卵巣腫瘍のひとつ、境界悪性卵巣腫瘍とは

更新日:2016/12/09 公開日:2016/06/23

卵巣腫瘍の基礎知識

卵巣腫瘍の中には、良性とも悪性とも言い切れない、中間的なタイプである「境界悪性」と呼ばれる卵巣腫瘍があります。この聞き慣れない病気には、一体どんな特徴があるのでしょうか。ドクター監修の記事で解説します。

境界悪性卵巣腫瘍は、「明らかな卵巣がん」と言い切れるほどの悪性はないものの、卵巣がある限り、幅広い年代の女性に発症しますので、注意しなくてはならない病気です。

境界悪性卵巣腫瘍とは

境界悪性卵巣腫瘍は、臨床的・組織学的には、明らかな良性腫瘍と明らかな悪性腫瘍の中間的な性格を持つ病変のことを指します。今後、がんへと変化する病変というより、「悪性度の低い腫瘍」としてとらえられています。好発年齢は20~60歳代と、幅広い年代で発病します。

境界悪性卵巣腫瘍は、治療が必要です。

境界悪性卵巣腫瘍の種類

境界悪性卵巣腫瘍には、次のような種類があります。

漿液性(しょうえきせい)境界悪性腫瘍と、粘液性(ねんえきせい)境界悪性腫瘍

「表層上皮・間質性腫瘍」のカテゴリーに入り、境界悪性卵巣腫瘍の中で、もっとも多く見られます。表層上皮とは、卵巣の表面を覆う部分です。間質は、卵巣内の結合組織のことです。これらの部位にできる腫瘍のうち、「漿液性境界悪性腫瘍」ではのう胞の内容物として黄色い透明な液体がたまり、「粘液性境界悪性腫瘍」では内部に粘り気のある液がたまります。

顆粒膜(かりゅうまく)細胞腫

漿液性腫瘍と粘液性腫瘍に次いで多く見られます。

卵巣の中で女性ホルモンを作る細胞である性索間質(せいさくかんしつ)という部位にできる腫瘍です。顆粒膜細胞腫では不正性器出血、閉経後の再女性化や思春期以前の性早熟症状などがあります。

境界悪性卵巣腫瘍の症状

無症状のことも少なくないですが、腹部の鈍痛や膨満感などの症状を訴える場合もあります。

境界悪性卵巣腫瘍の予後

病気の進行は遅く、5年で90%を超えるほど、生存率は高いです。

しかし、粘液性腫瘍が破裂すると、5年生存率は45~50%と低下します。これは、粘液性腫瘍が破裂したことで、「腹膜偽粘液腫」というゼラチン状の粘液物質が骨盤や腹腔にたまって腸閉塞症状を繰り返し、全身の栄養障害となってしまうことが原因といわれています。

無症状でも、検診などで「卵巣の腫れ」に気づいたら、その腫れが良性なのか悪性なのか、あるいは境界悪性なのか、どういった治療が行われるのかを、医師とよく相談してください。特に、これから妊娠・出産を望む人は、慎重に治療の内容や時期を決めていきましょう。