代謝拮抗薬とはどんな抗がん剤?

更新日:2016/12/09

抗がん剤の種類

代謝拮抗薬(たいしゃきっこうやく)は、DNAを合成する際の成分とせめぎ合い、必要な成分の代わりに結合することによって、細胞分裂を阻害する抗がん剤です。種類や特徴、どういった副作用があるのか、ドクター監修の記事で解説していきます。

抗がん剤(殺細胞性抗悪性腫瘍薬)のひとつに数えられる、代謝拮抗薬(たいしゃきっこうやく)の特徴や副作用を解説します。

代謝拮抗薬の特徴とは

代謝拮抗薬とは、殺細胞性抗悪性腫瘍薬(さつさいぼうせいこうあくせいしゅようやく)の一種で、DNAの合成に必要な成分とよく似ています。がん細胞にかぎらず、細胞が新しくなるためには核酸が必要です。代謝拮抗薬は、核酸の代謝経路に組み込まれることにより、がん細胞のDNAまたはRNAの合成を阻害する抗がん剤のことです。

抗がん剤として研究がはじまったのは、1948年にアメリカで、アミノプテリン(葉酸によく似た成分)が小児白血病患者に投与され、症状の進行の緩和が認められたことがきっかけです。この研究によって、現在でも使用されているメトトレキサートが誕生しました。以降も開発が進み、これまで抗がん剤治療が難しいといわれていたがんに対しても有効とされている代謝拮抗薬が誕生しています。

代謝拮抗薬のがん細胞への作用

細胞分裂では、DNAを合成する際、葉酸や核酸などの成分が必要となります。代謝拮抗薬とは、このような成分に類似したものを投与することで、がん細胞のあるDNAに取り込ませ、細胞分裂を阻害するというものです。これにより、DNAは合成ができなくなるため、がん細胞は死滅してしまいます。また、代謝拮抗薬の一部は、DNA合成成分の代わりに結合するだけでなく、DNAの合成時に関係する酵素にも作用することから、さらなる相乗効果を期待できます。代謝拮抗薬といわれる理由は、本来必要な成分と拮抗する、つまり「張り合う」というところからきています。

代謝拮抗薬が使われるがんの種類とは

代謝拮抗薬は、急性白血病、乳がん、消化器がん(胃がん、大腸がん、膵臓がん、他)など広く使用されている薬です。

代謝拮抗薬の投薬方法

代謝拮抗薬の投与については、細胞分裂時に限って大きく効果が期待できることから、長時間体内に入れておくことがよいとされ、点滴、経口投与や髄注(脊髄腔内)などの投与方法が行われます。

皮膚がんなどに対して軟膏が使われることもありましたが、現在では抗がん性軟膏の効果や安全性にはっきりとした科学的根拠が認められておらず、使用が推奨されません。

主な代謝拮抗薬と副作用

代謝拮抗薬の主な種類と副作用を確認しましょう。

代謝拮抗薬の種類

主な代謝拮抗薬は以下のとおりです。

  • 5-FU系薬剤…固形癌の術前・術後の再発抑制や再発・転移例などで広く使用されている。
  • ゲムシタビン…膵臓がん、乳がん、肺がんなどの再発防止や再発時にも使用される。
  • メトトレキサート…古典的な抗がん剤の葉酸拮抗薬である。

代謝拮抗薬の副作用

代謝拮抗薬は、細胞分裂時のみと作用が限定的なことから比較的副作用が少ないとされる薬です。しかしながら、表層の組織への刺激があります。また、消化管の粘膜に強い炎症を引き起こすことがあり、それに伴う重篤な口内炎・下痢症状などに注意が必要です。

代謝拮抗薬はDNAの合成に必要な成分の代わりとなって結合し、細胞分裂を阻害する薬です。細胞の成長への作用が限定的なことから、他の殺細胞性抗悪性腫瘍薬と比較して副作用は大きくないとされています。