カルシウムの働きは骨をつくるだけじゃない!

更新日:2017/05/02 公開日:2016/07/26

ミネラルの種類(1)カルシウム

カルシウムは、人間が生命を維持するためにとても重要な役割を果たしています。カルシウムが不足すると、神経や筋肉、血液、免疫状態にまで影響をおよぼします。今回は栄養療法専門医師の監修のもとに、カルシウムについて解説します。

カルシウムは、人間の体内でとても重要な役割を果たしています。骨や歯の材料になることはよく知られていますが、それ以外にはどのような働きをしてくれるのでしょうか。

カルシウムの役割(1)歯や骨を形成

カルシウムは、人間の体内に一番多く存在しているミネラルです。

人間の体内にあるカルシウムは「貯蔵カルシウム」と「機能カルシウム」に分類されます。

貯蔵カルシウム

貯蔵カルシウムは、人間の骨や歯の成分として存在しているカルシウムで、人間の全体重の約1.5%から2%になります。体重50㎏の成人であれば、約1㎏のカルシウムを持っていることになります。体内に存在するカルシウムのほぼ99%はこの貯蔵カルシウムです。

人間の骨は人体を支えるとともに、生命維持のために必要なカルシウムを貯蔵しておく倉庫の役割も果たしています。

機能カルシウム

機能カルシウムは、人間の血液や神経、筋肉の中に存在しています。体内に存在するカルシウムのうちの約1%にすぎませんが、とても大切な役割を果たしています。機能カルシウムは心臓や脳の働きを調整する、生命の維持になくてはならない栄養素です。

カルシウムの役割(2)血液など体液をアルカリ性に保つ

機能カルシウムには、血液などの体液をアルカリ性に保つ働きがあります。

血液や細胞組織が酸性に傾くと、白血球の機能が低下し免疫力が下がるなど、体の健康を守ることが難しくなります。体をアルカリ性に保つことは、人体の生命を維持するために必要不可欠です。

そのため、血液中のカルシウムが少なくなると、副甲状腺ホルモンが骨からカルシウムを溶かし出して調達します。

カルシウムの役割(3)神経・筋肉の興奮を抑える役割

機能カルシウムは、神経の伝達や筋肉の収縮などがスムーズに働くようにサポートしています。筋肉の緊張や神経の興奮を落ち着かせ、穏やかに導く作用があります。

また、カルシウムは他にも、血液を凝固させて出血を止める作用、ホルモンの分泌、細胞分裂の促進、胃液の分泌調整、鉄の代謝補助などの働きをします。

さらに、脳に大切な信号を送る役割もあります。そのため、カルシウム不足におちいると、脳梗塞や心筋梗塞の原因になることもあります。

機能カルシウムが不足すれば貯蔵カルシウムから補充されるため、カルシウムの摂取不足がすぐに体の不具合を引き起こすことはありません。しかし、あまり骨中のカルシウムを使いすぎると、将来的に骨軟化症や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を引き起こす原因になります。

普段から気をつけて、カルシウムを積極的に摂るように心がけましょう。

カルシウムにかかわる病気

カルシウム不足でかかる病気

カルシウム不足によって起こる体の不調には、以下のようなものがあります。

・骨粗鬆症(こつそしょうしょう) 血中のカルシウムを補うために骨からカルシウムを補充するため、骨が隙間だらけになる

・体が十分に成長しない

・骨、歯が弱くなる 骨を作る材料が足りないため、骨密度の低い骨になる

・神経過敏 カルシウムにはマグネシウムと協同して神経を穏やかに導く作用がある

・高血圧、動脈硬化、尿路結石糖尿病、アルツハイマー病、変性関節症

カルシウムの過剰摂取でかかる病気

カルシウムは人間の生命維持に必要不可欠な栄養素ですが、摂りすぎるとかえって体調を崩すもとになります。

血中のカルシウム濃度が異常に高くなる「高カルシウム血症」になると

便秘や下痢、口内の乾燥、口が乾く感覚、頻尿、持続的な頭痛、食欲低下、金属的な味覚、咽気・嘔吐、異常な倦怠感などが起こることがあります。

進行すると、骨痛、筋肉痛、不整脈、持続的な癌痒感、激しい眠気、気分の変動が起こる可能性があります。チアジド系利尿剤もしくはビタミンDサプリメントを服用中の方、腎疾患、甲状腺疾患に罹患している方は、カルシウムのサプリメントを飲む前に主治医に相談しておきましょう。

※疾患とはいわゆる病気のことです。

カルシウムを摂取して健康に不安の無い毎日を過ごそう!

カルシウムの吸収率の高い食品

カルシウムは、食品からの吸収率が低い栄養素です。一番吸収率が高い牛乳や乳製品でも、約50%しか人間の体内に吸収されません。続いて小魚が約30%、野菜類が約15%となります。

なかでも、乳製品は豊富なカルシウムと、それを吸収しやすくする成分とをあわせ持つ食品で、牛乳や乳製品以外の食品からカルシウムを効率よく摂取するためには、一緒に食べる食品や調理法を工夫する必要があります。

カルシウムの吸収を助ける健康成分

・クエン酸

クエン酸は酢やレモン、りんごなどに含まれます。たとえば、サラダに酢やレモンの入ったドレッシングをかけると、野菜に含まれるカルシウムを効率よく摂取することができます。

・良質なタンパク質

鶏のささみや魚介類、大豆製品なども、カルシウムの吸収をよくしてくれます。しかし、タンパク質の摂りすぎはかえってカルシウムを排出させてしまうので、食べすぎには注意しましょう。

・ビタミンD3

日光やサプリメントで補いましょう。

活性型ビタミンD3は、小腸上皮細胞の核に直接作用し、カルシウムバインディングプロテイン(CBP)という、カルシウムを吸収するためのタンパクを作り出して、カルシウムの吸収を助けてくれます。

・マグネシウム

カルシウムイオン(Ca2+)が腸壁を通過して体内に入るためには、電気のプラスを外す必要があります。このカルシウムのプラスを外してくれるのがマグネシウムです。腸管でマグネシウムがないとカルシウムは吸収できません。マグネシムとカルシウムはブラザー(兄弟)ミネラルです。

カルシウムの吸収を抑制するもの

・フィチン酸や食物繊維やリンが多いとき

・高脂肪食

・胃酸分泌を抑制するクスリ

・加齢

・精神的ストレス

胃酸の大切さ

カルシウムは胃の中に入ると、胃酸により「イオン化」されます。ミネラルは、イオン化されないと腸から吸収されません。

2価のカルシウムイオン(Ca2+)は、小腸の上部、主に十二指腸で吸収されます。回腸上部でも吸収されますが、吸収効率にかなり個体差があります。ピロリ菌が陽性であったり、胃酸の分泌の状態が悪いと、カルシウムの吸収は低下してしまいます。

カルシウムの働きに関するまとめ

どの栄養素についても言えることですが、食べた栄養の全てが腸から吸収されている訳ではありません。

沢山含まれているからといって、必要量が足りているとは限らないので注意が必要です。

カルシウムは不足すれば骨から補うなどして、血中濃度は常に一定に保たれています。そのため、カルシウムの摂取が不足していても、血液検査のカルシウムの値は、多くの方は正常範囲内でしょう。アルブミンはカルシウムと連動して低下しますが、アルブミンが低下してくるのは、カルシウムがかなり不足してからです。

カルシウムは骨を作る以外にも、人間の体にとって重要な役割を果たしてくれます。日本人はカルシウムが不足する傾向にあるので、意識してしっかり摂るとよいでしょう。

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