顎変形症のひとつである「両顎前突」とは

更新日:2016/12/09 公開日:2016/06/28

顎変形症の種類

上下の前歯が前に突き出し、鳥のくちばしのように見える「両顎前突」。顎変形症の一つで、日本人に多くみられる症状です。両顎前突の特徴や治療のメリット、治療方法などを、ドクター監修の記事で詳しくお伝えします。

上下のあごの歯が突出した「両顎前突」は、口が閉じにくかったり、横顔にコンプレックスを抱いたりする方が多く見られます。日本人に多く見られるこの症状は、見た目や機能面にどのように影響するのでしょうか。

両顎前突とは

両顎前突とは、上下の前歯が平均値より前方に突き出した状態のことで、「上下顎前突」とも呼ばれます。奥歯の噛み合わせは正常で、一見、歯並びもきれいに見えるケースが多いことが特徴です。

歯は、歯槽骨という土台に支えられていますが、両顎前突は、この歯槽骨の変形と考えられています。あごの骨に対して歯が大きいため、きれいに収まりきらず、前歯が前に傾いてしまうことも一因と考えられています。日本人には非常に多くみられる症状で、笑った時に歯茎が見えすぎるなどの問題があります。

両顎前突の特徴

両顎前突は、前歯の傾きが強く、上下の前歯が作る角度が鋭角になるのが特徴です。そのため、口元だけが前に突き出て見え、出っ歯に似た見た目になります。

両顎前突には、2種類あります。一つは、口元だけが突出し、あご(特に下あご)の位置は正常、もしくは引っ込んでいるケースです。横から見ると鳥のくちばしのように見え、バードフェイスといわれることがあります。前歯が斜めに突き出ているため、唇は閉じにくく、無理に唇を閉じると下あごにシワができます。

もう一つは、上下の歯の前突と下顎骨の前突を併発したケースです。口元とともに下あご全体が前に突き出しているため、強い三日月顔になるのが特徴です。

どちらのケースも、口元が突き出ているため鼻は低く見え、唇の赤唇部と呼ばれる部分は厚く見えます。

口唇の閉鎖機能が低下していることが多いようです。

両顎前突の治療の目的

突き出た口元が改善されると、審美面、機能面の両面でメリットがあります。

審美的な面では、前歯が引っ込むことによって、鼻が高く見えるようになります。エステティック・ライン(鼻の先端とあごの先端を結ぶ線)の外側に飛び出ていた口元が、線上に近づいたり、内側に収まったりするため、容貌が改善します。

機能的な面では、唇が閉じやすくなるため、ドライマウスが改善し、口臭予防や歯周病予防にもつながります。

両顎前突の治療法

両顎前突の治療には、矯正歯科的な治療と手術療法があります。

歯列矯正での治療は、歯だけが前突しているなど、軽度な場合に有効です。一般的な矯正治療では、上下左右とも歯の真ん中から数えて4番の歯を抜き、矯正装置をつけて徐々に前歯を後方に移動させていきます。個人差はありますが、治療期間は約2年間。抜歯部分のすき間が閉じると、きれいな歯並びや噛み合わせが手に入ります。最近では、インプラント矯正という新技術の登場で、短期間でより歯を大きく動かせるようになっています。

歯の前突度合いが強い場合や、あごの骨自体が飛び出しているケースでは、手術療法(外科的矯正)が適応となります。上下左右4番の歯と、その部分の骨を切り取り、前歯部分を後ろに下げる療法です(上・下顎前歯部歯槽骨切り術。分節骨切り術ともいう)。ただし、下顎骨の前突を併発しているケースでは、この術式では不十分で、下あごをより後退させる処置が必要です。なお、手術後に矯正治療を必要とするケースもあります。

詳しくは『顎変形症の治療法』をご覧ください。

口元の出っぱりがなくなると、見た目が劇的に変化します。口が閉じにくいなどの症状がある人は、両顎前突かもしれませんので、一度診察を受けてみましょう。