メニエール病の原因はストレス?症状や治療方法

更新日:2017/11/21 公開日:2016/06/26

メニエール病の基礎知識

めまいや聴覚障害が起きるメニエール病は、なにが原因で、そしてどのように発症するのでしょうか。メニエール病の代表的な症状であるめまいや聴覚障害の原因や表れ方、治療についてドクター監修の記事で解説します。

板東浩先生

この記事の監修ドクター

医師
板東浩先生

目の周りのものが動くように感じるめまいや、聴覚障害がくりかえし起こるメニエール病。このつらい症状の原因はいったい何なのでしょうか。メニエール病になったときに身体に現れる特徴や症状、原因について見てみましょう。

メニエール病のメカニズム

耳の構造は外側から外耳、中耳、内耳となっており、メニエール病の症状そのものは内耳の異常によって起こります。内耳にある「蝸牛(かぎゅう)」という聴覚に関わる器官や、「前庭(ぜんてい)」、「三半規管」などの平衡感覚をつかさどる器官が症状の発生に関係します[1][2][3][4][5]。

症状は、本来一定に保たれるはずの内リンパ液の量が過剰になり、蝸牛や前庭が腫れあがる「内リンパ水腫」が生じることによって起こります。内リンパ水腫によって蝸牛や前庭、三半規管の機能に変調が生じ、耳鳴りや難聴、耳閉感などの聴覚障害とともに、めまいが生じるのです。

メニエール病の原因

内リンパ液が過剰となって内リンパ水腫が起こる原因は、内リンパ液の生成と吸収のバランスの崩れとされていますが、はっきりとしたことはわかっていません。推測されている理由には諸説ありますが、アレルギー反応などによって、内リンパ液が過剰に生成されることや、内リンパ液の流れが滞ること、免疫異常によって内リンパ嚢(のう)での吸収が妨げられることがあげられます。このほかには、内耳の循環障害やウイルス感染のほか、遺伝性難聴ではメニエール病の発症もみられることから、遺伝子異常という説もあります[6][7]。

メニエール病はストレスが原因?

メニエール病の原因となる内リンパ水腫ができる理由は明らかになっていませんが、「メニエール病はストレスによる病気」というイメージが定着しています。ストレス関係説の内容は、ストレスや疲労、睡眠不足によって、ホルモンのバランスが崩れて、自律神経障害が起きるとするものです[2][8]。

また、ストレスホルモンの影響とする説も有力視されています。ストレスホルモンの一つである抗利尿ホルモンの分泌量が、ストレスや脱水によって増えることで、内リンパの過剰な生成を促すという見方です[9]。

メニエール病の原因に関する2つの説

内リンパ水腫によって難聴や耳鳴り、めまいが起こる原因としては、「内リンパ圧亢進(こうしん)説」と「リンパ水腫破裂説」が唱えられています。

「内リンパ圧亢進説」は、蝸牛で内リンパ水腫が起こることで、ライスネル膜という内リンパと外リンパを仕切る膜が伸びて圧力がかかり、内耳の機能に変調を及ぼすというものです。一方「リンパ水腫破裂説」は、圧力によってライスネル膜が破れ、カリウムイオンの濃度が高い内リンパが流れ出し、蝸牛神経などに影響を及ぼすという説です。

メニエール病の症状

メニエール病の症状には、難聴のほか、耳の閉塞感や「ブーブー」や「ゴーゴー」といった音の耳鳴り、めまいが起こります。症状は毎日起こる場合から、1年に1回程度だけ起こる場合までさまざまあります。

吐き気や嘔吐を催すこともあります。初期の難聴は、軽度であればめまいとともに軽快していきますが、長期化するにつれて悪化し、持続的な症状へと変わっていきます。こうした聴覚症状をともなうめまいが起きるのが、典型的なメニエール病の症状です。

聴覚症状のみの「蝸牛型メニエール病」

メニエール病の中でも、聴覚症状のみが現れるものがあり、「蝸牛型メニエール病」と呼びます。めまいは生じず、耳鳴りや耳の閉塞化、難聴といった聴覚症状が起こります。内リンパ水腫が内耳全体に起こるのではなく、蝸牛で内リンパ液が過剰になって、内リンパ水腫が生じることで起こるものです。

蝸牛型メニエール病の多くは、聴覚症状だけではなくめまいも起こるようになり、典型的なメニエール病へ移行します。蝸牛型メニエール病では、典型例への移行の可能性を含めて、経過観察を行っていくことが必要です[1]。

蝸牛型メニエール病については『メニエール病の非典型例「蝸牛型メニエール病」とは?』で詳しく解説しています。

めまいのみの「前庭型メニエール病」

一方、めまいが主な症状のものは「前庭型メニエール病」と呼び、難聴や耳鳴り、耳の閉塞感などの聴覚症状は起こらないとされています。もともと、片側あるいは両側の耳に難聴を併発しているケースもありますが、症状は固定しているため、めまいの発作とは連動しないことが、典型例での聴覚症状との違いとなります。

蝸牛型メニエール病と違い、前庭型メニエール病から典型的なメニエール病への移行は多くありません[1]。

前庭型メニエール病については『メニエール病の非典型例「前庭型メニエール病」とは?』で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

メニエール病に似た症状の病気

良性発作性頭位めまい症のほか、低音障害型感音難聴、起立性低血圧、前庭神経炎や聴神経腫瘍などの中枢性の病気があげられます。

メニエール病でもめまい発作に嘔吐がともなうケースがありますが、吐き気止めの使用後も嘔吐が続く場合には、脳の病気が疑われます。

メニエール病かどうかの診断は素人には難しいので、自己判断をせずにドクターに相談しましょう。

メニエール病の治療方法

身体への負担の少ない治療から初めて、薬剤治療のような治療に移行していきます。すべての治療がうまくいかない場合には、症状を取る目的で手術の選択肢もあります。

生活習慣の改善

メニエール病はストレスが原因とも考えられている病気です。ストレスの原因を突き止めて生活習慣を改善していくことも大切です。規則正しい生活を送り、ウォーキングや軽いジョギングなどの軽い運動をするといった生活指導が行われます。食生活では、塩分過多とならないように配慮し、栄養バランスのとれた食事をとるようにするとよいでしょう[2]。

薬物療法

内リンパ水腫の改善に効果がある「イソバイド」という利尿剤の服用が中心です。抗不安薬や循環改善薬、ビタミン剤なども処方されることがあります。めまいの発作が強く、嘔吐をともなうときには、抗めまい薬が点滴で投与されます[2]。

手術

薬物治療や生活習慣の指導によって、多くの人にはメニエール病の症状の改善がされます。しかし、症状がコントロールできず、めまいが日常生活に支障をきたす場合には手術も選択肢となります。内リンパ嚢(のう)を切開することで、内耳の圧力の減圧を図る「内リンパ嚢開放術」、平衡感覚をつかさどる前庭神経を切断する「選択的前庭機能破壊法」があります。ただし、どちらもメニエール病そのものを治療するための手術ではありません。聴覚症状の改善への効果は期待できず、めまいの抑制が目的となります[1][2][3][4]。

メニエール病の症状に心あたりがあれば耳鼻科へ

繰り返すめまいや聴覚障害の発作が特徴となるメニエール病。心あたりのある方は、一度耳鼻科を受診し検査を受けてみましょう。

参考文献

  1. [1]渡辺行雄. メニエール病診療最近の動向. 日耳鼻. 2012; 115(9):866-869
  2. [2]高橋正紘. 薬も手術もいらない めまい・メニエール病治療. 角川新書. 2012
  3. [3]MedlinePlus. "Meniere's Disease" NIH. https://medlineplus.gov/menieresdisease.html (参照2017-11-18)
  4. [4]MedlinePlus. "Ménière disease" NIH. https://medlineplus.gov/ency/article/000702.htm (参照2017-11-18)
  5. [5]デニス・L・カスパーほか編. ハリソン内科学 第5版. メディカル・サイエンス・インターナショナル. 2016; 155,224
  6. [6]土井勝美. メニエール病の発症機序―遺伝的素因―. Equilibrium Res 2008;67(3):222-227
  7. [7]土井勝美. "末梢性めまいの病態生理" 興和. http://www.memai-pro.com/ear/pathophysiology.htm (参照2017-11-18)
  8. [8]神崎仁 et al. 聴覚に関わる社会医学的諸問題「ストレスと感音難聴に関する考察―特に突発性難聴との関係について―」. Audiology Japan 2013; 56: 137-152
  9. [9]渡辺行雄. シンポジウム「内リンパ水腫と水代謝―基礎から臨床まで―」―司会のことば―. Equilibrium Res 2013; 72(4): 257-258.
  10. [10]五島史行 et al. メニエール病の診断基準. Equilibrium Res 2015;74(4):299-301

今すぐ読みたい