全身性エリテマトーデスの病気の経過と生存率

更新日:2017/05/11 公開日:2016/06/25

全身性エリテマトーデスのよくある疑問

全身性エリテマトーデス(SLE)は人によってさまざまな症状が現れるため、経過の予測がしにくい病気です。しかし、近年の早期診断・早期治療により生存率は高まっています。ドクター監修のもと、SLEの病気の経過や治療法、生存率について解説します。

全身性エリテマトーデスはどのような経過をたどるのでしょうか。ここでは全身性エリテマトーデスの病気の経過について解説していきます。

全身性エリテマトーデスの治療法・経過と生存率

全身性エリテマトーデス(SLE)は、病気の重症度によって治療法や経過が大きく異なります。

たとえば、皮膚炎や関節炎のみの軽症の場合、多くは薬による治療によって健康な人と同じような生活を送ることができます。しかし、腎臓や心臓、あるいは肺や中枢神経などに問題がおよんでいる場合は治療薬も異なり、治療期間も長期に渡るなど経過は一概に言えません。

全身性エリテマトーデスを含む膠原病は、異常なリンパ球や抗体が本来は自分の身体である細胞を攻撃してしまう免疫異常が原因の「自己免疫疾患」です。そのため、正常に機能していない免疫系の異常を止めることを目標に治療計画が立てられます。

また、近年では全身性エリテマトーデス(SLE:systemic lupus erythematosus)の早期診断が可能になったり、早期に効果的な治療を行えるようになったことで、初期段階でうまくコントロールできれば予後は良好といわれています。そのため、現在では、発症後5年以上の生存率は95%以上にまで上昇しています。

全身性エリテマトーデスの主な症状

全身性エリテマトーデスは、さまざまな症状を発症します。皮膚症状で代表的なのが、顔に現れる蝶のような紅斑です。また、体にあるさまざまな関節の炎症や、腎臓の症状としてタンパク尿が続くことがあげられます。

また、血液検査で溶解性貧血と診断されるとともに白血球の値が4000/ul以下、リンパ球の値が1500/ul以下、血小板の値が100000/ul以下だと全身性エリテマトーデスを疑います。

全身性エリテマトーデスの治療法

全身性エリテマトーデスを含む膠原病は、以前は原因不明の難病というイメージを強く持たれる病気でした。しかし、研究が進むにつれてさまざまな免疫抑制剤が開発され、自己免疫異常を正常化することが可能となってきています。

SLEの治療の中心は薬物療法で、免疫の働きを抑制して全身の炎症を抑えるための薬を使用します。具体的には、副腎皮質ステロイド剤や免疫抑制剤などが用いられます。

服用量はそれぞれの症状の重症度に応じて決めるのが原則です。初回のステロイド剤の服用量を決めたら2週間~1か月ほど継続して服用し、その後、状況に応じてステロイド剤の減量を行ったり、免疫抑制剤を併用したりします。

治療法についての詳細は、『全身性エリテマトーデスの治療法にはどんなものがある?』 をご覧ください。

生命予後に大きな影響を与える感染症

ステロイド剤や免疫抑制剤を使った治療の効果によって、SLEの生存率は高まっています。一方で、SLEの死因としてもっとも多いのが「感染症」です。

SLEで感染症が起きやすいのはステロイド剤や免疫抑制剤などが免疫の働きを抑制するため、通常であれば問題ない弱い細菌やウイルスに対する抵抗力を低下させてしまうことが理由です。

そのため、治療中は感染症を発症しないように十分に注意していく必要があります。結核、カリニ肺炎などは予防する薬があります。また、肺炎球菌感染やインフルエンザにはワクチンの投与が有効です。

全身性エリテマトーデスの治療と医療費助成

全身性エリテマトーデスは平成27年1月より難病医療費助成制度の助成対象となっており、指定医療機関が行う治療に限り、治療費の助成を受けることができます。全身性エリテマトーデスと診断されたら、担当の医師に相談するとよいでしょう。