妊娠中に行われる性感染症の検査の種類

更新日:2016/12/09 公開日:2016/05/23

妊娠中の検査・健診

性感染症になると、自分だけでなく赤ちゃんにもさまざまな影響を与えます。代表的な性感染症の種類や考えられる影響、妊娠中に行われる性感染症の検査や治療法について、ドクター監修のもと解説します。

性感染症は、セックスをはじめとする性行為などにより感染する病気です。Sexually Transmitted Diseaseの頭文字を取って「STD」とも呼ばれています。10種類以上が知られていますが、必ずしも自覚症状があるとは限らないのが実情です。

自覚症状が表れにくい代表的な性感染症について、妊娠中に行われる検査の時期や治療法を含め説明いたします。

クラミジアの検査

検査方法:妊娠中後期(30週頃)までに子宮頚管の粘膜を検査する

クラミジア・トラコマティスという細菌が引き起こす病気の総称を「クラミジア感染症」と言います。性行為で感染し、腟内で炎症を起こします。おりものが増える、不正出血などの症状がありますが、女性は男性よりも症状が現れにくく、感染しているのに気づかないケースもあります。

子宮の中にいる赤ちゃんに感染することはありませんが、出産で赤ちゃんが産道を通るときに「産道感染」する危険があります。クラミジアが赤ちゃんに感染すると、肺炎などの原因となり、最悪の場合死亡してしまうこともあります。

検査は、子宮頚管の粘膜を綿棒で採取して行います。検査を受けて陽性だった場合、抗生物質による治療をきちんと行えば、赤ちゃんに感染する危険はほとんどありません。妊娠30週頃までに必ず検査を受け、必要に応じて治療を行いましょう。

梅毒の検査

検査方法:妊娠初期(4~12週)に血液検査を行う

トレポネーマ・パリドムという、らせん状の形をした細菌が原因となる性病で、ほとんどは性行為で感染します。お母さんが梅毒になると、子宮の中にいる赤ちゃんに「胎内感染」し、流産や死産のリスクが高くなります。先天的に梅毒に感染して生まれることもあり、赤ちゃんの命を守るために、早期発見と治療が重要です。

梅毒検査は母子保健法で義務づけられているため、産婦人科に通っていれば妊娠初期に必ず検査が行われます。

検査で陽性だった場合、抗生物質であるペニシリンの内服薬での治療が一般的です。ペニシリンが胎盤を通して赤ちゃんにも届くので、お母さんだけでなく赤ちゃんの治療にもつながります。

HIV・エイズの検査

検査方法:妊娠初期(4~12週)に血液検査を行う

エイズを引き起こすHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の抗体の有無を調べる検査です。エイズは、免疫細胞を破壊されることで免疫機能が低下し、さまざまな合併症を引き起こす病気です。

HIVの感染経路はほとんどが性行為によるものですが、お母さんに感染が確認された場合、赤ちゃんに母子感染する可能性があります。

HIVの感染が確認される妊婦は、日本の場合1万人に1人の割合で、全国で毎年30名前後。このうち、日本国籍の人は15名前後と少数です。たとえ一次検査で陽性と診断されたとしても、95%は偽陽性(陰性)なので、精度の高い二次検査を受け、感染の有無をきちんと確認しましょう。

HTLV-I検査

検査方法:妊娠中後期(30週頃)までに血液検査を行う

HTLV-Iは、血液のがんの一種である成人T細胞白血病の原因となるウイルスで、性行為のほか、輸血や母子感染が感染ルートとなります。輸血に関しては、検査がきちんと行われているためほぼ可能性はゼロですが、母子感染は全体の60%と大きな割合を占めています。母子感染では、母乳を通して感染します。

妊娠中のHTLV-I検査は、血液を採取してHTLV-I抗体の有無を調べます。一次検査で陽性となっても、偽陽性(陰性)が含まれているため、一次検査とは違う方法で二次検査を行います。

この検査で陽性が確認できても、成人T細胞白血病を発病するのはごくわずかです。赤ちゃんに対しても、母乳をミルクに変えることで感染を防ぐことができます。このように、直近では大きな問題はないと思われるHTLV-I感染ですが、陽性の場合は念のため専門の医療機関を受診した方がよいでしょう。

B型肝炎検査

検査方法:妊娠初期(4~12週)に血液検査を行う

B型肝炎ウイルス(HBV)の感染により、肝臓の炎症が起きるのがB型肝炎です。B型肝炎ウイルスに感染すると、そのうちの10~15%程度の割合で将来B型肝炎を発症する可能性があります。妊娠中の検査では、血液検査でHBs抗原というタンパク質の有無を調べます。

B型肝炎が陽性となった場合の原因として、多くはお産の際の母子感染ですが、最近では性行為による感染も増えています。

妊娠中の検査でお母さんが陽性だった場合、母子感染予防として生まれた赤ちゃんに専用の抗体の注射をします。

C型肝炎検査

検査方法:妊娠初期(4~12週)に血液検査を行う

C型肝炎ウイルス(HCV)の感染により、肝臓の炎症が起きるのがC型肝炎です。ウイルスに感染しても約30%の人はウイルスが体に残らず治りますが、残りの約70%の人は体内にウイルスを持ったままの状態になります。

お母さんがウイルスに感染していた場合、約10~20%の確率で、出産の際赤ちゃんに感染してしまう可能性があります。出産時のC型肝炎ウイルスの量が多い場合、帝王切開の方が母子感染の確率が低いため、帝王切開が検討されることもあります。

妊娠中の検査は、それぞれに重要な意味があります。お腹の赤ちゃんのためにも、お母さん自身のためにも、受けるべき検査はきちんと受けるようにしましょう。

今すぐ読みたい