質が失われることが原因で起こります。激しい渇きやふらつきを覚え、進行すると意識障害に陥る可能性もあります。ドクター監修のもと、脱水症の原因とメカニズム、種類と予防について詳しく解説します。

脱水症はどのようにして身体に起こるのでしょうか。脱水症の原因や予防法などを見てみましょう。

体内の水分(体液)のバランスが崩れて脱水症状が起きる

人が生きていくためには、水分が不可欠です。体内の水分量は年齢によって変化し、歳を重ねるにつれてその量は減少しますが、成人では体重の60%を占めます。身体に含まれる水分を体液と呼びますが、体液の主な成分は水とナトリウム、カリウム、イオン、カルシウムなどの電解質、ブドウ糖、タンパク質、尿酸などの非電解質で構成されています。

体内の水分は、毎日およそ1500~2500mLを失っていて、運動などで汗を流すことがなくても、尿・便・汗・皮膚・粘膜などから自然と体外に排出しています。体内の水分を失ったとしても、失った分を水分補給や食事で補っていれば、体液はバランスを保ち脱水症になることはありません。しかし、激しい運動や体調不良が原因で大量の水分を失い、体液に含まれる水分量のバランスが崩れると脱水症がおこります。

体内の水分(体液)のバランスが崩れる要因

体内の水分量が不足する原因はさまざまですが、以下のようなときは、身体の水分が多量に失われる危険があります。

  • 気温の上昇や激しい運動で大量の汗をかく。
  • 嘔吐、下痢、発熱などにより消化液や水分が体外に排出される。
  • 体調不良で水分や食事があまり摂れない。
  • 糖尿病や尿崩症により多量に尿が出る。
  • 利尿剤を服用している。
  • 脳血管障害や認知症により、のどの渇きを感じにくい。

これらの要因により体内の水分バランスが崩れ、水分不足に気づかずに脱水症を起こすことがあります。

脱水症が体に及ぼす影響

脱水状態が進むと、身体の組織の水分が失われ乾燥し、細胞がしぼんで働かなくなります。その結果、のどの渇きや発汗量の減少、尿量の減少、皮膚や舌・口が乾燥するというような症状が現れます。さらに進行すると、起立性低血圧によるふらつきや失神を起こす場合もあり、腎臓・肝臓・脳などの器官にまで損傷が進むと、錯乱状態や昏睡状態に陥ります。

脱水症の分類と重症度

脱水症は、原因別に3つに分類されます。ひとつは水分摂取量が不足した場合や、発汗などで水分を多量に失うことで起こる「高張性脱水」です。2つ目は、下痢や嘔吐などにより体内の電解質を多量に失うことで起こる「低張性脱水」、3つ目は水分と電解質が同じ割合で失われることで起こる「等張性脱水」です。高張性脱水は激しい口渇感といった「渇き」の症状を訴えますが、低張性脱水の場合は口渇感や皮膚の乾燥などの症状が現れることが少ないため、脱水初期では自覚しにくいとされています。

重症度は失われた水分量が基準

脱水の症状は、身体から失われた水分量(水分喪失量)を基準に「軽度・中度・重度」の3つに分けられます。軽度は、3~5%の体重減少が見られるもので、一般的に点滴は行われません。中度は5~10%の体重減少で、状態によって点滴が施される場合もあります。10%以上の体重減少は重度とみなされ、ほとんどの場合において点滴・入院が必要になります。

脱水症を起こしやすい環境と予防の注意点

脱水症が起こる要因に環境の変化も考えられます。近年の地球温暖化やヒートアイランド現象は、大量の汗をかく要因となり、体内の水分を失いやすい環境といえます。特に都市部は、地面がコンクリートなどで覆われ、ビルが密集していることから熱を放散できず、郊外に比べて気温が高くなる、ヒートアイランド現象がおこり、夏の暑い季節は脱水症のリスクが高まります。

一方、屋内ではエアコンの普及により、1年を通して快適な環境を保てるようになりました。暑さを我慢せずにエアコンを使うことは脱水症の予防になりますが、エアコンの使用により高温多湿な夏の厳しい環境に適応しにくくなるのではないかと懸念する声もあります。

脱水症を予防するには

脱水症の予防は、こまめに水分を補給することが重要です。寝る前や起きた後、入浴や運動の前後は水分補給が必要なタイミングなので、意識して水分と摂取するようにしましょう。また、暑い夏の外出には特に注意が必要です。

また、高齢者はのどの渇きを自覚しにくいため、水分補給のタイミングが遅くなり脱水に陥るケースがあります。ぐったりして元気がないといったような変化がないか、周囲の人が気をつけてあげましょう。体重が軽い小さな子供の場合は、少しの汗や嘔吐でも脱水に陥ってしまうケースがあります。さらに注意するようにしてください。