ケロイドは薬で治せる?ケロイドの主な治療法

更新日:2018/02/06 公開日:2016/04/18

物理・化学的皮膚障害

皮膚が赤く盛り上がり、痛みやかゆみをともなうケロイド。自然によくなることはほとんどないといわれていますが、ケロイドに有効な薬はあるのでしょうか? ドクター監修のもと、ケロイドの主な治療法を解説します。

短くポイントをまとめると
ケロイドの治療には薬剤から手術まで、さまざまな方法がある
ケロイドは治りづらいため、薬剤だけでなくほかの治療法を組み合わせることが多い

治療薬のイメージ画像

やけどやすり傷、手術後などにできた傷がうまく治らず、赤く盛り上がったミミズ腫れのようになることがあります。このような傷跡は「肥厚性瘢痕」(ひこうせいはんこん)あるいは「ケロイド」と呼ばれます。ケロイドができると、皮膚の盛り上がりや赤みだけでなく、関節部分が動かしづらくなったり、痛みやかゆみなどの不快な症状もあらわれたりします。残念ながらケロイドは自然には治りにくいといわれており、病院で下記のような治療を行う必要があります。

  • ステロイド薬(注射、テープ剤)
  • 薬剤の内服
  • レーザー治療
  • シリコンジェルシート
  • 手術

傷跡を治すためにメスを入れるのに抵抗感がある人もいるかもしれません。ここでは、傷の範囲を越えて広がっていくケロイドについて、薬だけで治療が可能か、そうでなければ薬以外にどういう選択肢があるのかをわかりやすく解説します。

なお、ここでは赤い盛り上がりが傷の範囲にとどまる肥厚性瘢痕については取りあげません。『赤く盛り上がった傷跡を消すには?』をご覧ください。

ケロイドは薬物療法だけで治せる?

ケロイドの治療では、まずケロイドを刺激しないように汚れを取ったり、傷口を圧迫したり、薬物治療を行ったりします[1][2][3]。ケロイドの薬物療法には、主に以下のような方法があります。

ステロイド薬の投与

ケロイドは傷口が治る際の炎症が慢性的に長引いてしまうことでつくられてしまうと考えられています。炎症を抑える効果のあるステロイド薬は、ケロイドの治療にも有用とされています。ステロイド治療でよく行われているのは、ケロイドにステロイドを注射する方法です。炎症を抑えて、かゆみや痛みを軽くしてくれます。最終的に見た目を改善させる効果がどれくらいかははっきりしていませんが、見た目を改善するためには数カ月以上もかかります[4][5]。ケロイドの治療にステロイド薬を使用する場合は、重症度に応じて、ステロイド薬の種類や投与量、投与期間などを検討する必要があります。

ステロイド薬には軟膏などの塗り薬もありますが、皮膚に吸収される量が限られるため、皮膚に直接貼り付けるタイプ(ステロイドテープ剤)のほうがよく使われます。しかし、それでもステロイドの吸収効率はそれほど高いわけではないので、短期間でケロイドを改善することは困難です。

トラニラストの内服

トラニラストは、もともと気管支喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などの治療に使われていた薬です。アレルギー反応を引き起こすヒスタミンなどの化学物質は、肥満細胞から放出されますが、トラニラストはこれを抑制し、アレルギー反応を抑える働きをします。その後、トラニラストには線維芽細胞によるコラーゲンの産生を抑えることが確認され、ケロイドの治療にも使われるようになりました[2][4]。

これらの薬物療法に加えて、ケロイドを圧迫することでそれ以上大きくならないようにする治療法もあります。

シリコンジェルシート

傷跡に貼り付けることで、ケロイドの発生を予防できる可能性がありますが、科学的根拠は弱いといわれています。痛みやかゆみ、ケロイドの見た目を改善する可能性もありますが、これだけで治せるほどの効果はありません。

ケロイドにはこのような治療がありますが、実際には治療がなかなか効きにくいものです。薬物療法だけで治せない人もいます。

ケロイドを薬物療法だけで治せない場合は?

圧迫や薬物療法だけではうまくケロイドが縮小しない場合は、レーザーでケロイドの赤みを薄くして目立たないようにしたり、手術によってケロイドを取り去ったりする方法もあります。

色素レーザー治療

レーザーの照射によって微小な血管を破壊することで、赤みの軽減などの効果が期待できます。ただし、効果が得られないという報告もあるため、他の治療法との併用も検討する必要があります。なお、ケロイドに対するレーザー治療は健康保険がきかないので、費用が高くつきます。

手術

かゆみや痛みが強かったり、関節が動かしにくくなったり、見た目が気になったりする場合には、ケロイドを手術で切除することがあります。1回で切除しきれない場合は、複数回に分けて行います。手術後に放射線を照射してケロイドの再発を予防する治療を行うことが多いです。

まとめ

ケロイドの治療は簡単なものではありません。そのため、皮膚科や形成外科では、薬物療法、圧迫療法、レーザー、手術などのさまざまな治療法を組み合わせて行います。長く付き合う病気なので、医師に納得のいくまで説明をしてもらい、自分の生活環境や希望に合う治療の選択肢を選んでください。

参考文献

  1. 1. 小川令ほか, ケロイドおよび肥厚性瘢痕の予防と治療法. 日医大医会誌 2005; 1(3): 121-128.
  2. 2. DermNet NZ. “Keloid and hypertrophic scars” New Zealand Dermatological Society https://www.dermnetnz.org/topics/keloids-and-hypertrophic-scars/ (参照2017-10-16)
  3. 3. デニス・L・カスパーほか編. ハリソン内科学.第5版,福井次矢ほか監修. メディカル・サイエンス・インターナショナル. 2016; 348.
  4. 4. 宮地良樹ほか編.日本美容皮膚科学会監修. 美容皮膚科学. 改訂2版. 南山堂. 2009: 657-663.
  5. 5. Trisliana Perdanasari A, et al. Intralesional injection treatment of hypertrophic scars and keloids: a systematic review regarding outcomes. Burns Trauma. 2015; 3: 14.

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