大豆イソフラボンの効果や一日の摂取量、過剰摂取のリスク

更新日:2016/12/16 公開日:2016/06/22

肌荒れと女性ホルモン

大豆や大豆製品を食べることで大豆イソフラボンが摂取でき、女性特有の病気に加え、前立腺がんなどの発症リスクも低下させるという報告があります。大豆イソフラボンについて、栄養療法専門のドクターによる監修記事で解説します。

植物の多くに含まれ、強力な抗酸化作用を持つ「ポリフェノール」。その1つである「大豆イソフラボン」は、女性ホルモンをサポートする働きがあることが知られています。最近では、大豆イソフラボンが腸内細菌の力で作られる「エクオール」という成分も、注目の的。「畑の肉」とも言われる大豆のパワーを紹介しましょう。

「大豆イソフラボン」とは?

納豆、豆腐、味噌などの大豆食品には、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とよく似た構造と働きを持つ「大豆イソフラボン」が含まれています。

大豆イソフラボンは、大豆の胚軸(生長すると芽になるところ)部分に多く含まれるポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用があります。抗酸化作用とは、老化の原因である活性酸素などの有害物質をとらえ、無害な物質に変える働きのことです。

アジア型の食生活は大豆をよく食べます。そのことが、アジア人女性にホルモン関連のがん発生率が低い理由の1つになっているのかもしれません。

エクオールが自分で作れるのは2人に1人

最近の研究で、腸内細菌の代謝により、大豆イソフラボンから女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをする「エクオール」という成分ができることがわかってきました。

「エクオール」ができれば、大豆イソフラボンがもたらす抗酸化作用も、さらに効果を発揮するといわれています。しかし、大豆イソフラボンからエクオールを作ることができるのは、欧米では3人に1人、日本人では2人に1人程度とされています。つまり、同じように大豆イソフラボンを摂っても、体内でエクオールが作れる人と作れない人がいるわけです。

大豆イソフラボンには2種類ある

大豆や大豆食品中に含まれる大豆イソフラボンには、2つのタイプがあります。

1つは、糖と結合した「グリコシド型(配糖体)」で、もう1つは、糖部分が分離した「アグリコン型」です。

この2つの違いは、吸収効率です。摂取した大豆イソフラボン配糖体は、腸内細菌の作用などにより、「大豆イソフラボンアグリコン」となり、腸管から吸収されます。

アグリコン型はそのままではエストロゲン受容体に結合しませんが、体内で「大豆イソフラボンアグリコン」に変化してエストロゲン受容体に結合し、エストロゲンと似た作用を発揮できます。

グリコシド型も腸内細菌の作用でアグリコン型になってから吸収されますが、初めからアグリコン型になっている方が、より早く吸収されます。つまり、アグリコン型を摂取する方が効率的なのです。

アグリコン型イソフラボンは、味噌や醤油、納豆などの、日本古来の伝統的な大豆の発酵食品に多く含まれています。他の大豆食品は、基本的にグリコシド型として存在しています。

大豆イソフラボンの可能性

大豆に含まれるイソフラボン類は、さまざまな体の不調に働きかける可能性があると注目されています。

ホルモン関連の病気発症リスクの低下

大豆に含まれている2つのイソフラボン類(ゲニステインとダイゼイン)は、乳がん、前立腺がん、子宮内膜症などホルモン関連の病気の発症リスクを低下させるという国立がん研究センターの報告があります。

子宮内膜がんの発症リスクの低下

がん細胞は、自らに効率よく栄養を供給するために新しく血管を作ります。これを「血管新生」といいます。大豆に含まれるイソフラボンの一種である「ゲニステイン」は、血管新生を命令する「チロシンキナーゼ」という酵素の作用を阻害することにより、がん細胞の増殖を抑える可能性があると考えられています。2003年のJournal of the National Cancer Instituteによると、大豆や植物性エストロゲンのもっとも豊富な食物を摂取した女性は、子宮内膜がんの発症が54%少なかったという報告もあります。

LDLコレステロール値の低下と酸化阻害

LDLコレステロールは、酸化すると血管の内壁にこびりつき、血液の通り道を狭めてしまうことがわかっています。いくつか臨床試験やメタ分析の研究により、LDLコレステロール値の低下をさせるとされており、動脈硬化の予防と、LDLコレステロールの酸化阻害が期待されています。

骨粗しょう症予防

1998年、ポッターらが行った「大豆たん白質の摂取と更年期後の女性の腰椎の骨密度」という閉経後の女性に関する研究によると、1日40gの大豆タンパク質を摂取することで、顕著な脊椎骨密度の増加が示されました。しかし、骨密度や圧迫骨折リスクに及ぼす大豆や大豆イソフラボンサプリメントの効果を長期に渡って調査した、質の高い研究はまだありません。

月経前症候群や更年期症状の軽減

1995年にA.L.Murkiesらが大豆と小麦を使って行った実験によると、毎日の食生活に45gの大豆粉末を加えた女性は、ほてりが40%減少したという報告があります。

また、大豆イソフラボンが頭痛、乳房痛、腫れ、けいれんを和らげることも報告されています。

大豆イソフラボンの化学構造がエストロゲンとよく似ているため、不足したエストロゲンに代わってその受容体と反応して補足的に働くため、更年期が楽になると考えられているのです。

食べ過ぎには注意が必要

イソフラボンにはエストロゲンに似た作用だけでなく「抗エストロゲン様作用」もあります。エストロゲンが不足しているときにはエストロゲンを助ける働きをし、逆に、エストロゲンが過剰なときは、エストロゲンを抑える作用をする可能性があります。

大豆イソフラボンは、エストロゲンのホルモンバランスを整えることが期待されますが、過剰摂取は避けましょう。特に、胎児、乳幼児、小児、妊婦、エストロゲンや甲状腺ホルモンを服用している人は、サプリメントからの摂取はせずに、食事からの摂取にしましょう。

最後に

症状が回復しない場合は、大豆イソフラボンだけに依存せず、早めに医師に相談するとよいでしょう。

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