便失禁の治療(4)仙骨神経刺激療法

更新日:2016/12/09 公開日:2016/05/22

便失禁の検査・治療法

便失禁の治療として有効的な「仙骨神経刺激療法」について、ドクター監修の記事で解説します。仙骨刺激療法とは、どのような治療法なのか。治療の流れや効果、術後の注意点などを含めてお伝えします。

便失禁の治療として行われる仙骨神経刺激療法をご紹介します。

仙骨神経刺激療法とは

仙骨神経刺激法(SNM)とは、排便に関連する神経に刺激を与える外科治療です。排便にかかわるおしりのふくらみ部分に小型の装置を挿入します。その装置を使って継続的に電気刺激を与えることで、肛門括約筋の収縮を促して便失禁を改善するという治療法です。欧米では、便失禁に有効な治療として20年ほど前から仙骨神経刺激療法がとり入れられています。日本においては、2014年から保険診療が認められるようになりました。仙骨神経刺激療法は、保存的療法や薬物治療を行っても十分な効果が見られなかった患者に限って行われているのが一般的です。

仙骨神経刺激療法の特徴は、リモコン装置のようなもので体調や状況により自分で設定を調節できることです。これにより本人が主体的に治療に取り組むため、質の高い効果を生み出しているのではないかとの考えもあります。

仙骨神経刺激療法の流れ

刺激装置をおしりに埋め込む前に、神経へ刺激を送るための細い線(リード)だけを2週間ほど入れて過ごします。これにより試験的に刺激を送り、実際に効果が見られるか確かめます。試験刺激で効果が確認できたら、刺激装置を埋め込む手術を行い、すでに挿入してあるリードと接続します。試験刺激で効果が得られなかった場合には、仙骨神経刺激療法は中止とします。刺激装置を埋め込んだ後は、便失禁の症状などに合わせて刺激法や電気刺激出力の設定を自分で調節することができます。装置はおしりのふくらみに入っているので、見た目ではほとんどわかりません。

仙骨神経刺激療法の効果

日本で行われた仙骨神経刺激療法の臨床試験では、便失禁の回数が半分以上減った人が8割以上もいました。そのうち2割の人は、便失禁がなくなったと報告されています。また、予期しない合併症も発生していません。これまで便失禁の治療を行っても十分な効果が得られなかった人は、仙骨神経刺激療法に適応する可能性があるか試してみるとよいかもしれません。

仙骨神経刺激療法での注意点

手術を受けて退院した後は、3~6か月の間に1度、通院して経過を診てもらう必要があります。また、刺激装置は電池で作動するため、3~5年で本体を交換しなければなりません。その際には再び入院をして手術を受けます。

体内に挿入している装置は、携帯電話をはじめとした一般的な家電製品に影響を受ける心配はないと考えてよいでしょう。ただし、強い磁気を発している家電製品には、注意が必要な場合があります。また、気圧の変化を受けるスカイダイビングやスキューバダイビングのようなスポーツは、控える必要があります。

便失禁の症状が改善すれば、日常生活だけでなく、気持ちも楽に過ごすことができるでしょう。保存的治療で効果のない場合は、医療機関に相談してみましょう。

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