痰(たん)が出る原因と色別の症状、簡単に取り出す方法

更新日:2017/02/28 公開日:2016/07/26

喉にまつわるさまざまな症状

痰(たん)がよく出るのはなぜ?痰が出る原因で考えられることは?病気の可能性はない?痰がからんだら、咳をしてしっかり出した方がいい?痰に関するさまざまな疑問について、ドクター監修の記事にて詳しくお伝えします。

風邪をひいたときなど、痰が絡んで苦しい思いをしたことがあるという方は多いと思います。

今回は、痰(たん)が出る原因をはじめ、痰のメカニズムや注意したい痰の色についてなど、痰に関するさまざまな疑問について解説します。

痰とは何か?

私たちののどは粘膜で覆われて保護されています。呼吸などによってのどに入り込んだ空気中のウイルスやほこりを体内に侵入させないように、粘膜から分泌される粘液でからめとったものが痰です。この痰を出すのも咳の役割で、炎症や汚れによって痰の量は増えていき、粘り気も強くなります。

痰が出るメカニズム

のど(咽頭)から肺にかけての気道の粘膜は、線毛と呼ばれる細かな毛と粘膜から分泌される粘液に覆われています。ホコリ、細菌、ウイルスなどの異物が気道に侵入すると、粘液がこれを包み込み、線毛がこまかく動いてのどの上方へと運んでいきます。そして、咳と一緒に痰(たん)となって口から吐き出されたり、気がつかないうちに食道から飲み込んでいたりします。

ヘビースモーカーや、常に汚れた空気にさらされている人などは、痰が出やすくなるといわれています。タバコの煙や排気ガスなどによってのどが刺激を受け続けると、気道の粘膜に炎症が起こり、異物を排出する機能が低下しやすくなります。さらに、粘液の分泌量が減って粘り気が増し、線毛が抜けたり動きが弱まったりして、異物がスムーズに運搬されず、気管支や肺に汚れが留まることになるのです。その結果、咳や痰が頻繁に出るようになってしまいます。

また、抜けた線毛細胞が再生するには、3~4週間程度がかかると言います。

では、風邪をひくと粘り気のある痰が出るのはなぜでしょう。その理由は、のどがかぜの菌に感染して炎症を起こし、免疫を担う白血球が集まって菌と戦うためです。その結果発生する白血球の残骸や死んだ菌などが痰に混じるため粘性が増し、色も黄色味を帯びます(痰の色は、炎症の原因によってさまざまです)。

ちなみに、線毛は寒さと乾燥に弱く、冬には菌やウイルスを排出する機能が落ちて、かぜやインフルエンザにかかりやすくなります。夏場も、冷房による乾燥に注意が必要です。

痰と咳(せき)の関係とは?

痰がともなうかともなわないか、痰の量が多いか少ないかによって、咳には違いが出てきます。

痰をともなわない、もしくは、ともなってもごく少量の乾いた咳のことを「乾性咳嗽(かんせいがいそう)」と言います。

さらに、痰を出すために生じる湿った咳のことは「湿性咳嗽(しつせいがいそう)」と言います。

乾性咳嗽はコンコン、コホコホなどといった咳、湿性咳嗽はゴホンゴホン、ゼイゼイ、ゲボゲボといった咳のことです。

痰の原因は

ほとんどは、細菌やウイルスが感染したことで起こる咽頭炎、喉頭炎 扁桃炎(へんとうえん)、気管支炎、肺炎などの炎症が原因です。

しかし、なかには、タバコや排気ガス、ハウスダストの影響、気管支喘息、肺結核症、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺水腫、肺がん、気管支拡張症などといった可能性もあります。

痰を気にし過ぎるのは逆効果

空気が乾燥した冬や、加齢によってドライマウス(口腔咽頭乾燥症)になりがちな高齢者は、痰が出やすい傾向にあります。また、痰が出るのはかぜの場合がほとんどで、重篤な病気が原因のケースはまれなため、過度に気にし過ぎるのは禁物です。なぜならば、痰を切ろうとして強く咳をすることでのどの粘膜を傷つけてしまい、炎症が悪化する可能性があるからです。

ただし、粘り気のある痰が気道や鼻腔につまり、からんでなかなか出せない場合は、つらい咳を誘発したり、蓄膿症を起こしやすくなることもあるため、状況に応じて去痰薬を使いましょう。去痰薬は、気道の粘液分泌を促進して痰をのどの上方へ運びやすくし、痰の粘り気を低下させて排出しやすくするなどの作用があります。

また、痰が多く出る状態が3週間以上経っても改善されない場合や、痰の色がさび色や緑色などの場合は、次に紹介するように病気の可能性もあるため、内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。

痰の色によっては重篤な病気の可能性も

痰の色が以下のような場合は、注意が必要です。

さび色の痰

膿に血液が混ざっていたり、肺炎球菌や腫瘍によって壊された組織が混ざっている可能性があり、肺炎球菌性肺炎、肺腫瘍、肺化膿症といった病気が考えられます。

ピンク色の痰

肺水腫の際、肺毛細血管からあふれた血液に肺胞からの空気が混ざり、ピンク色をした泡沫状の痰が見られることがあります。肺に水が溜まると、呼吸がうまくできなくなって咳や淡いピンク色の痰が出るなど、風邪のような症状が起こります。ぜんそくの症状と似ていることから、心臓ぜんそくと呼ばれることもあります。

さらさらした透明な痰

肺胞上皮がん、気管支喘息によって見られることがあります。

赤色や暗赤色の痰

出血が疑われ、咽頭や喉頭から出血している場合は暗赤色や茶色、気管支や肺からの出血は赤い色をしていることが多く、肺がん、気管支拡張症、肺結核症、肺真菌症、肺梗塞などの際に見られることがあります。感染による炎症が強いと、痰に血が交じることがあります。血痰が出たら、すぐに受診するようにしましょう。

緑色の痰

緑は緑膿菌などによるもので、古い膿が含まれていることも。慢性気管支炎、気管支拡張症の悪化、細菌性の肺炎の際に見られます。

黄色の痰

黄色や緑がかった痰が見られるときは、体内で炎症が起きている可能性があります。風邪のほか、肺炎などの症状としても黄色い痰がみられることがあります。風邪の場合は通常発熱しても3日ほどで下がりますが、肺炎の場合は激しい咳に加え、胸の痛みや長引く高熱などの全身症状が見られるようになります。4日以上発熱や咳が続く場合は肺炎を疑ってみましょう。

痰の色がおかしいと思ったら、医療機関を受診して原因を特定してもらい、治療を開始しましょう。また、慢性的な痰は、肺結核やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺水腫、肺がんといった重篤な病気の可能性もあるため、早めの受診を心がけましょう。

簡単に痰を取り出す方法とは?

気道から痰を取り除くことを、排痰(はいたん)と言います。体に負担をかけず、上手に排痰を行うには、肺の中にある痰を外に出しやすいように、のど元に集めるのがポイントです。痰がたまっている部分を上にして寝る姿勢をとることで、痰がのど元のほうに上がってきます。

痰が上がってきたら、大きく息を吸い、勢いよく「ハッ! ハッ!」と息を吐いて痰を一気に押し上げます。そして、また大きく息を吸い、咳をして押し上げた痰を外に出します。咳をしすぎると疲れてしまうので、咳は3回程度に抑えましょう。

そのほか、人に手伝ってもらいながら行う呼吸介助法や、痰の排出を楽にするための器具を使う方法などがあります。適した排痰方法は患者によって異なるので、医師の指示のもと、自分に合った方法で行いましょう。

排痰をすると疲れるので、1日2~3回までにとどめるようにします。うまく痰が出せなくても、続けて行おうとせず、休憩を挟んでから行いましょう。痰が多く出る朝方や就寝前など、毎日時間を決めて行うことが推奨されます。熱がある、胸がゼイゼイするなど、いつもより体調が悪いと感じたら、排痰を行う前に医師に相談しましょう。

痰を出しやすくする市販薬

気道潤滑薬、気道粘液溶解薬、気道粘液修復薬は、鼻水や痰を溶かしたり、鼻やのどの粘膜にある線毛の働きを高めるなどして、鼻水・痰を出しやすくしてくれる薬です。

これらに加えて、粘膜の腫れが激しい場合や、鼻にポリーブができている場合は、強力に炎症を抑えるステロイド剤が処方されることもあります。

薬の形状は飲み薬が主ですが、点鼻薬、静脈内注射(点滴)の場合もあります。病院で薬剤を霧状にし、吸引することもあります。

以上のように、痰は気にし過ぎることはありませんが、長く続く、頻繁に出て苦しい、色が変わっているなど、異常を感じたら早めに病院に行くことが大切です。

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